引き際
「あなたたちは冒険の支度をしました。トニーさんは一振りの剣を腰に、サムさんも同じように剣を取り、さらにたくさんの食料を持ちました」
「あなたたち新米に任されたのは古代文明の調査。おおきな危険もなく、見つけたものの価値によっては特別な報酬がもらえます」
「トニーさんはこの1の山札から1枚。サムさんはこの7の山札から1枚、引いてください」
さきほど引いたカードの合計値が次へ進むための数字のようだ。
ディーラーが札を切り、また1枚引く。
トニーはなにやらニョロニョロが描かれた10と書かれた札。
俺の方は宝石のようなものが描かれたB-7と書かれた札。
「トニーさんは・・・・・・ビッグワーム。大ミミズと遭遇してしまいました」
「サムさんのほうはお宝発見! どの程度の金額だったか、カードで決まります」
「まずはサムさん、お宝はどのくらいだったでしょうか!!」
お宝用のカードの山を持ってくるディーラー。
俺はムムムと考えたのち、真ん中より上のカードを引く。
ぴら。X2。これは賭け金の2倍ということだろう。
「おめでとうございます。賭け額を2倍の価値のお宝を手に入れました。しかし、それは無事に持ち帰ることができれば、というものです」
「撤退の判断はサムさんにかかっています。ひとまずトニーさんの処理を終えるまでにどうするか決めておいてください」
「おう。わかった。でも決まってる」
もちろん継続だ。
おそらく、もう一度7の山札から引けるので、もう一回チャンスがあるだろう。
「さあトニーさん、一枚引いて、勝ち負けが決まります。負けてしまったらその時点で終了となります」
ドキドキ。
トニーの引いたカードには
『勝利。さらにお宝を発見X2』
これで俺たち2人とも2倍の権利を手に入れた。
つまり1000ローナと2000ローナだ。
だが当然・・・・・・
「どうしますか? 続けますか?」
「もちろん続けるぜ」
俺たちは両方とも継続を選んだ。
「ではトニーさんはこちら、サムさんはこちらから1枚引いてください」
トニーは2番の山札。俺はさっきと変わらず7番の山札だ。
ピラリ。
「トラップ! 遺跡には侵入者を阻むための仕掛けがありました。今回は落とし穴です」
俺が引いたのはトラップ札。
回避札を引けばいいらしい。
(頼むぞ・・・・・・)
トニーの方は・・・・・・
「お、おおきなお宝発見、X3ですって」
「いいなぁ」
ピラ。
「残念ですがサムさんは落とし穴にかかってしまいました。なんとか脱出できましたが、足をくじいてこれ以上の探索は困難です」
「ここで強制終了となりますが、手に入れたお宝は持ち帰れました」
「っていうことは2倍になったってことだよな?」
「はい。2000ローナを記録しておきます」
「よし。まあまあいいだろ」
「そしてトニーさん、あなたはだんだんと深い場所を探索しています。これ以上進むと帰還が難しくなるかもしれません」
「引き際かもしれないってことですね。これって2倍と3倍別々に合わせた感じですか? それとも6倍?」
「6倍です」
賭けた500はつまり3000ローナになっているということだ。
「・・・・・・じゃあやめます!」
「本当ですね?」
「はい。やめます!」
ということで、
「まあまあよかったねぇ」
「20分ちょっとで倍額以上ですもんね。やっとかなきゃ損でしょう」




