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異世界っぽいVR世界に閉じ込められたけどなんとかなりそうです。  作者: ねぎとろ


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77話『シロの勇姿』

 シロが俺とクロの間に入り、クロは咄嗟に距離をとっていた。

 そして、2人は相対して睨み合い、どちらが先に行動を開始するか待っている。


「シロ!お前、キメラの方はどうした!」


 シロに助けられたのは幸いだが、見た所、シロの主な攻撃手段であるアイアンゴーレムが存在しない。


「キメラ? それならゴーレムに任せてるから大丈夫!!……動かないならこっちから行っちゃうからね! クロ!」


「ちょ、シロ! お前の勝てる相手じゃ……」


 剣しか使えないシロがどの程度強いか分からない。そんな中で、初めから勝てる訳がないと思っていいのだろうか。

 いや、思ってはダメだろう。きっとシロは俺を守るために全力を尽くす。どの道今は動けない俺がシロを止めるなんて事は出来ない。


「クロ! 正気に戻らないならシロが倒しちゃうからね!!」


『シロ殿……お逃げください』


「きゃあっ!!」


 やっぱりだ。シロの攻撃は素早く、突きを主体とした攻撃だ。たまに普通の剣として扱い、斜めに振るい、斬るような動作を見せるが、全てがクロには届かなかった。

 クロにとっては、シロの攻撃など初心者がただ早く剣を振るっているようにしか思えないのだろう。


 大剣を上手く扱い、全てを防ぎ、その上でシロを峰打ちで吹き飛ばした。


「シロ!! 大丈夫か!?」


 シロは体も小さく、それでいて軽い。クロの攻撃をまともに受けた今、下手したら死んでいるという可能性もあるだろう。

 クロが少しだけ正気なのか 、峰打ちで済ましてくれたが、峰打ちじゃなければ十中八九シロは真っ二つになっている。


「痛てて……けど、こんなのじゃシロは倒せないんだからね! 次はもっと本気で行くから!」


 俺はシロの体を見て驚愕した。咄嗟にアイアンゴーレムの腕だけを召喚したのか、シロの体は無傷であり、クロの大剣が当たった腹部にはシロを守るかのように両腕が存在していた。


「いっけぇぇぇぇぇ!!!」


 レイピアを構え、クロへと突撃するシロ。もちろん、ただ真っ直ぐに突っ込むだけではクロに攻撃が当たることはないだろう。


『申し訳ありません。シロ殿』


 やはり、と言うべきか、クロはレイピア片手に走ってくるシロへと大剣を振り下ろそうとする。


「クロ! ゴメンね!!」


『─────っ!?』


 シロの動きには俺も驚きを隠せなかった。何も考えずにシロが突っ込んだとばかり思ったが、どうやらシロにはシロなりに考えがあったようだ。


「きゃっ! 」


 クロの攻撃に合わせ、シロはゴーレムの腕を使って防ぎ、その陰からレイピアによる攻撃を与えたが、シロの力ではクロの鎧にダメージを与えられなかったのか、レイピアは鎧によって弾かれてしまった。

 そして、その衝撃と反動によってレイピアはシロの手から離れてしまった。


「マキト!! 早くそこから逃げて!!」


 俺は完全に油断していた。クロとシロの戦いを見て、明らかにクロの狙いはシロになっていると勘違いしていたのだ。

 だが、シロは気付いていたのだろう。初めからクロは俺の事を殺すのが第一優先という事に。


 だからこそ、折角シロに助けられたというのに、俺はその場から動けず、またもクロによって大剣を突き付けられ、殺されそうになっていた。

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