240.VS神
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俺とハンズの打ち立てた秘策は、前述した通りの非常にシンプルな物。それ即ち、負の力に正の力を叩き込むという単純明快な物だ。
では、どうやってその正なる力・・それも大量のソレを使うのか。答えは、やはり単純な事だ。
神になる。
この一言に尽きるだろう。神とは、この世界では超次元魔力存在と呼称される莫大量の魔力の塊である。そして、それと同時に正と負の二面性という力を均等にその体内に持っているものでもあるのだ。
故に、負の力のみしか持たない神とは歪んでいる物であり、神としては不完全な存在だ。が、一方で、正なる力のみしか持たない神もまた、歪んでいるのだ。
そして、歪んでいるからこそ、不完全であるからこそ、成りやすいのだ。
正の力や負の力の方面に歪んでいるということは、それ即ち均等になっていたはずの負や正の力が溢れ、過剰になってしまっているからに他ならない。
故に、莫大な負の力を持つ奴を殺すのであれば、同じかそれ以上の量の正の力をぶつければいい。
ここで、最初に戻ってくる。
では、どうやって神となるのか。
神には、固有の名前がある。大昔、日本では自然にあるもの達にすらその名前をつけた。故に、日本には八百万の神や九十九神といった、多くの数字を持つ神々がいる。
が、そんなのは今は些細なことだ。重要なのは、髪には名前があるということ。そして、名前とはその神の、本質を表すものだと言える。
故に、【大魔穿日神】という銘の刀を起点として、優しき日輪の善神を生み出すことが、ハンズと永戸の秘策である。
が、アマテラスを呼び出し、自身が神となるには、キトの身体では足りない。何故ならば、アマテラスは全身であると同時に太陽の神でもあるのだから。
そして、その善なる力を一手に担うには、身体を太陽のような熱に晒す他に道は無い。
当然、そんなことをすればキトの身体は一瞬で焼け落ち、永戸は勿論、キトすらも魂ごと燃え尽きて死ぬだろう。
永戸は、キトの身体でそれをする覚悟はなかった。何せ、いくら彼女が永戸の記憶を見てその精神が大人になっていたとしても、未だ彼女はその殆どの人生を精神世界の暗がりという酷い環境ですごした10歳の少女なのだ。
ハンズも永戸も、キトにはそんなことをさせられないと、そう考えた。ではどうするのかと、そんな折にヴァンダリオから貰ったのが、カリオペという人物の身体なのだ。
ヴァンダリオと切り結んで尚殆どの欠損がなく、丈夫な肉体。それでいて既に持ち主は死んでいるという事実は、正に彼らにとって渡りに船であったのだ。
故に、その2人の打ち立てた秘策は秘策として機能する。後は、アマテラスをその身に宿し、眼前の歪な神を消滅するまで斬って捨てる。それだけだ。
「その秘策とやらを使う前に潰してやろう。」
が、当然それを神が見逃すはずもない。子供の発表会ならいざ知らず。ここは戦場であり、彼らが殺し合いをしているのであれば、訳の分からないことはされる前に潰す事が正解だろう。
「死ね。」
神話伝承ーーー【黄泉之宴:撃掌】
従って、轟速で放たれた黒腕の掌底が、凄まじい衝撃を伴ってキトへと肉薄する。・・が、
「「「させない(っすよ)!!」」」
光・雷複合魔法ーーー【鳴神超越】
風魔法+槍技スキルーーー【白風穿貫】
魔眼魔法+固有魔眼スキルーーー【煉獄解放】
閃光の剣が、白風の槍が、紅い蹴撃が。一斉に黒腕に叩き込まれ、その軌道を逸らさせる。
「雑魚どもにしては生意気な・・・」
神話伝しょ・・・
「うるさいわ。少し黙って。」
「隙は与えない」
炎魔法ーーー【輝蒼炎剣】
風魔法+魔眼スキルーーー【旋刃之牡牛】
次いで、飛んできた三人を倒さんと構えれば、その隙を穿つのは蒼く燃え上がる炎の剣と、幾重もの螺旋を描いた空気の斬撃。
「くっ・・このような物・・・」
その二つを、ただ右手を振るうだけで打ち消し、お返しにと両者に、瘴気と闇の魔力を固めた無数の弾丸を撃ち放つ。
が、
「させないよ。」
「ああ、俺の生徒に手出しはさせん。」
人造魔眼スキルーーー【牡牛座之魔眼】
別世伝承ーーー【反炎之草薙】
人造の蒼い輝きと、古の剣の炎風が煌めく。瞬く間にメアリーとリストへ向かう弾幕を消し飛ばした両者が飛び上がれば、そこに追随するのは二つ・・否、三つの影。
「ミノタウロスん時とは逆だなぁ、キト!」
「今度は僕らが時間稼ぎする番だよねー!」
「キトさんには指一本触れさせません!」
「支援は任せなさい!」
人造魔眼スキルーーー【牡牛座之魔眼】
別世伝承ーーー【八頭断撃閃】
紫電魔法ーーー【紫電鳴神】
武器魔法ーーー【崇暗皇単騎】
炎魔法ーーー【火龍之穿息】
魅了魔法ーーー【情愛之翼風】
あらゆる行動を加速し、あらゆる攻撃の威力を高める桃色の魔力の翼が飛び上がった全員の身体を抱擁し、火龍の吐息と、研ぎ澄まされた風の斬撃が繰り出される。
と同時に、紫電の稲妻が、黒く煌めく豪脚が、断頭八閃の斬撃が神の体を喰い破らんと肉薄する。
が、
「少し、本気を見せてやろう・・!」
神話伝承+⬛︎⬛︎伝承ーーー【崩撃禍惨・冥府一閃】
生み出されるは黒渦。放たれるは一閃。情景すらも黒く塗りつぶす程の一撃は、放たれた全ての技、放った全ての対象を喰らい尽くし、斬り飛ばさんと迫り来る。
その斬撃は、それ即ち死への片道切符。当たれば絶対即死の災厄にして最悪の一撃。
故に、其は負の力の塊にして具現化。
と、言うことは・・・
「待たせたな。」
纏うは正なる紅の輝き。太陽のような緋色の刃、赫灼の和装は、触れただけで即死の斬撃を消滅させる。
「神話伝承ーーー【天照大神】」
緋色の恒星が、その刃を構え・・・
「30秒で殺してやるよ」
「歪に歪んだ善神なぞ、我の敵では無い!」
神話伝承ーーー
神話伝承ーーー
「【黄泉神之顕現】」
「【八尺瓊勾玉】」
常人ならば見ただけで狂い散る程の瘴気を封じた厄神が顕現する。
その剛腕は、大地を砕き、着弾点を浄化できないほどの瘴気で犯す・・が、相対するは正なる力で満たされた、言わば善神。当然、対抗することなど造作もない。
展開されたのは、三種の神器に連なる勾玉。八個揃って陣を描き、撃ち放つのは赫灼の燃え盛る一本の光芒。向かい来る全てを焼き付くし、焼滅させる閃光は、腕もろとも大神の身体を焼き尽くし、莫大なダメージを与える。
が、
「神話伝承ーーー【冥再蘇生】」
焼き尽くした跡は冥府により引き出された力でもって回復され、与えたダメージは全て治癒の後に消滅した。
「我が冥府の力を引き出せる限り、貴様は我を殺すことなど出来はしまい!!」
「なら、その再生の上から刻めば良いだけだ!」
刃技スキルーーー【断縁・日輪】
眩い光が刃から発せられ、目眩しとなった一瞬、神はその目を反射的に閉じてしまった。だが、この戦いにおいて、その一瞬は致命的だ。
都合三回。縦横に刃が振るわれ、陽の光が神ごと空間を、世界を斬り開く。
世界を、空間を、縁を切り裂くその刃は、振るわれた回数分だけ神からその力、要素を繋ぐ縁を断ち切った。分かたれた三つのうち、一つは黒い服を着た少年、もう1つは和装で刀を佩いた少女であった。
故に、最後の一つは負の力の集積体。
「ぐ・・・かあ・・」
これこそ、無理に負の力をその身に取り込んだ成れの果て。
過ぎたる力は、往々にしてその力を求めた物に天罰を下す。
故に、眼前。浮遊する黒い塊は、後頭部から堕天した天使を取り込んだことによって生えた黒き翼を生やし、瘴気と闇に完全に侵され、醜く変貌した巨大な巨大な大神の顔。
「なら、遠慮する必要はねえよな。」
得た力の全て、俺の持ちうる力の全てをこの一撃に乗せ、冥府なんざ関係無いように存在ごと斬り飛ばして消してやる。
上段に緋色の刃を構え、持ちうる限りの全ての力をその刃に込める。ビシり・・と、俺の肉体と刃にヒビが入るが、気にせずに力を込め続ける。
そうして、ちょうど力を込めてから九秒。力を顕現してから二十九秒が過ぎる頃、
「一瞬・・・だっ!」
神話伝承+別世伝承+刃技スキル+血液魔法ーーー【緋天】
蓄積された緋色の輝きが一瞬のみ第二の太陽となって燃え上がり、世界を照らす。
振り下ろされた刃より、後に残ったのは、黒く染って燃え尽きた灰と、陽光に紅く煌めく緋色の灰燼。
これにて、一人の戦士の神殺しは成し遂げられ、学園を混乱に貶めた、邪神八十禍津日神の討伐は完了した。
最終決戦、永戸 VS 神 決着
次回、エピローグとなります




