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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第十、董襲伝
475/603

四・五、碇断つ壮士/嵐の夜に

4.

建安十三年,權討黃祖。祖橫兩蒙衝挾守沔口,以栟閭大紲繫石爲矴,上有千人,以弩交射,飛矢雨下,軍不得前。襲與凌統俱爲前部,各將敢死百人,人被兩鎧,乘大舸船,突入蒙衝裏。襲身以刀斷兩紲,蒙衝乃橫流,大兵遂進。祖便開門走,兵追斬之。明日大會,權舉觴屬襲曰:「今日之會,斷紲之功也。」

(訳)

建安十三年(208)、

孫権が黄祖こうそを征討した。


黄祖は二隻の蒙衝もうしょうを横に並べ

挟んで沔口を守衛した。

棕櫚しゅろ(の褐色の毛)からできた大きなきづな

石に繋いで碇とし、上に千人を配置して

弩を乱射させたため

飛箭が雨の如くに降ってきて

軍は進めなくなってしまった。


董襲は凌統と倶に先鋒となり、

それぞれ決死隊百人を率いて

人員には二枚の鎧を纏わせると、

大きな舸船に乗って

蒙衝の裏から突入した。


董襲は躬ら刀を以て

二本の紲を切断したため

蒙衝はかくて欲しいままに

流れていってしまい、

(孫権側の)大軍がとうとう前進した。


黄祖はすぐに門を開いて逃げたが

兵が追撃してこれを斬った。


翌日に大宴会が催され、

孫権は觴を挙げて董襲にたくすと

こう言った。


「今日の会(を開けたの)は、

紲を切断した功績(が有ったため)である」



5.

曹公出濡須,襲從權赴之,使襲督五樓船住濡須口。夜卒暴風,五樓船傾覆,左右散走舸,乞使襲出。襲怒曰:「受將軍任,在此備賊,何等委去也,敢復言此者斬!」於是莫敢干。其夜船敗,襲死。權改服臨殯,供給甚厚。

(訳)

曹公が濡須じゅしゅに出向すると

董襲は孫権に従ってこれに赴き、

董襲に五隻の樓船を監督させて

濡須口へと向かわせた。


夜に怱卒と暴風が起こり

五隻の樓船が傾覆したため、

左右の者は走舸を散らして

董襲に脱出するよう乞うたが、

董襲は怒って言った。


「将軍の任を受け、此処に在って

賊に備えているというのに

どうして委棄して逃げ去ったりできよう。

敢えてこのような事を

再び言おうとした者は斬る!」


こうして、敢えて逆らおうとする者はなくなり

その夜に船は敗れ、董襲は死んだ。


孫権は服を改めてもがりに臨み、

供給は甚だ暑かった。


(註釈)

綱を切断して苦境を打開するのかっけぇ。

嵐の中で撤退を肯じないのもかっけぇ。



・戦闘 ★★★★★★ 6


・戦略 ★★★★★ 5


・内政 ★★★★★ 5


・人格 ★★★★★ 5


黄竜羅とか周勃とか彭虎とか

敵の名前がハッキリしてるので

イメージがいい。

実は孫策の信頼がめちゃくちゃ厚い

人だったのかも。


この後は甘寧伝でしたが

もうすでにやったので

次は凌統りょうとう伝。


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