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Snowdrop ~雪の華 あなたの死を望みます~  作者: 黒龍
番外編 新年度編
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新年度P6

「あっ、もうないのか」

「えっと、クラシア様。お言葉ですが、空腹でしたでしょうか?」

「いや?そんなことはないが?」

「わたくし、3人前ご用意していたのですが、クラシア様がすべて召し上がられてしまいまして……」

「……えっ?」


 そういう反応をされるのも仕方ありませんか。無心で資料を見つめ、無意識にサンドイッチをつままれておりましたから。


「あっ、すまない。お前さんの分もあったのか」

「きにされなくて大丈夫です。すべてクラシア様のためですので。最後にデザートがあるのですが、いかがいたしましょう?」

「そうなのか。……いや、そこまですると、申し訳なく感じるからお前さんが食べていいぞ」

「えっと、わたくしも、間食用にと準備はさせていただいているので……」

「あぁ。そうか。それなら、夕食後に貰ってもいいか?今はなんだか、これ以上食べると、お前さんに申し訳ない。何か食べるものは……」

「いえいえ、そんなお構いなく。少しキッチンにもぐってサクッと食べてまいります」

「そうか。いろいろすまないな」


 クラシア様は、たまにこういうところがあるものの、ここまで無心で無意識で召し上がられるのも珍しいものです。

 それほど、官僚たちの性格や経歴を頭の中に入れておきたいのでしょうか?

 いわれてみれば。のお話にはなりますが、クラシア様が首長に就任されたときというのは、いわゆる魔女狩りに対する反発が激しくなった時でありました。

 自らの意志で反政府勢力の撲滅を目指していたクラシア様ですが、こうやって、新年度の挨拶もあったものの、常に睡眠不足の状態で話をされていた上に、話をしながらでも、頭のどこかで聞き流し、大半は反政府勢力のことでいっぱいだったはずです。

 ですから、官僚の名前を憶えていたとしても、性格や細かい経歴などは知らない。という可能性もございます。その可能性をわたくしは排除しておりましたので、お恥ずかしい限りです。

 こうやって平和になった今、お忙しい毎日に変わりはございませんが、国を揺るがしていた大きな悩みの種がなくなったというのは大きいことかと思われます。


 さて。休息も取れて、少し体力等が回復されたように見受けられるクラシア様。

 午後からの公務もやる気はなさそうに見受けられますが、こなしていただかないと、


「クラシア様、お時間でございます。ご準備はよろしうございますか?」

「ふふっ。なんだか、お前さんの京言葉を聞くのは久しぶりだな。たまにでるその京言葉が私は好きなんだよな。これからそれで私に話してくれないか?そのほうが落ち着くかもしれん」


 ……えっと、確かに、わたくしも生まれは京の都ではございますが、小さいころからいろんなところにテレポートでワープしていたため(詳しくは「15.アリアスの過去」をお読みいただければ幸いです)、そういったことは気にしていなかったのですが……。どうやら、丁寧にお話ししようとすればするほど、そういった傾向があるのかもしれませんね。


「えっと……善処いたします」


 自分でも少し照れたように感じます。なんとかそれだけお返しして、次なる省庁のトップをお迎えに参ります。

 えっと。お次は……。あっ、保険庁からレイチェルさんですか。それはありがたいですね。クラシア様も午後一、気を張らずに面会に臨んでいただけるでしょう。


「お待たせいたしました、レイチェルさん。ご機嫌はいかがですか?」

「はぁ。よかった。アリアスさんの出迎えか。ほかの人なら気まずいなぁって思っていたからさ、あんたでよかったよ」


 男勝りなしゃべり方。これがレイチェルさんです。

 各省庁のトップの方には、わたくしは「様」とお付けするのですが、とある関係のある方々には「さん」とお付けしてお名前をお呼びしております。

 というのも、レイチェルさんは、元反政府勢力スノードロップの一員なので、わたくしたち政府側からすると、一度は敵となった人物なのでございます。

 わたくしが「さん」とつけてお呼びするのであれば、元反政府勢力等の敵対認識をしたお相手ということになりますね。

 さすがに、一度で機体認識したお相手に「様」を付けてしまうと、わたくしが舐められてしまう恐れがあるので、少し距離を置くようなイメージでお呼びさせていただいております。

 ですが、何なのでしょうね。一度は裏切られ、敵となった関係ですが、ここまで関係が修復されるどころか、前よりもレイチェルさんから私に対する距離が近いように感じます。

 それも、気負うものがなくなったこと、クラシア様からの恩赦で今のトップを続けられていることがあるのでしょうか?

 ただ、わたくしには関係のないことです。平和で、政権長く、クラシア様のことを支え続けるのがわたくしのお役目ですので。

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