註六・註七、陳羣短文/鳳の声が聞こえない
註6.
傅子曰:司空陳羣又薦寧曰:「臣聞王者顯善以消惡,故湯舉伊尹,不仁者遠。伏見徵士北海管寧,行為世表,學任人師,清儉足以激濁,貞正足以矯時。前雖徵命,禮未優備。昔司空荀爽,家拜光祿,先儒鄭玄,即授司農,若加備禮,庶必可致。至延西序,坐而論道,必能昭明古今,有益大化。」
(訳)
傅子にいう、
司空の陳羣もまた
管寧を推薦して言った。
「臣は、王者は善を顕らかにする事で
悪を打ち消すと聞いております。
故に湯王は伊尹を挙げて
不仁な者を遠ざけたのです。
伏して徵士を見ますに、北海の管寧は
行いは世の規範となり、
学業は人々の師として
任用することができ、
清明、節倹ぶりは
汚濁をはげますに足り、
貞実、方正ぶりは
時代を矯正するに足ります。
以前に徵命を下されましたと雖も
礼はいまだゆたかに備わっておりません。
昔、司空の荀爽は
家にて光禄勲を拝し
先代の儒者、鄭玄は
即座に司農を拝受しており
もし加えて礼を備えられたならば
ほぼ間違いなく到らせる事ができます。
西序へとまねいて
坐して道理を論じさせたなら
必ずや古今を明らかにする事ができ、
大いなる教化に益がございましょう」
註7.
尚書·君奭曰:「耇造德不降,我則鳴鳥不聞,矧曰其有能格。」鄭玄曰:「耇,老也。造,成也。詩云:『小子有造。』老成德之人,不降志與我並在位,則鳴鳥之聲不得聞,況乃曰有能德格於天者乎!言必無也。鳴鳥謂鳳也。」
(訳)
尚書、君奭篇にいう、
「耇いて徳を造し降らざれば
我則ち鳴く鳥を聞かず。
矧んやそれ能く格る有りと曰う」
鄭玄はいう、
「耇は、老なり。造は、成なり。
詩経は云っている、〝小子造す有り〟
老いて徳を成す人が
志をくり下らせて
我とともに位に在ってくれねば
則ち鳴く鳥の声も聞けない。
況してや、徳を天に格らせると
謂うことができようか。
絶対にないと言っているのである。
鳴く鳥とは、鳳を謂うのであろう」
(註釈)
管寧もとは陳寔一門だもん。
孫の陳羣にしてみたら、
健在となればそりゃ推薦するわよね。
荀爽が光禄勲になったエピソードは
荀彧伝で既に触れています。
董卓も董卓で結構必死なのよ。
礼記、王制にいう、
夏后氏は国老を東序に養い
庶老を西序に養う。
鄭玄註、西序とはまた小学なり、西郊に在る。
小学って小規模の学校でいいのかな。
初等教育?
姫昌すら有徳の老人(呂尚)なくば
鳳凰の声を聞けない、
いわんや曹叡をや?




