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轗軻不遇
ため息と共に煙草の煙を吐き出した。
一面の雪化粧に目を奪われ、畦道から飛び出した車が田んぼにタイヤを奪われた。
抜け出そうにも空回るばかりで、軽自動車ではまるで馬力が足りなかった。
どうしようもなくなったので、牽引してもらおうと父に連絡を入れたのがついさっき。
思えば俺の人生はこんなことばかりだ。
小学生の時は転校が多く、浅い人付き合いの仕方を処世術としてしまった。
中学生の時は陸上部に入って、最後の県大会一週間前という時期に風邪を引き、準決勝敗退。
高校生の時も同様の時期に肉離れを起こして棄権。
大学生になって入った軽音サークルは初ライブを前に空中分解し、卒業間近というタイミングで第一志望の会社が不祥事により倒産。半年ほど無職だった。
この先もきっと地力の及ばない不運の連続なのだろう。
遠くで車の音がした。煙草を捨てて足で潰す。
父は軽自動車に乗ってやってきた。




