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51 ハーフエルフっ娘の記憶喪失の秘密

話の内容から、51話と52話に分けての投稿となりました。

今回、フォーリィの不自然な記憶喪失の謎が少しだけ明らかになります。

「あれ、ママだけ?パパ達は?」

 1の月(ウーヌスバー)に入ってからも毎日忙しく動き回っているフォーリィ。

 そんなある日の午後、彼女が領主邸に戻ると執務室には彼女の母、アントゥーリアしかいなかった。


「忘れたの?今日、パパ達は農村の視察に行ったじゃない」

「あっ、そうだった」

 スタニェイロとヴェージェはイペブラクオン達を連れて、農村のガラスハウスの状態と、農作物の成長具合の確認に行っていた。


「あ、じゃあラントゥーナは?彼女は視察に行かなかったはずよね」

 フォーリィの疑問に、アントゥーリアは小さく溜息をつく。


「フォーリィ、今日は中締め日よ」

「あっ」

 そう、アントゥーリアはショッピングモールのエレベーターのリース代金などの支払いのため、何人かの再雇用組と商業ギルドに出向いていた。


「領地改革と称して、あなたが収入以上の借金を作ってるって怒ってたわよ」

「あは、あはははは」

 全然反省しているようすがない娘に、アントゥーリアは再度ため息をつく。


「じゃ、じゃあ私はガネトムートさんの所に行こうかな」

「ちょっと待って」

 執務室から出て行こうとするフォーリィをアントゥーリアが呼び止める。


「ん?どうしたの?」

 振り返る彼女にアントゥーリアは優しく微笑みかける。

「久しぶりに二人きりになったんだから、成果を聞かせてよ。習得したの?」

 その質問に、フォーリィには小さく笑って軽く床を蹴った。


 すると、彼女の体はゆっくりと浮き上がる。


「凄い!とうとう重力制御ができるようになったのね。やっぱり私の理論は正しかったんだわ」

 アントゥーリアは子供みたいに嬉しそうに笑う。


「ママ、なかなか難しかったわよ」

 天井近くまで浮き上がったフォーリィの体は、今度はゆっくりと降り始めた。

 上空で形成した重力を地上の重力より若干弱くしていたので、落下を始めたのだ。


「やっぱり魔力の残滓は全く感じられないわ。これこそ異次元魔法(エキストラマジック)

 アントゥーリアは興奮を抑えられないと言った感じだった。


「ねえ、これで自由に空を飛べるの?」

「出来ないわよ!重力が上下逆転した時点で平衡感覚が失われるから、どこに重力発生ポイントを置くのかわからなくなっちゃうわ」

 それを聞いて、アントゥーリアは信じられないと言った顔をする。


「えぇ~。だって()()で観たアニメでは重力を操って自由に飛んでたわよ」

「ママ、それはフィクションだから!前世で私、()()()()()()()()()()()けど、計器をみていないと自分が上下逆さまなのに気付かない事もよくあるんだから」

「そうなのね」

 アントゥーリアは少し残念そうだった。

 娘の異次元魔法(エキストラマジック)で空を飛んでみたかったのだろう。


「しかし何度も戦闘機に乗っていたって、あなたが前世で所属していた組織って、いったい何をしていたのかしら?」

「まあ、何でも屋よ」

 フォーリィは母親に前世での仕事についてあまり話したことはない。

 それはあまりにも血みどろな話だったから、話したくなかったのだ。

 アントゥーリアもそれは薄々感じていたので、それほど突っ込んで聞き出そうとはしなかった。


「それより私は前世のママが地球で漫画家やっていたって事の方が驚きだわ」

「連載をもらえなかった漫画家だけどね」

 この話をすると、いつも苦笑いをする母親に、フォーリィも彼女の前世の仕事について、あまり詳しく聞かないようにしていた。



「ゴメンね、ママ」

「ん?何が?」

 急に悲しそうな顔を浮かべるフォーリィ。その表情から何となく、彼女が何を言いたいのかアントゥーリアには察しがついていた。


()()として、この能力(ちから)を手に入れるためにママたちとの大事な思い出を消すことになって」

 そんなフォーリィに、アントゥーリアは優しく微笑み、彼女の頭を優しくなでる。


 異次元魔法。それはこの世界の者達では扱えない術式だ。


「確かに少し寂しいけど、あなたは私達を守るのに必要だと思ったから()()したんでしょ?いいのよ。私にとって大事なことは、あなたが生きているってことだから」

 アントゥーリアは、フォーリィの前世での生い立ちから、彼女が自分たち家族をとても大事にしていることを知っている。

 だから彼女が()()()()()()のは、それが家族を守るために必要で、()()()()()()()()()と判断したのだと確信していた。


「あなたさえ生きていてくれれば、思い出はこれから沢山作れるわ」

「うん……うん……」

 フォーリィは母親の胸に飛び込んで泣き出した。

 そして、自分はこれほどまでに母親に愛されているんだと、改めて実感したのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 遂に記憶喪失の謎が明らかに!? と思いきや更に別の謎が増えまくったww [気になる点] 平衡感覚が無くなるから飛べないのなら 計器や何か補助するものがあれば飛べるのかな?
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