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異世界っぽいVR世界に閉じ込められたけどなんとかなりそうです。  作者: ねぎとろ


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81話『騎士団長の考え』

 騎士団の団員から話を聞いた騎士団長は、俺たちにも詳しく内容を話してくれた。

 どうやら今回のプレイヤーによる暴動は、ユウガの言う通り、各地で起こっているという事だった。数々の冒険者が街や都市を守るために戦っているが、戦力的に及ばないらしい。


 また、今は勇者が魔王討伐により居なくなっている帝国が一番攻められているらしく、王都の騎士団に協力を求めたいという内容もあった。


「二人とも。今の話を聞いて、どうだ? 私と一緒に帝国に恩を売りにでも行かないか?」


「恩とかそんなの関係なく、俺とシロは行きますよ。力になれるか分かりませんが、俺たちと同じプレイヤーが悪さをしてるなら止めに行きます」


「もちろん、シロも行くよっ!!」


「ふふっ。君はお供の黒騎士が居なくなってから顔つきが少し変わったな」


「そ、そうですかね?」


 騎士団長が微笑みながら俺をの顔をジッと見つめ、俺は堪らず少し照れてしまった。


「マキトがニヤけてる! シロの前でそんな顔したことないのに!」


「う、うるせえ!」


「君たちは本当に仲が良いのだな。だからこそ、忠告しておこう。この先の戦場では、さらに仲間を失うかもしれない。君の今の覚悟は素晴らしい。だが、仲間を失った時にもう一度その決意を取り戻せるのか? 出来ないのならば、ここに残って――」


「――大丈夫です」


 騎士団長の言葉を遮り、俺は面と向かって自分の覚悟を示した。俺の顔を見た騎士団長はもはや止める事すらも出来ないと思ったらしく、俺とシロを連れていくことを容認してくれた。


「これより、私は帝国へと向かう! 私がいない間、騎士団の全権はルインに受け渡す! 異論は認めん!」


 一度ある程度の騎士団員を一箇所に集めた騎士団長は、団員の前で宣言した。ルインを代理の騎士団長として指名し、自分に付いてこようとする騎士団員を無理やりその場に留まらせた。

 これで、帝国に向かうのは俺と騎士団長、そしてシロだけだ。


「なぁ、本当に他の奴らは連れていかなくていいのか?」


「あぁ、恐らくだが君たちと私以外の者を連れて行けば死ぬ事になる。騎士団にもプレイヤーは存在していて、力のある者なら耐えられるかもしれないが、ユウガ程の敵が複数出てくれば、守れるのは私でも二人程度だ。他のものは自力で戦うか、死ぬかしかない。無駄に死ぬ可能性があるというのに、大切な仲間を連れて行くなど出来ない。……それに、私がもし居なくなっても、私の教えを知っている団員が居れば騎士団は幾らでも再建出来るからな」


「でも、他の団員が居た方が帝国を襲ってるプレイヤーに勝てる確率も、助かる人も増えるかもしれないぞ?」


「分かっているさ。私だって助けれるなら全ての人を助けたい。それに、私も未知の敵との戦いには恐怖も感じるんだ。仲間が居ればどれほど心強いかなんて分かっている。でも、それでも、私は自分が死なせたくない奴らを強大な敵が居る場所へと連れて行きたくはないんだ。私のワガママってのは分かっているんだけどね……」


 騎士団長も本当は怖いのかもしれない。あれ程の強さを持っていても、敵がどれほど強いのかなんて分からない。だからこそ、仲間には付いてきて欲しいが、無理やり留まらせたのだろう。強い敵と戦うのに仲間は必要。けれど、死なせたくはない。騎士団長の騎士団を守る気持ちと、優しさがそう決断させた。例えワガママだとして、その考えが正しくないとしても、上に立つ者として仲間を大切に想いやる騎士団長に俺はカッコ良さを感じた。


「……なんか、カッコイイな」


「うん! 大人の女性って感じだよね!」


「そ、そうか? まぁでも、褒められるのは素直に嬉しいぞ」


 場の雰囲気も少し明るくなった所で、俺たちの元へと二頭の馬が到着した。騎士団の馬だろう。これから戦場に行くというのに、一切の怯えすらみせない馬だ。


「では、早急に向かうとしよう。あぁ、それと、騎士団長だなんて呼ばずに今はアーサーと軽く呼んでくれ。もちろん、そちらのシロ殿も気軽に呼んでくれると助かるな」


「おう! 俺の事もマキトで大丈夫だぜ!」


「ホントに!? 呼ぶ! シロもシロって呼んで!」


「了解した。今度からシロとマキト、両者とも畏まらずに呼ぶとしよう。友として、よろしく頼む」


「「こちらこそっ!」」

 

 俺とシロは仲良くハモり、少し恥ずかしさを覚えながら馬へと跨った。

 そして、俺は意気揚々と馬へと乗り始めた。

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