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三食団子で春を売る
影が差し込んできて、夜が一層暗くなった。
スマホから目を離して上を向く。仕事帰りのくたびれたスーツを着たおじさんが立っていた。
「君、いくら?」
「ホ別いちご、ゴム有り」
「いいね。じゃ、行こっか」
寄りかかっていた壁から背中を剥がし、おじさんの腕に抱きつく。こうすると金払いがよくなるのだ。
ホテルに入って前金を受け取り、一緒にシャワーを浴びた。
「ゴム無しだといくら?」
口を押さえてシャワーに混じる吐息。力の入らない体でおじさんに抱きつく。指を三本立てた。
その場で一回。お姫様抱っこで運ばれたベッドで一回。
「もっときもちちよくなろ」
バッグから白と緑をちらりと覗かせてキスをせがんだ。
まだまだ元気なおじさんは「いくら?」私を買った。
桜と雪と緑、まるで三食団子で、私は春を売る。




