五・註四、董宏/董和と董允は…
5.
允孫宏,晉巴西太守。
(訳)
董允の孫の董宏は、晋の巴西太守。
註4.
臣松之以為陳群子泰,陸遜子抗,傳皆以子系父,不別載姓,及王肅、杜恕、張承、顧劭之流,莫不皆然,惟董允獨否,未詳其意,當以允名位優重,事蹟逾父故邪?夏侯玄、陳表並有騂角之美,而亦如泰者,魏書總名此卷雲諸夏侯曹傳,故不復稍加品藻。陳武與表俱至偏將軍,以位不相過故也。
(訳)
わたくし松之が考えるに、
陳羣の子の陳泰や
陸遜の子の陸抗の伝は
いずれも子を以て
父に連系させる形をとっており
別に姓を載せていない。
(蜀書9巻は「董劉馬陳董呂伝」で、
董和と董允を分けて載せている)
及び王肅(王朗の子)、杜恕(杜畿の子)
張承(張昭の子)、顧劭(顧雍の子)
といった流輩も皆
そのようでない事はない。
董允獨りが異なるのは、
その意を詳らかにはできないが
董允の名声、地位が際立って重く
事績が父を逾えていた
からであろうか?
夏侯玄(夏侯尚の子)、陳表(陳武の子)は
揃って騂角の美を有していたが
やはり陳泰の如くであり、
魏書はこの巻を総称して
「諸夏侯曹伝」といっている。
故に、また品藻(品評)を
加えなかったのであろう。
陳武と陳表は倶に偏将軍に至り
地位がお互いを超えていない(同じ)
だったからであろう。
(注釈)
騂角の美は、論語や
史記の仲尼弟子列伝にあります。
「仲弓父,賤人。孔子曰:『犁牛之子騂且角,雖欲勿用,山川其舍諸?』」
(訳)
仲弓の父は下賤な者であった。
孔子いわく、
「犁牛(耕牛、まだらな牛)の子も、
騂くて且つ角あらば
(祭礼に)用いないようにしようとしても
山川はこれを見捨てたりはしない」
史記集解に何晏の解説が載ってます↓
何晏曰:「犂,雜文。騂,赤色也,角者,角周正,中犧牲,雖欲以其所生犂而不用,山川寧肯舍之乎?言父雖不善,不害於子之美。」
(訳)
「犁は雑文(乱雑な模様)、
騂は赤色のことである。
(牛は)角がしっかりしていれば
犠牲に中る。
その生ずる所が犁であって
用いようとされずとも
山川がどうして捨てる事を肯じよう。
父親が不善であると雖も
子供の美を害さぬ、と言っているのだ」
個人的な董允評。
戦闘 ★★★★★ 5
戦略 ★★★★★ 5
内政 ★★★★★★★ 7
人格 ★★★★★★★★ 8
顔色を変えて諫言する様は晏嬰、
宴会キャンセルして董恢に
付き合う様は周公旦の風がある。
陳祗評
戦闘 ★★★★ 4
戦略 ★★★★★ 5
内政 ★★★★★★ 6
人格 ★★★★★ 5
政治的立ち回りはめっちゃ上手い。
次の呂乂伝で蜀書の9巻は終わりです。




