43 ハーフエルフっ娘と赤字対策
「あはは、あははははは♪」
フォーリィはとても嬉しそうに笑いながら、両手を広げてクルクルと回っていた。
「男爵様!現実逃避しないでください!」
「!」
ラントゥーナにたしなめられると、その動きがピタリと止まり――
「はぁぁぁぁぁぁぁ」
肩を落として項垂れた。
そして、その光景にヴェージェはデジャヴを感じていた。
「いいですか?このままでは次の中締めには私達のお給料はおろか、軍人達へのお給料も払えません。これはこの領地の防衛に深刻な事態となります」
冷たく告げるラントゥーナに、フォーリィが詰め寄る。
「でも、儲かってるよね?王都の製氷場も復活させたし、カデン領にも新たに製氷場も作ったわよ。それに洗濯機や冷蔵庫も売れまくってるわ」
「ですから、それはあくまでも男爵様の私的な利益です。この領地は相変わらず借金に次ぐ借金で首が回らない状態です」
「自分への借金で首が回らなくなるなんて……」
フォーリィは頭を抱える。
「あ、だったら軍人さん達は私人としての私が雇えばいいんじゃない?そうよ。私自身がお給料を出せば領地の借金はこれ以上増える事はないわ。ふふふっ、私って天才?」
不敵な笑みを浮かべて胸を張るフォーリィ。
「そんなこと許されるはずないじゃないですか!王国の法では軍隊を持てるのは国王様と領主のみと定められています!」
それを聞いて、フォーリィの顔が明るくなる。
「だったら問題ないじゃない。だって私、領主だし」
「私人としての貴女は領主には含まれません!」
「むうぅぅ」
フォーリィは不満げに頬を膨らませる。
「あっ、だったら特例として、『領主は私人としても軍隊を持てる』とするように国王様にお願いすれば……」
「そんなこと言う前に領地運営を改善して黒字化しろと言われるに決まってます」
「むうぅぅ」
軍隊の方は今まで通り借金でまかなうしかなかった。
「そもそも、何でこんなにお金がないのよ。私、結構税金払っているはずだけど」
カデン領では領民に混乱が生じないように、アールヴゥーレ領の時と同じ税率にしている。
その為、王都よりやや高めの税金をフォーリィは収めている。
「男爵様の事業で支払われている税金はかなりの金額ですが、領地全体としてはほんの一部です。この領地の収入の殆どが穀倉地帯からの収入でまかなわれています」
「あれっ?だったら秋の収穫で得た利益でたくさん税収があった……あっ……」
「はい。その莫大な資金を全額アールヴゥーレ男爵様に持ち逃げされています」
フォーリィ、ヴェージェ、ラントゥーナは互いに顔を見合わせてると……
「「「はあぁぁぁぁぁぁぁ」」」
大きく溜息をついた。
「冬でも作物を育てられたらいいのにね」
ヴェージェがポツリとつぶやいた。
「それは……魔法でも無理ですね」
ラントゥーナは自分自身に言い聞かせるかのように言った。
「そうか!その手があったわ。お姉ちゃん天才。大好き♪チュッチュッ♪」
「ちょ、ちょっとフォーリィ?」
頬にキスしまくる妹を、ヴェージェは赤くなって引きはがす。
「男爵様。その手とはどういう事でしょうか?」
ラントゥーナの質問に、フォーリィは自信満々に答える。
「ガラスハウスを創るのよ」
こうして、穀倉地帯に大量のビニールハウスならぬガラスハウスが建設された。
ガラスは雹にも耐えられるように土の魔法で強化され、内部は電気ヒーターと電気扇風機が設置させて、四六時中、内部を温められるようになっていた。
このガラスハウスの出現により、冬場では手に入らない果物などが収穫できるようになり、王都に高値で販売され、領地に入る税金も上がっていき、新たな借金も大幅に減ることになった。
そしてもちろん、フォーリィの私財も大幅に増えていった。
「これでもまだ領地は赤字なのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
まだ暫らくは借金領主が確定だった。




