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淡々三国志  作者: ンバ
蜀書第七、龐統伝
544/603

註四・註五、そこんとこ教えて/常に曹操の逆

註4.

江表傳曰:先主與統從容宴語,問曰:「卿為周公瑾功曹,孤到吳,聞此人密有白事,勸仲謀相留,有之乎?在君為君,卿其無隱。」統對曰:「有之。」備嘆息曰:「孤時危急,當有所求,故不得不往,殆不免周瑜之手!天下智謀之士,所見略同耳。時孔明諫孤莫行,其意獨篤,亦慮此也。孤以仲謀所防在北,當賴孤為援,故決意不疑。此誠出於險塗,非萬全之計也。」

(訳)

江表伝にいう、

先主は龐統と従容くつろぐして

宴席で語らった際に

このように問うた。


「卿は周公瑾しゅうこうきんの功曹だったな、

孤が呉へ到った際、

この人(周瑜)は密かに建白して

仲謀ちゅうぼう(孫権)に

(私を)拘留するよう

勧めたと聞いているが、

そのような事があったのか?


主君在らば主君が為(に動くもの)、

卿よ、その事を隠さんでくれ」


龐統は対して

「ありました」と言った。


劉備は嘆息して言った。


「孤は当時危急(の状況)で、

まさに求めようとする所があったため

往かずにはおれなかったが

殆ど周瑜の手(に落ちるの)を

免れられぬところであった。


天下の知謀の士の見解とは

ほとんど同じものなのだな。


時に孔明こうめいが孤に

行ってはならない、と諌めたが、

その意思が獨り篤かったのは、

やはりこの事を慮っていたのだ。


孤は仲謀の防ぐ所が北に在る事から

当然孤を頼みとして

援護とするものと考えたため

意を決して疑わなかった。


それは誠に危険なみちから出たもので

万全の計略ではなかった」



註5.

九州春秋曰:統說備曰:「荊州荒殘,人物殫盡,東有吳孫,北有曹氏,鼎足之計,難以得志。今益州國富民強,戶口百萬,四部兵馬,所出必具,寶貨無求於外,今可權藉以定大事。」備曰:「今指與吾為水火者,曹操也,操以急,吾以寬;操以暴,吾以仁;操以譎,吾以忠;每與操反,事乃可成耳。今以小故而失信義於天下者,吾所不取也。」統曰:「權變之時,固非一道所能定也。兼弱攻昧,五伯之事。逆取順守,報之以義,事定之後,封以大國,何負於信?今日不取,終為人利耳。」備遂行。

(訳)

九州春秋にいう、

龐統は劉備に説いて言った。


「荊州は荒廃し、人物は※殫尽たんじんして

(※殫も尽もつきるという意味)

東には呉孫、北には曹氏がおり

鼎足の計は志を得難い(状況)です。


今、益州は国が富み、

民は強く、戸口は百万、

四部の兵馬は出す所で必ず具わり、

宝貨を外に求むる事がありません。

今は権謀によって大事を

定めるべきかと存じます」


劉備は言った。


「今、私と水火(の関係)を

為している者を指すとなると、

曹操そうそうである。


曹操が『急』を以ってすれば、

吾は『寛』を以ってする。


曹操が『暴』を以ってすれば、

吾は『仁』を以ってする。


曹操が『譎』を以ってすれば、

吾は『忠』を以ってする。


つねに曹操と反対であるから

事を乃ち成就できるのだ。


今、小事のために

天下の信義を失ってしまうのは

吾の取らぬ所である」


龐統は言った。


「権変の時は、もとより

一つの道を定められる

わけではございませぬ。


弱きものを兼ね

くらきものを攻めるのは

五伯の事業にございます。


逆によって取っても

順によって守り

これに報いるに義を以ってし、

事業が定まった後に

大国に封じたならば

どうして信にそむくことが

ございましょう?


今日、取ってしまわなければ

結局は他人の利益となるだけです」


劉備はとうとう行動した。


(註釈)

虞溥(江表伝の作者)から見てもやっぱ

「龐統は周瑜の功曹」になるのね。


九州春秋のやり取りは

演義にもそのまま出てきます。


曹操のアンチテーゼであることが

劉備唯一の生存戦略だったのかもしれない。

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