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めいぷるどーる  作者: にゃー
11/13

10.そういう可能性


「もみじちゃん…授業中に急に呼び出してどうしたの?」


屋上につき最初に口を開いたのはあやのだった。


私はあやのの前をずがずが早歩きで屋上に来た。

道中、後ろから刺されるのではないかと気が気じゃなかった。




「あやの…」


意を決して私は話し始める。


「あやのは私を殺したいの?」


かみやに聞いた真実。

私はまだあやのの口から聞いていない。


あやのの顔から笑顔が一瞬消える。

取り繕うようにまた頬を緩めるあやの。


「や…やだなぁ、もみじちゃんったらいきなり何を言い出すのか。」


「あやの…私はたぶん全部知っちゃってるんだよ。」


真剣に話す私につられてあやのも真剣な顔で話し始める。



「……なにそれ…もみじちゃんに何が分かるっていうの?」


いつものあやのからは想像出来ないようなドスのきいた声で続ける。


「私はもみじちゃんが好き…大好き……

もみじちゃんといると毎日が楽しくて…

毎日が本当に幸せで…

もみじちゃんと会う前の私からは想像出来ないくらい…」


それは私も同じだった。

今こそ落ち着いているけどあやのに会う前の私はもうどうしようもないくらい荒れていた。

むしゃくしゃして仕方がなかった。

だからあやのを助けたのだって陰湿な虐めが気にいらないからであってあやののためなんかじゃなかった。


でもあやのはー

気弱で内気なあやのは勇気を出して私に声をかけてくれた。


ありがとうって

友達になりたいって


その言葉にどれだけ私が救われたか、あやのは知らない。


「いつからかわからないけど…

友達なんかよりも、親友なんかよりも、恋人なんかよりも、家族なんかよりも、それ以上にもみじちゃんのことを想うようになってた。」


「あやの……」


「一緒にお出かけしたときは時が止まればいいって思った…

一緒にお泊まりしたときは心臓が止まるかと思った…

最近はもっとくっつきたいって思っちゃう…

もみじちゃんを考えて1人でえっちなことしちゃうときもあるの…」


衝撃的告白を私は黙って聞いていた。

あやの、ぶっちゃけるね。


「もみじちゃんも私といるとすごく楽しそうだったね。」


あやのはいつの間にかのろけ話をするような女の子の顔をしていた。


「…当たり前じゃん。」


「それがすごく嬉しかった…でも…」


そんなあやのの顔が曇る。


「今年のバレンタインだったかな…もみじちゃんが告白されてるの見ちゃったんだ…」


「…断ったけどねー。」

私は笑って見せたがあやのの表情は変わらない。


「そのときからかな…もしもみじちゃんに私なんかより大切な人ができたら私はどうなっちゃうのかなって考えるようになったの…」



私も考えたことあるよ。

あやのにもし大切な人ができたら私は1人になることが多くなるのかなって…。


でもあやののそれは、嫉妬にも近い感情であるように思えた。


私はちょっとさみしいなって考えただけだ。本気度が違う…



「もみじちゃんが取られちゃう…誰かも分からない人につれてかれちゃう…

1人になるよりそれに私は耐えれないんだ…だからね……」


あやのは涙声になっていた。


「誰かに取られるなら…殺して……そう…っ…そうすれば……もみじちゃんはずっと……ずっと…私のそばに……」


あやのの大きな目から涙が溢れる。


一般的に考えれば狂ってると思うかな…でも私は全然嫌じゃなかった。

あやのになら…とか思えちゃう。



あやのは全部、着飾ることなく、全部話してくれた。

だからね、今度は私の話しを聞いてよ。



「あやのー!」


「ふぇっ?」


不意をつかれたのか変な返事をするあやの。かわいい。


「私のこと殺したいほどに思ってくれてありがとう!」


「……ありがとうなのかな…」


「あやのに想われて嫌な気しないし正直な感想だよ。」


うん、そうだね。

自分が言ったことに納得できている私がいて少し嬉しかった。


「私はさ、恋愛の面から言えば今好きって言える人はいないよ。あやのといるのが一番楽しいしらくだし。」


「……」


あやのは嬉しいような悲しいような複雑な表情をする。


「もっと言っちゃえば男の子といちゃいちゃちゅっちゅしたりやましいことをしたいなんて生まれてこの方1度も思ったことない。

でも女の子に興味があるかと言われれば今のところはないかな。」



「……何が言いたいの?」


「でもあやのに好きって言われてまいあがちゃってるわけでさ。

私がこれからどうなるかなんて分からないわけだよ。

男の子に興味を持ってつきあうかもしれないし、

女の子が好きになって女の子と結婚とかしちゃうかもだし、

一生恋愛に興味持てなくてこのままかもだし。

あやのと付き合って結婚してずっと一緒にいるかもだし。」


あやのの顔が林檎みたいになる。


「あわわ…えっと……その…つまり…どういうことなの?」


あやのがいつものあやのに戻ってきた。

ふわふわしててちょっとおどおどしてる、私の大好きなあやのに。



「あやのはさ、そういう可能性も全部つぶして私を殺そうとしてるんだよ。

私が言うのもなんか変だし命乞いに聞こえるかもだけど、

それってなんかすごく勿体無いよ。」


「……でももみじちゃんが他の誰かに取られちゃったら私…」


「そんときに、私を殺してでも取られたくないって言うなら殺しにきてよ。私はそれを受け入れる…

あやのになら殺されてもいいって思える。

……まぁ逆にあやのが他の人に興味持って逆に…って可能性もなきにしもあらずだけどね。」


私はそう言って1人で笑う。


あやのはさっきよりもたくさんの涙で地面を濡らしている。

拭うこともせず私のほうを見つめて。


「…やっぱり…もみじちゃんはもみじちゃんだ……バカで…おかしくて…いつも…いつも私を助けてくれ……て……」


そこまで言って大声で泣き出した。


「ばかでおかしいのはお互いさまでしょ。」


私はあやのを抱きしめてあげた。








私の頭に悲痛の涙をこぼしながら私を殺すあやのが浮かんだ。








私はあやのを救うことができたかな。

私たちが出会ったあのときみたいに。





屋上に響き渡る泣き声に混じって私も少し泣いた。




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