弐話・時の旅行者は明るい夜の夢に訪う
懲りずにhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11141789の続編を書き上げました。
今回は真尋がお休みの回。
相変わらず設定が緩いですヾ(・ω・`
作者ですらシリーズ完結の際の結末が予想出来ずに進んでおります。。。
※このシリィズは偶然名前が同じだけでBlack Cycより発売されたアダルトゲームのタイトル、もしくはそのシリーズ名とは無関係です。
「千早さん、逢いたかったーーー!」
メフィストフェレスは会いに来た開口一番、そう言って思い切り抱きついた。
勢いが良かった為、千早はメフィストフェレスとの身長差もあってメフィストフェレス共々倒れ込んでしまった。
幸い、メフィストフェレスの腕に支えられて辛うじて千早は頭を打たなくて済んだ。
替わりにメフィストフェレスのスカーフタイに千早の顔が埋まってしまった。
「メフィスト……く、苦しい……!」
「あっ!済みません……」
千早の苦情に気づいたメフィストフェレスは、急いで千早を救出した。
仮令メフィストフェレスの腕力が怪力でなくとも、スカーフタイに顔が埋もれるとマスクの様になってしまう為苦しかった様だ。
「それにしても、夢の中でも痛覚があるのね……」
そう言って苦笑した千早に対してメフィストフェレスは、
「夢の種類にも拠るみたいですよ」
と、答えた。
千早はそれに、そうなのかぁ…、と返した。
現在、千早の夢の中にメフィストフェレスが訪問している。
メフィストフェレスの場合、初回から夢の中に訪問しており、それを千早には通告済みである。
「それにしても済みません、二人きりで会えた事が嬉しくてつい抱きついた所為で……」
嬉しかったり楽しかったりすると、ついテンションが上がり過ぎて周囲を振り回しがちになるのはメフィストフェレスの悪い癖だった。
真尋あたりなど、よくその事を口を酸っぱくして指摘する。
それでも中々、メフィストフェレスはそれを直せなかった。
そうして今回の事故が起きて、メフィストフェレスも流石に少し堪えた。
好きな人を困らせたり苦しめたい訳ではないから、というのが堪えた理由だった。
「なんとかなったから、それで良しって事にしましょう?」
そんな元気の無い様子のメフィストフェレスを気の毒に思ってか、千早は怒らないで許す事にした様だ。
「はい、有難う御座います」
千早から先程の事故を許して貰えたメフィストフェレスは、ニコニコと嬉しそうに笑った。
我ながら現金というか、変わり身が早いというか……とメフィストフェレス自身でも思ったが、許して貰えた事にほっとしたものである。
もし許して貰えなかったら、ひたすら謝り倒すしかない。
……と、いうか。
ひたすら様々な土下座を繰り返し、それでも自分自身が許せなかったかもしれない。
悪夢を具現化したような存在であるメフィストフェレスともあろうものが、一人の女性に一目惚れして初恋に右往左往する只の男になってしまっている。
それでもメフィストフェレスは、外に出られなかった頃よりはすっと良い、と思っている。
そして今日も、今日一日にあった出来事を千早に話す。
メフィストフェレスが自身の観点から話すので、些細な事であってもすぐにマシンガントークのネタになる。
その為千早は、何時も聞き手である。
話す相手によってはそれを繰り返している内に怒り出して嫌われてしまう事もあるが、千早は怒り出した事は無い。
そのかわり、メフィストフェレスが喋り終えるまでの間は終始言葉を差し挟まず(…というか、押しが強かったり早口で喋れないと差し挟めない)に文句も言わない。
千早はいつだって、メフィストフェレスの立て板に水の如き流暢な長話を受け止めてくれるのだった。
「メフィストは、様々な事に興味があるのね」
話を聞き終えた千早にそう言われ、メフィストフェレスは嬉しそうに頷いた。
「そうなのです!僕にはまだまだやってみたい事が多い。出来ればいずれ、現実世界でも貴女と会って色々な事を一緒にやりたいのです」
満面の笑みで理想を語ったメフィストフェレスに、千早は驚いた様だ。
「幻魔って、現実世界にも出てこられるの?」
思わず千早から発せられた疑問に、メフィストフェレスは素直に答えた。
「出てこれなくはないですよ。実体というか依代と言うか…肉体の代わりになる物が無いと、幽霊さながらと言うかな風になってしまいますけどね……」
その答えを聞いた千早は、便利なのか不便なのか判らない感じね、と苦笑して言った。
「まあ……肉体の代わりになる物があってもなくても、メリットもデメリットもありますからね」
天が下に100%という意味での完璧などというものは、本当には存在し得ないものなのである。
メフィストフェレスも、思わず千早につられる様に苦笑した。
「でも、そうかぁ……現実世界でも会おうと思えば会えなくもないのね」
そう呟いた千早が、感慨深げな表情をした。
それに気付いたメフィストフェレスは、如何してその事を千早が気に留めたのかが気になった。
この場で訊こうか、それとも実際に現実世界で会った時に訊こうか…と考えて、現実世界で会った時に訊こうとメフィストフェレスは思った。
「現実世界で会ったら…千早さん、貴女は僕をどんな風に思ってくれますか?」
書きたいところだけ書いてるシリーズ(;^ω^)




