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釣り大会

「湖で釣り大会ねぇ。この前のわかさぎはまぁまぁ釣れたけども」


 参加費10ゴールド。時間内に"一番大きい"魚を釣った人が優勝。総取りだ。

 一番大きい、というのは、体長と重さ、二部門ある。

 賞金は両方に半分ずつ出るのだが、大体大きい魚は重いので、両方取る場合が多いそう。


「おいおい。去年の重さ部門の優勝、でけぇ亀だぞ」

「これは亀というよりすっぽんみたいな? ふつうのじゃ釣れないですよね?」

「まぁ亀じゃあ食えないしなぁ」


 この大会の良いところは、釣った魚を提出し、記録を終えたら、その場で捌いて焼いて食べられるように料理人がいるところだ。


「日本じゃあ外来魚ばっかで、湖で釣ったところで食えたもんじゃないしな」


 子供の頃はザリガニ釣りなんて言うのをやったものだが、その時から既に小型ボートでバス釣りをしている人たちはいた。

 しかし、食べる目的で釣りをしているのは見たことが無かった。


「何が釣れるのか見当もつかねぇ」

「餌は小魚ですからねぇ。そこそこ大きいのがいるんじゃないですか」


 竹の竿に細い糸。そして針につけた小魚とウキ。


「これさぁ、沈めるのに重りつけるよねぇ? あんなふうに」

「あれはガチ勢っぽいですね。レンタルじゃなくて私物でしょう」


 その麦藁帽を被ったオヤジは、いかにもプロっぽい手馴れた感じだった。


「釣れてんねぇ。餌撒いたりしたほうがいいんか?」


 開始から20分。俺はその辺の石をひっくり返してミミズを取って、水面に放り込む。

 10時から14時までの6時間の釣果が対象だ。

 続々と周りは釣れている。

 俺たちの釣果ゼロ。

 まだ危機感を持つ時間ではないが、どうにもボウズという最悪の言葉が頭をよぎる。


「せめて1匹。まずバケツに入れてぇ」


 足元にある水を張った金属製のバケツ。

 これに入りきらないくらいのヤツを釣れば、優勝間違いない。


「どんどん人数が増えてますね」


 現在の参加人数は40から50人くらい。

 けっこうな人数だが、湖と言われなければ海と見紛う広さなので窮屈さは全く感じなかった。


「・・・・・・キタ!」


 ちょんちょんと突かれるようなウキの動き。

 そのあとにすぐ、大きくウキが沈んだ。

 その瞬間に竿を上げる。


「これは? コイか? ボラ? 詳しくねぇから、そのたぐいっぽいのはわかるんだけども」


 一瞬強い引きを感じて、長期戦を覚悟していたが、思ったよりすぐに釣りあがった。

 それもそのはず、小魚と大差ないほど小さかった。

 持久力が乏しいのだろう。

 しかし、見た目はコイっぽいのに歯が生えていた。


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