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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第十、徐盛伝
482/603

三・四、対蜀魏

3.

及權爲魏稱藩,魏使邢貞拜權爲吳王。權出都亭候貞,貞有驕色,張昭旣怒,而盛忿憤,顧謂同列曰:「盛等不能奮身出命,爲國家并許洛,吞巴蜀,而令吾君與貞盟,不亦辱乎!」因涕泣橫流。貞聞之,謂其旅曰:「江東將相如此,非乆下人者也。」

(訳)

孫権が魏の藩屏を称するに及んで

魏は邢貞けいていを遣わし、

孫権を拝して呉王とさせた。


孫権が都亭とていを出て邢貞をうかがった際

邢貞には驕りの色が有り、

張昭ちょうしょうが怒った上に徐盛も忿恚して

同列者を顧みて言った。


わたしどもが身を奮わせ

命を投げ出して、国家の為に

許昌きょしょう洛陽らくよう巴蜀はしょく

併呑できなかったばかりに

吾が君に邢貞などと

盟約をさせしめてしまうとは、

なんという恥辱であろう」


かくて涕泣し、涙を縦横に溢れさせた。


邢貞はこれを聞くと

その同行者に向かって言った。


「江東の武将や宰相がかくの如くなら

久しく人の下にはおるまい」



4.

後遷建武將軍,封都亭侯,領廬江太守,賜臨城縣爲奉邑。劉備次西陵,盛攻取諸屯,所向有功。曹休出洞口,盛與呂範、全琮渡江拒守。遭大風,船人多喪,盛收餘兵,與休夾江。休使兵將就船攻盛,盛以少禦多,敵不能克,各引軍退。遷安東將軍,封蕪湖侯。

(訳)

その後、建武けんむ将軍に遷り

都亭侯に封じられ、廬江ろこう太守を兼領し、

臨城県を奉邑として賜った。


劉備が西陵せいりょうに宿次すると

徐盛は諸々の屯所を攻め取り

向かう所で功績をあげた。


曹休そうきゅう洞口どうこうへ出向すると

徐盛は呂範りょはん全琮ぜんそうとともに

長江を渡って守衛した。


大風に遭遇して

船員の多くを喪失したが、

徐盛は残りの兵を纏めて

曹休との間に長江を挟んだ(対峙した)。


曹休が兵士に徐盛の船にとりついて

攻撃するよう命じると

徐盛は少数で多数を禦ぎ、

敵軍は勝利する事が出来ずに

各々軍を率いて退却した。


安東将軍に遷り、蕪湖侯に封じられた。


(註釈)

孫権は一時期曹操に降伏して

魏の藩屏となっている。


正式な呉王の位を手に入れつつ

魏の要求を色々と撥ね付け

痺れを切らして

攻め入ってきた所を迎撃し、

求心力を得ようとした??

曹丕そうひは結局、孫権に翻弄されっ放しだった。


孫権のこういうやり方は

あの士燮に似ている。

士燮と違って、頑として

子供は人質に出さなかったが。


孫権が士燮派閥の懐柔や解体に

かなり難渋したように、

さすがの曹操も、

江南の複雑怪奇な軍閥事情に

介入するのは躊躇われたと思われる。

一歩間違ったら赤壁の二の舞になるし。


劉備はいちおう同盟してた孫権が

魏に完全に寝返って

荊州を攫っていったわけだから

(関羽の首を魏に送るおまけ付き)

当然ぶっち切れる。


アラフォー孫権の生存戦略は

そらもうキレッキレだけど

その都度味方が変わるのは

傍目から見てると信用ならない。

少なくとも長久的な策ではなかった。


魯粛さえ生きてたら、

魏への徹底抗戦を主張して

孫劉同盟も途切れさせなかったろうに。


孫盛が「卑近な事にこまごまと骨を折り

大局を見ていない」と孫権を評したのは

この事を指しているんだろう。


孫権が敵になっちゃったため

この時の劉備(と関羽)は

ほぼ中華全土敵に回してる状態。


孫権をここで

思いっきりブン殴ってしまうと

完全に魏呉が手を組んじゃう恐れがある。

だから馮習ふうしゅうとか張南ちょうなんとか

あまり聞き馴染みのない武将が

出張る事になったんじゃなかろうか。


かといって魏と結ぶのはもっと無理、

曹操のアンチである事が

劉備派閥の存在意義だから。


蜀に引きこもってても

国力の差がどんどん開くだけだし

荊州出身組の風当たり強くなる。


孫権に武威を示しつつ

再び荊州の分割統治という

妥協案を引き出す。

これがベターな落とし所だったが

劉備の企図は陸遜の火計により

灰燼となりさらばえるのであった。


曹丕が「劉備は戦を知らない」

と評したのは、いかにも

表面しか見てないといった感じ。


孫権は劉備を破ると

さっさと和睦を申し入れて

対魏に当たるのであった。


徐盛は蜀魏との戦で活躍。

少数で多数を破った。


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