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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第九、呂蒙伝
580/603

註四、士仁と麋芳の降伏

註4.

吳書曰:將軍士仁在公安拒守,蒙令虞翻說之。翻至城門,謂守者曰:「吾欲與汝將軍語。」仁不肯相見。乃為書曰:「明者防禍於未萌,智者圖患於將來,知得知失,可與為人,知存知亡,足別吉凶。大軍之行,斥候不及施,烽火不及舉,此非天命,必有內應。將軍不先見時,時至又不應之,獨守縈帶之城而不降,死戰則毀宗滅祀,為天下譏笑。呂虎威欲徑到南郡,斷絕陸道,生路一塞,案其地形,將軍為在箕舌上耳,奔走不得免,降則失義,竊為將軍不安,幸熟思焉。」仁得書,流涕而降。翻謂蒙曰:「此譎兵也,當將仁行,留兵備城。」遂將仁至南郡。南郡太守麋芳城守,蒙以仁示之,遂降。吳錄曰:初,南郡城中失火,頗焚燒軍器。羽以責芳,芳內畏懼,權聞而誘之,芳潛相和。及蒙攻之,乃以牛酒出降。

(訳)

呉書にいう、

将軍の士仁しじんは公安に在って防御しており

呂蒙は虞翻ぐはんを遣って彼を説得させた。

虞翻は城門に至ると、守兵に言った。


「吾は汝の将軍と語らいたい」


士仁は会見を肯じなかったため

そこで書簡を為して述べた。


「聡明な者は禍乱を萌芽せぬうちに防ぎ

智者は将来に於ける憂患を図るもので、

得失を知れば人とともに為す事ができ

存亡を知れば吉凶を別けるに足りましょう。


大軍が行動を起こした際

斥候は施されるに及ばず

烽火は挙げられるに及びませんでした。

これは天命ではなく

必ずや内応が有ったのでしょう。


将軍は先んじて時流を見られず

時至っても、やはりこれに応じられません。

ひとりで縈帯えいたい(包囲された)の城を

守って降伏せず、死を賭して戦えば

則ち宗族をこわし、祭祀を滅ぼす事となり

天下は譏笑(嘲笑)しますぞ。


呂虎威(呂蒙)は真っ直ぐ南郡へ到って

陸路を断絶しようとしており、

活路が一たび塞がれたなら、

その地形を勘案するに

将軍は箕舌(ちりとりの先)の上に

おられるにすぎず、

奔走しても免れる事はできません。


降伏すれば則ち義を失う事になりますが

ひそかに将軍の為に不安をいだいております、

熟慮いただければ幸いです」


士仁は書を得ると、流涕して降った。

虞翻が呂蒙に言うには、


「これはいつわりの兵です、

士仁を率い、兵を留めて

城を防備させるべきです」


かくて士仁を率いて南郡へと至った。

南郡太守の麋芳びほうが城を守っていたが

呂蒙が士仁を彼に示すと、遂には降伏した。


呉録にいう、

南郡の城中で失火が起こり

頗る軍器が焚焼ふんしょうしてしまった。


関羽が麋芳を責めたことで

麋芳は内心恐懼してしまい、

話を聞いた孫権が彼を誘うと

麋芳はひそかに和を通じた。


呂蒙はこれを攻めるに及び

牛や酒によって投降させた。


(註釈)

虞翻が医学に詳しいから、プラス

汚名挽回の機会を与えるために

呂蒙が従軍させてたのは、

前のページで述べたとおりです。


虞翻は降伏者に対して妙に当たりが強く、

魏の于禁うきんにも蜀の麋芳にも

怒鳴り散らしていたことが

虞翻伝にて語られている。


士仁しじんは、季漢輔臣賛によると

字を君義くんぎといい、広陵こうりょうの人。

徐州出身ということは、劉備が陶謙に代わって

徐州を治めていた頃から

仕えている可能性が高い。


関羽伝でのみ

傅士仁ふしじん」と書かれており

演義ではこちらを採用している。


麋芳、郝普かくふ潘濬はんしゅんは呉に降った

後の様子にも触れられているけど

士仁は全く描写がない。

仮に劉備に二十年以上仕えているなら

結構年がいってるという事でもあり

すぐ亡くなってしまったか、

もしくはあまり出世できなかったんだろう。


北方三国志だと、

張飛は劉備に叱られていると

俺にしかこういう怒り方は

しないんだろうな、と感じて

嬉しくなっているが、


反面で関羽に叱られるときは

道理をくどくど言ってくるので

もうやめて、という気分になる…

というシーンがある。


演義の14回のラストでも


「兄者が言いつけたよな!?

お前はその時なんと言った!?

姉者を奪われておめおめと

どのツラ下げてきおったか!!」


と、張飛の過失を捲し立ててくる関羽。

言われた方はげんなりするだろう。


創作ではあるのだが、割と実態から

外れていないような気がする。

麋芳がボヤ騒ぎで関羽に叱られた時も

こんな感じなんじゃなかろうか。


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