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風車
カラフルな羽の付いた風車を頭に刺した。
時の鎖が千切れた音がして、寿命から解き放たれた実感があった。
僕は不老になったんだ!
怪我をしても立ちどころに治った。病気も罹ることはない。
僕は不死になったんだ!
風が吹いて羽が回り続ける限り、僕は死なない。僕は死ねない。
ある時は真面目に働いた。お金はもういらないや。
ある時はたくさん勉強した。新しい知識はもうどこにもない。
ある時は教えを説いて回った。神の教えを説くのが人間であることを誰も気に留めない。
ある時は国を作った。形ばかりを真似た国々は暦を数える間に滅んでいった。
犯罪も戦争も、悪逆の限りを尽くしてみた。
それからは、世の流れるままやりたいことをやった。
風はまだまだ吹いていた。
僕は色褪せた風車を抜いて投げ捨てた。




