第24話 オセアンを満喫?
オセアンに入ってまず目に飛び込んでくるのが立ち並ぶ建物だ。
ヨーロッパの地中海にある町並みそのもので、真っ白な壁が正午を過ぎた明るい太陽に照らされて輝いている。むしろサングラスが欲しいくらいだ。
半ば観光気分でいくつか空いている宿を探し、一番安いところを見つけると再び元の浜辺に戻る。
するとオリビアがステラを抱えながら海上を飛んでいた。雲一つない青空の下で潮風を切って飛ぶのは気持ちいいだろうなぁ。かなり羨ましい。
【それでしたら私が空にご案内いたしましょう】
アカリの声が聞こえた途端、背後から掴まれたような感覚がする。
そして次の瞬間には両足が浮き、海へ向けて離陸していた。みるみる高度を上げ、眼下にオセアンを眺められるようになった。
「ひゃっほう!!!!」
今日は暖かい日だったので風が頬を撫でるとかなり心地良い。海の青、街の白、背後の平原の緑が見事に調和して絶景だった。
こんなに眺めの良いところを地球にはないんじゃないか?まあ俺は日本から出たことがないからよくわからないけど。
「タクミって空飛べるのね!!」
声がしたので振り返るとオリビアに抱えられたステラが手を振っていた。
「さっき飛べるようになった!」
風の音に負けないように大声を出す。
「タクミの言ってる意味は分からないけど、この景色最高だよね!!!」
確かに飛べるようになったとか言われても訳が分からないよな。でもステラは今景色に夢中のようだ。
【お気に召していただけましたか?】
【ああ、いい思い出になるよ】
こんな経験そうそうできないからな。
【そういっていただけて何よりです。では、より喜んで頂くためにわたくしアカリ、さらに頑張りたいと思います】
【待ってなんか嫌な予感がしてきたんだけど】
【3、2、】
【ちょっと待て!】
【1、GO!!!】
その言葉と同時にうつ伏せ状態で飛んでいたところを突然反転し背中を海面に向ける。そしてそのまま自然落下を始めた。
【だからやめろってばぁぁぁぁ!!!】
後は想像した通りの結果だ。アカリがGを一切考えないアクロバット飛行をしたことで軽く3回は気絶したし、もう景色もへったくれもなかった。
そこからしばらくの間の記憶が途切れている。おそらく本能が記憶を消去したんだと俺は思う。
「ん、、んー?」
目が覚めると俺は砂浜の上で横になっていた。よかった。少なくとも天国には行かなくて済んだみたいだ。
「タクミ大丈夫?」
ソフィアが心配そうにのぞき込む。そして俺の額に手を当てると回復魔法をかけてくれた。おかげで吐き気が幾分無くなった。
「ありがとう。楽になったよ」
自分でも驚くぐらい弱々しい声でソフィアに礼を言う。
「でもなんであんな無茶な飛び方をしたんだい?」
ライアンが横から至極当然な質問をしてくる。
「初めて使う魔法だったから操作に失敗したみたいだ。」
まだグラグラ揺れている感覚の残る頭でまともな言い訳を考えることが出来た自分を褒めてやりたい。
「そうか、これからは初めての魔法は気を付けたほうがいいぞ。最後に落下してきた時はさすがに死んだのかと思ったよ」
ライアンがため息をついた。
さて、これを聞いて何か反論はありますかアカリさん?
【やりすぎちゃいました。てへっ】
お前絶対に笑いながらしゃべってるよな?
覚えてろよ!!!いつか仕返ししてやるからな!!
ーーーーー
しばらく休憩した後、俺たちは食事をとりに町へ向かった。もう夕方だったから遅めの昼飯と言ったところだ。
店の外見はどこも変わらなかったのでとりあえず近くにあったところに入る。
空いている時間帯だったので窓際の席に座ることが出来た。オレンジ色の夕日が先ほどまでとは違う景色を見せてくれている。
6人の誰もここの名物が分からなかったので店員さんにお任せで注文する。
そして15分ほど待つと大きな鍋に入ったブイヤベースに似たスープと白身魚のムニエル、パンが出てきた。
「う、うまい!!魚ってこんなに美味しいんだね!!」
ルーシーが感動で泣きながらバクバクと食べる。おい、ムニエルは1人1匹だからな。それ以上食べるなよ。
「私魚の調理にこんな方法があるなんて知らなかったわ!家に帰ったら真似してみようかしら」
ソフィアも笑顔で頬張る。
「とってもおいしゅうございますわ!」
オリビアはフォークとナイフを使うのがめっちゃ似合うな。
「新鮮な魚は美味しい。食べることが出来てよかったよ。」
ライアンも満足そうだ。
【アカリ、この世界って魚を生で食べる習慣ってあるのか?】
【ほぼないですね。火を通して食べるほうが安全ですから】
やっぱりそうか。でもたっぷり魚が食べられてよかった。
それからみんなで夢中になって食べ続け、あっという間にすべてをたいらげた。
「いやーそんなに満足そうに食べてくれてあたしゃ嬉しいよ」
俺たちの食いっぷりをみて店のおばちゃんが声を掛けてきてくれた。
「おばちゃんとっても美味しかったよ!この町にいる間にまた食べに来たいな!」
ルーシーが満面の笑みで答える。
「ありがとうねぇ。でもこれから魚を提供できるか見通しが立たないんだ。だから約束はできないんだよ。」
おばちゃんが残念そうな顔をする。
「見通しが立たないってどういうことですか?」
俺はおばちゃんに質問をする。
「それが町の漁師たちがここ最近取れる魚の量が減ってきたって言っててねぇ。天気が悪くなったわけでもないから理由が分からないって頭抱えてたよ」
どうやら俺たちのクエストはその問題に関わっているようだ。




