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漆話・巡る時の中で

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11152810の続き。

掠める程度には性的な事についての言及はあるものの、別に直接今回は事に及んでいないので、一応R-18とは言いませんが……。

本編がこれで完結して、番外ネタを投稿するかもしれないし、まだ本編が続いて番外ネタは無いかもしれない(←どっちだよ)……。

※このシリィズは偶然名前が同じだけでBlack Cycより発売されたアダルトゲームのタイトル、もしくはそのシリーズ名とは無関係です。

奇妙な同居生活だ、と千早は我ながら思った。

真尋もメフィストフェレスも、千早の屋敷に引っ越して来た。

人が頻繁に往来しない様な寂れた土地に住む様にしていたので、真逆二人が自分の家に住むと言い出すとは思わなかった。

此処に家を建ててから大分年月が経っている為、広さがあれども襤褸屋敷だ。

それでも好き好んで二人は、やって来た。

新しい住人になった二人が居る訳だが、千早の生活のペースが劇的に変わったという事ではない。

ただ…メフィストフェレスは、"Chirrín(出す時)-Chirrión(消す時)"という道具で千早の屋敷をリフォームしてみせた。

正確に言えば、"Chirrín-Chirrión"で千早の屋敷に過ぎ去った年月を取り払って新築の頃に状態を戻した、というのが真実だった。

メフィストフェレスの説明によれば、"Chirrín-Chirrión"は人間・物体問わず様々なものや様々な事柄を獲得したし喪失させる事の出来るアイテムだという。

そんなメフィストフェレスの職業は本人曰く、魂の取立屋だそうだ。

魂を代価に契約するので、契約者の死後その魂を地獄に堕とすのが仕事だという。

ただし。真尋との契約はその仕事とは別件なので、真尋の魂を地獄に堕とすのは仕事に含まれない。

寧ろ、現世でのメフィストフェレスの身元引受人的な立ち位置なのは真尋らしい。

そしてその真尋の場合、仕事上においては職場とこの屋敷の距離は不都合な様だが千早に転居させるより自身が不便なぐらいなら辛抱出来るらしい。

其処で妥協案として、行きは職場に着くのに不自然でない距離まで"Chirrín-Chirrión"で送らせ、帰りは行きの時に送った所から家まで矢っ張り"Chirrín-Chirrión"で送らせる、という事を千早が提案して真尋とメフィストフェレスが受け入れて成立している。

……如何やってメフィストフェレスに真尋が連絡を入れるのかを、千早は知らないが。

 

「ただいま、千早さん」

 

帰ってきた真尋がそう言って、千早に抱きついて軽くキスを落とす。

そうして暫く抱きしめている事で、真尋なりに自身の気力を充填するのだ。

千早もそれを嫌がらずに、おかえり、とも言ってくれるので習慣になった。

そして真尋が充填し終えて寛ぎ出す頃に、メフィストフェレスが千早に抱きついて真尋が充填していたのの真似をするのも、同じく習慣になった。

真尋の真似をするのは、それが羨ましいからが理由である。

行きは行きで、真尋は『行ってきます』のキスもする。

だから家に残ったメフィストフェレスは、出かけないが千早に抱きつく。

メフィストフェレスは、千早を好いている事を千早にも真尋にも隠していない。

真尋の方も、早を好いている事を千早にもメフィストフェレスにもにも隠していない。

ならばこの関係は三角関係で有るのかといえば、答えはそうだ、とも、違う、とも言える。

そんなややこしい事になった要因は真尋とメフィストフェレスの間柄が、他者でありながら感情の分裂の一部であり、自身の精神の一部でありながら別個体とも言える間柄だからだ。

言い換えると、同一人物が感情分裂を起こして分離しているので同一人物に好かれているとも言えるし、並行世界から可能性によって差分化された同一人物を同じ世界に並列で存在する事が可能になってしまった状態とも言える。

要するに、この二人はややこしい事この上ない連中なのだ。

それでも三人で住む事になった際に、真尋は千早にその事を説明した。

メフィストフェレスの方は、一応それを茶化さず邪魔せず温和しくしておく事にした。

メフィストフェレスには、平ったい説明が出来るか如何かに自信がなかったのだ。

真尋は説明の際に飲み込む事が難しくとも、さらっとしたレベルには理解出来る様には咀んで砕いて説明をする事を心がけた様だった。

そのお影で、三角関係かと千早は悩まないで済むようになったらしい。

……らしい、なのは本人ではないから断定出来なかっただけだが。

そして今日の真尋の帰りは、担当している人でなし小説家の阿呆な所業の所為で遅かった。

毎度の習慣が一通り終わって、その後はそれぞれで寛ぐのも良く有る事だ。

 

「ふあぁ……」

 

メフィストフェレスが眠たそうに欠伸をする。

寛ぎながら読んでいた本を、読み飽きたらしい。

栞を挟んでソファで寝落ちしていったメフィストフェレスを尻目に、真尋は千早の耳にキスをして、後で貴女の部屋に行きますから…と耳元で囁いた。

千早は途端に顔が赤くなる。

そんな千早を可愛らしい、と真尋は思いながらメフィストフェレスを部屋に送ってから一旦自室に戻って着替えてから千早の部屋に向かう事にした。

一緒に暮らすようになって、真尋が千早と閨を共にする事が在る様になった。

そして、それによって実証出来る様になった事がある。

一つは、千早は無自覚とはいえ吸精導気の術を体得していたという事。

恐らく夫が、衰弱死した事も有るのかもしれない。

再婚した事も在ったのではないか、と真尋は思う。

そして二つ目は、自身の立てた仮説が正しかったという事。

千早の吸精導気の術に対して、真尋の霊力と能力は補う事が可能であった。

なので、一定期に供給する事が可能であり、衰弱死など有り得なかった。

さらに三つ目。情事の際の千早の、普段とのギャップ。

これは全く真尋も想定していなかった事だが、千早はいざ事に及ぶと思っていたより快楽に貪欲であったという事。

羞恥に悶えながらも、体は素直に快楽を欲し、時間を掛けて愛し合う。

そんな千早の一面を知り、更に千早に溺れる自分を強く自覚する様になった。

却説。今夜は如何やって、愛しい千早を愛で、悦ばせようか?

そう思いながら、真尋は千早の寝室へとゆったりとした足どりで歩いていった。

寧ろ本編続きや番外ネタよりhttps://dgdc-shop.booth.pm/items/1390353が先になりました(2019/05/27)

更に(2019/05/31)→https://dgdc-shop.booth.pm/items/1395607

結局これで完結になりました。

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