57/100
追いかけて
マンホールの蓋が開いていた。
開いているといっても半開きで、閉じようと思えば閉じれる。
昨夜の大雨で道路が冠水した影響で蓋が持ち上がったに違いない。
さて、と私はその縁を持って蓋をずらした。
蓋は思っていたより重くて、コンクリートの地面をガリガリと削り跡を残した。
まあ私の知ったことではない。
中を覗くとお先は真っ暗だった。心が躍る。
一歩ずつ、一歩ずつ、確かめるようにして下りていく。
蓋は開きっぱなし。誰かが落ちてくるかも。
まあ私の知ったことではない。
光の届かないほど深くまで下りて、ようやく地面に足が着いた。
据えたドブの臭いがまとわりつくようだ。
まさしく! 私に相応しいじゃないか。
さあ、地下暮らしの始まりだ。




