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異世界っぽいVR世界に閉じ込められたけどなんとかなりそうです。  作者: ねぎとろ


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76話『クロ』

 ついに敵となってしまったクロは俺に休む暇すら与えることなく攻撃を繰り広げてきている。

 元々クロより俺が弱い事から、俺はただひたすらにクロの攻撃を防ぐことしか出来ず、防戦一方となっていた。


「クロ!! 目を覚ませ!!」


 俺の言葉はまるで届かず、クロは攻撃の手を緩めない。むしろ少しずつ少しずつ、俺の防御を掻い潜って攻撃を当ててきている。

 頬に傷がつき、防ぐ腕にも傷がつく。槍を持つ手に力が入らなくなってきている。


 さすがに俺の持つ槍とクロの大剣ではスペックの差がある様で、槍が折れるということはなかった。


「クロ!!」


「ははははっ!!! 無駄無駄ぁぁぁ!!!」


 まるで一変したプレイヤーは同じ場所から殆ど動かず、時々クロを手に持つ鞭で叩いていた。鞭にどんな効果があるのかは分からないが、鞭で叩かれたあとのクロの攻撃が少し重くなったりすることから、奪い取ったモンスターなどの力を無理やり底上げするタイプの効果はあるだろう。


「あいつさえ倒せばなんとかなるかもしれねぇ……」


 シロも戦っている現状、俺は1人で2人と相手しなければいけなかった。幾らプレイヤーが殆ど攻撃手段を持っていなくとも、クロが俺の行く手を遮る限りはプレイヤーに俺の攻撃は当たらない。


 クロが俺を攻撃する度に、プレイヤーは不敵な笑みを浮かべたりしているが、本当に全く攻撃はしてこない。攻撃手段を持っていないという可能性も高い気がするが、クロの攻撃に集中しないといけない今の状況においては考えている暇はなかった。


「……くっ」


『……マ、マスター、申し訳、ありません……』


 「──────クロ!? お前!」


 クロの声が聞こえた時、俺は少し安堵したのか、大剣を受け止めていた槍から力を抜いてしまった。


 そして、クロがその隙を見逃す筈がなく、俺はクロの攻撃で吹き飛ばされた。


 「やっぱ、俺じゃ勝てねえか」


 自分のことは多少なりとも強いと思っていた。けれど、クロはその上をいく。

 俺は地面に横たわりながら、今の状況をどうやって打破するか考えるしかなかった。


 「騎士団長は……くっ、無理か……」


 グウィンと騎士団長はユウガと激闘を繰り広げている。ユウガも恐らくは騎士団長並に強いらしく、ユウガの相手をしている今、2人が俺を助けることは出来ないだろう。


『マスター。わ、私は、』


 「クロ! 意識が戻ったのか!?」


『申し訳、ありません』


 横たわっている俺に対し、クロはひたすらに謝りながら大剣を構えて向かってくる。歩いてくるスピードが遅い事から、クロも抵抗しているみたいだが、強すぎる洗脳には勝てないのだろう。


 「クロ。ありがとな」


『はい。私もすぐに逝きますから……』


 クロがとうとう俺の目の前に来て、大剣を振りかざしている。

 仲間の手で最後に死ねるのなら、敵に殺されるよりは幾分かマシ。そう考えた俺は目を閉じてクロの最後の攻撃を待った。


 「クロ!! マキトを殺さないで!!」


 シロの声が聞こえた刹那、剣と剣がぶつかり合う激しい音が鳴り響いた。


 「シロ。お前……」


 「マキト! ここからは私に任せて!」


『シロ殿……ありがとうございます……』


 俺の命が失われそうになった時、俺はシロに助けられた。いや、ある意味クロもシロに助けられたのだろう。


 こうして、シロとクロの戦いが始まった。

予想だと100話近くで終わる予定……です

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