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伍話・時の旅行者は光へと自由落下する

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11146094の続編で御座います。


※このシリィズは偶然名前が同じだけでBlack Cycより発売されたアダルトゲームのタイトル、もしくはそのシリーズ名とは無関係です。

先日、メフィストフェレスは念願の千早の笑顔が見れて、すこぶる機嫌が良い。

無論次の目標は、泣き笑いでなく心から千早に笑ってもらえる事だ。

どんな事を一緒にしたら、彼女は笑ってくれるだろうか?

考えるのがとても楽しく、気がつけば最近はすっかり千早と千早が喜んでくれそうな事はどんな事か考えてばかり居る様になっていた。

 

「随分と機嫌が良いじゃあないか、メフィスト」

 

日常の様にスーツ姿の真尋が現れた。

この間、精神世界に居た時はネクタイと背広は脱いでいたが。

 

「そりゃあそうですよ、良い事が有りましたからね」

 

思わず、真尋の言葉に笑って返答した。

そんなメフィストフェレスの表情を見た真尋は、

 

「……ふぅん、余程良かった事に見える。お前さんが終始ニマニマしてて、今なんかドヤ顔で返答するなんてさ」

 

この男は毎度、こうである。

どうにもメフィストフェレスにとって真尋は、批判者あるいは制止役である事が良く有るのだ。

 

「……別に僕がどんな風に笑おうが、どんな風に喜んでいようが、君には関係無いだろう?」

 

如何して一々規制をかけられにゃならんのだ、とメフィストフェレスは思った。

時に綺麗事を言ったって駄目な時だって有る事を、知らない訳でもあるまいに…とも真尋に対して思った。

 

「まァ、それはそうだな」

 

真尋は思ったよりあっさりと、先程のメフィストフェレスの弁を肯定した。

却って、反論される事の多いメフィストフェレスからすると拍子抜けすると共に、何を考えているのか勘繰りたくなる。

だからもう少し、前から思っていた事も言っておく事にメフィストフェレスはした。

 

「……でしょう?だから僕が君と契約していようが、現在の僕には人形があるんだから僕が君と別行動したって問題はない」

 

そうだろう?とメフィストフェレスが言い足した後に真尋は、

 

「だから、大有りなんじゃあないか」

 

と、切り替えしてきた。

矢張り何処かで真尋はメフィストフェレスに釘を差しておかずにはいられない様だ。

勿論、メフィストフェレスもそのまま引き下がっている様なタイプではない。

 

「何故です……?」

 

理解しがたい、と言外で言わんばかりの声音で言う。

メフィストフェレスからすれば生まれてこのかた、父母の存在も無く生きてきたのだ。

アンタが自分の母親か父親にでもなった様な気分だ、と真尋に思っている。

 

「そりゃあ、君…君が常識を、鼻のかむ目安にもならないと思っている事で生じる問題というものがあるのだよ。少しは常識を考えて行動しろ」

 

束縛を好まないメフィストフェレスは、常識という枠もあまり好まない。

むしろ、常識範囲で収まるより奇を衒う方を好む。

真尋が常識を弁える様に言う気持ちは、全然理解出来無い。

 

「……そんな枠に収まってたら、雁字搦めで身動きが取れないじゃないですか」

 

思わず肩を竦めてしまう。

無理やり型に押し込められるなんて、ウンザリだ。

そう思っていたら、そんなメフィストフェレスに真尋からの返答は、

 

「別に俺だって、一から十まで全てを一々遵えと言ってるんじゃあない。そこそこ遵って、そこそこ遵わなくて良いのだ。要するに、悪逆無道から路線転向して性格傾向が光堕ちでもすれば良いという訳だ。つまりは、善良なる老若男女を助ける事が喜べる様になれば良く、悪人や悪鬼を改心させる気がお前に起きないのならお前が奴等をド突こうが吐かせようががん泣きさせようが精神的にも肉体的にも死なない程度に痛めつける事を俺はとやかく言う気は無い。因みに…お前が限度も考えずに言動を取るから言っているだけであって、俺だってお前の母親にも父親にもなった経験(おぼえ)は無い」

 

で、あった。

メフィストフェレスが思ったより、真尋も意外と規定範囲が緩いらしい…という事を初めて理解した。

だからといって、千早の笑顔に関してはそれでも真尋に教えるつもりの無いメフィストフェレスであった。

 

「そうまで仰るのなら、その範囲は…努力してみます」

 

そう言ったメフィストフェレスに、真尋は軽く頷いた。

多分この回はこのやり取りをさせたいが為に書いたと思われる(;^ω^)

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