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7.5日目のきみに会いたい  作者: 餅月 響子


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第27話 澄矢がいない時間

ざわざわと騒がしいカフェでいつものように快翔は、お客様応対していた。すぐ後ろでサポートに茉大はついていた。今日は、澄矢は休んでいた。

「茉大さん。サンドイッチ品切れになりました」

「OK。補充しないとね」

 次々とお客様が行列をなして、息継ぎする間もなく忙しかった。休みの人も澄矢以外もいたため、スタッフの仕事量が目まぐるしかった。


「「お疲れさまでした」」


 一通り仕事を終えて、出入り口付近で快翔と茉大は言い合った。


「茉大さんはお酒飲まないですか?」

「うーん、少しだけなら飲めるよ」

「飲みに行きません? これから」

「……誘ってるんだよね」

「もちろん。一緒に行きましょう。おごりますから」

「おごり? ぜひとも行きたい!」

「食いつき早いっすね」

 快翔と茉大は隣同士に並んで、近くの居酒屋で飲むことにした。さすがに人数少ない中で仕事はハードで飲みに行って発散したいという快翔の気持ちがあった。


「いらっしゃいませ! お客様は2名様でよろしいでしょうか」

「はい、2名です」

 快翔は指を2つ挙げてアピールしてリードした。たったそれだけでちょっとうれしくなる茉大だった。

「お客様2名様ご来店です!!」

「「いらっしゃいませ」」

 威勢のよいスタッフたちが大きな声で挨拶する。奥の方の個室に案内された。

「ご注文はタッチパネルでお願いします。ご注文されたメニューはロボットが運びますので、着いた際にはボタンを押すのを忘れずにお願いします。それでは失礼します」

 スタッフは説明すると個室の扉を閉めていった。


「さてと……何飲みますかね」

「ねぇ、快翔くん。なんで誘ったの?」

 頬杖をついて、茉大は聞く。咳払いをして、答える。

「いえいえ、まぁ。澄矢ばかりずるいなって……。俺にも誘う権利あるかなとか思ったり……」

「どんな権利よ。ほかにも女性スタッフいるのに」

 手を口もとにあてて笑う茉大。

「澄矢に嫉妬っすよ。俺にペラペラ話すから」

「何を?」

「えー、茉大さんのこととか、前の彼女のこととか……。あ、やべ、言わない方よかったかな」

「え、彼女? 何、澄矢くん彼女いたの?」

「……」

 あまりの話の食いつきに引き下がれないなと思った快翔は、すべて本当のことを話してしまう。なんだか、相手の悪いところを言って、自分のマウントを上げてるなと話してしまってから気づくが、もう手遅れだった。


「茉大さん。このことは、澄矢には絶対言わないでもらっていいですか?」

「あ、うん。別に。私は気にしてないんだけどね」

 その言葉を聞いて、快翔は少しがっかりする。澄矢の嫌なところをアピールしたつもりが全然効果がないことにがくっと体を落として、顔を隠した。

「快翔くん。大丈夫?」

「あ、いえ、大丈夫っす。ビールにしますか?」

「私はなんでも。付き合うよ」

「んじゃ、1杯目だけビールであとは好きなものじゃんじゃん飲んじゃいましょう」

「やったー。おごりだもんね」

 手を挙げて、喜ぶ。先輩だという立場を忘れる茉大だった。

「茉大さん。素直っすね」

「いやいや、今月支払いがピンチでね。助かるわぁ」

「支払いって一体何を買ったんですか」

「新しいパソコン。前の壊れちゃってさ。大学のレポート書くのに必要でしょう。だから急いで買ったのよ」

「それは大変でしたね」

 何気ない話を次々と切り出す快翔。茉大は自然の流れで会話が次々と弾む。

時間を忘れて、バイトの愚痴や大学の講師の話が長いなど、いろいろ言っていたら、いつの間にかテーブルにうなだれていびきをかいて寝てしまった。快翔は、茉大のたらりと頬に垂れた髪を救いあげて、よけてあげた。

「うーん……」

 寝言を言い始めた。

(このまま、俺の彼女にはなってくれないのだろうか……)

 そんなことを考えながら、快翔は茉大を背負って、居酒屋の外に出た。


 夜空には煌々と満月が輝いていた。

 その頃、熱を出して、横になっていた澄矢は大きなくしゃみをして、また眠りについた。

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