現実と……夢の狭間で
第1章:現実と……夢の狭間で
……
— ここは……どこだ……?
……
<あなた……>
……
— 誰だ……?
……
<あなたの存在が必要です>
……
— 必要……?
— どういう意味だ……?
— お前は……誰なんだ……?
……
<ごめんなさい……>
……
— どうして……?
— どうして謝るんだ……?
……
<それは……選択だったからです>
……
— 選択……?
……
ピッ……
ピッ……
……
— どこへ行った……?
……
ピッ……ピッ……ピッ……
……
— え……?
……
夢……?
頭が妙に重い……
うっ……
……
なんだ……これは……?
俺は……何を見ているんだ……?
……
画面……?
この文字は……?
……
通知。
……
これって……
普通、ゲームで見るようなものじゃないか……?
まだ夢を見ているのか……?
……
通知:
【異世界への転移対象者に選ばれました】
……
— 冗談だろ……?
たぶん……
一日中ゲームをしていたせいだ。
……
あ……
また通知……?
……
クエスト:
【並行世界に存在する人物を救出せよ】
……
このクエストを受けますか?
【YES/NO】
……
— 並行世界……?
なんだ、それ……?
やっぱり夢なのか……?
体がほとんど動かない……
……
通知:
【このクエストを受けますか?】
【YES/NO】
……
— 誰かを救う……?
はは……
俺は英雄にでも選ばれたっていうのか……?
……
まあ……
最悪でも何かが起こるだけだ。
これがただの夢なら……
……
通知:
【このクエストを受けますか?】
【YES/NO】
……
— 俺は……
YESを選ぶ。
……
通知:
【あなたはこの役割を受諾しました】
……
— つまり……
俺は今、英雄なのか……?
……
母:
— 起きなさい。
もう夕方よ。
買ってきてほしい物があるの。
……
— え……?
母さんの声……?
なんで夢の中に母さんがいるんだ……?
それに……
あの画面はどこへ消えた……?
……
母:
— 早くしなさい。
こっちから行かせないでよ。
……
夕方……?
だから部屋がオレンジ色に見えたのか……
じゃあ……
もし、あれが夢じゃなかったなら……
あの画面は一体なんだったんだ……?
……
今、何時だ……?
……
あ……
四時半か。
かなり寝ていたんだな……
たぶん、一晩中ゲームをしていたせいだ。
……
母:
— やっと起きたの?
……
— うん……
今行く。
……
夢の中で英雄になるなんて……
本気で思っていたのか。
はは……
俺って、本当に馬鹿だな。
……
数分後……
……
— 母さん、行ってくる。
……
母:
— 言ったこと、忘れないでね。
……
— 分かってる。
……
俺は玄関へ向かった。
……
ドアノブに手を伸ばす。
……
だが……
……
何かがおかしかった。
……
冷たい……
……
背筋を震わせるような寒気が、全身を駆け抜けた。
……
でも……
今は夏だ。
……
— やめろ、俺……
映画の見すぎとゲームのやりすぎだ。
……
カチャ。
……
ドアを開けた。
……
そして次の瞬間……
俺の思考は完全に停止した。
……
普段なら……
家を出れば……
そこには道路がある。
……
建物。
車。
通り過ぎる人々の声。
……
俺が人生で何度も見てきた日常。
……
でも……
ここは……
違った。
……
目の前にあったのは……
巨大な石の壁。
……
不思議な光を反射する、広大な水面。
……
そして……
遥か上まで続き、終わりが見えない巨大な天井。
……
— なんだ……ここは……?
……
俺はゆっくりと周囲を見渡した。
……
いや……
これは普通の夢じゃない。
……
夢だとしても……
ここまで現実的なはずがない。
……
何かに見られている気がした。
……
視線……
どこかから。
……
でも……
その場所は分からない。
……
今、一番良い選択は……
家に戻ることだった。
……
— 母さん……
やっぱり後で出かけるよ。
……
これは夢だ……
そうだ……
ただの夢だ。
……
俺は振り返った。
……
— どこ……?
……
声が止まった。
……
ドアはどこだ……?
……
さっきまで……
確かに後ろにあったはずなのに……?
……
突然……
空間全体が揺れた。
……
強烈な振動。
……
— 地震……?
……
違う……
これは……
……
俺はゆっくりと顔を上げた。
……
目の前の地面に……
巨大な影が現れていた。
……
人間が理解できる範囲を超えた巨大な影。
……
その大きさだけで……
俺の脳は現実を拒絶しようとした。
……
俺は唾を飲み込む。
……
そして……
ゆっくりと上を見上げた。
……
— おい……
……
— おい……
……
たとえこれが夢だったとしても……
これは人間の精神が耐えられる限界を超えている。
……
あれは……
一体なんだ……?
……
通知:
【転移が正常に完了しました】
……
【クエスト条件を確認中……】
……
……
グルルルル……
……




