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淡々三国志  作者: ンバ
蜀書第十三、張嶷伝
452/603

七、諸葛恪につっこむ

7.

吳太傅諸葛恪以初破魏軍,大興兵眾以圖攻取。侍中諸葛瞻,丞相亮之子,恪從弟也。嶷與書曰:「東主初崩,帝實幼弱,太傅受寄託之重,亦何容易!親以周公之才,猶有管、蔡流言之變,霍光受任,亦有燕、蓋、上官逆亂之謀,賴成、昭之明,以免斯難耳。昔每聞東主殺生賞罰,不任下人,又今以垂沒之命,卒召太傅,屬以後事,誠實可慮。加吳、楚剽急,乃昔所記,而太傅離少主,履敵庭,恐非良計長筭之術也。雖云東家綱紀肅然,上下輯睦,百有一失,非明者之慮邪?取古則今,今則古也,自非郎君進忠言於太傅,誰復有盡言者也!旋軍廣農,務行德惠,數年之中,東西並舉,實為不晚,願深採察。」恪竟以此夷族。嶷識見多如是類。


(訳)

呉の太傅たいふ諸葛恪しょかつかく

魏軍を破った直後に

大いに兵衆を興して

(魏の合肥新城を)攻め取る事を図った。


侍中の諸葛瞻しょかつせん

丞相諸葛亮の子で、

諸葛恪の従弟である。

張嶷は書状を与えて言った。


「東主(孫権そんけん)が崩御されたばかりで

帝(孫亮そんりょう)は実に幼弱であられます。

太傅(諸葛恪)は寄託の重任を

受けられましたが、またどうして

容易であると申せましょう。


(周王の)親族であった

周公旦しゅうこうたんの才覚を以てなお

管叔鮮かんしゅくせん蔡叔度さいしゅくどの流言による変事が起こり、

霍光かくこうが任を受けた際にもまた

燕王、蓋長公主、上官桀じょうかんけつが反乱を企てましたが、

成王、昭帝の聡明を恃みとして

斯様な難事を免れたのでございます。


昔、東主は殺生や賞罰に関して

下の者に任せぬと

たびたび聞いておりましたが、

今、崩御に瀕してのご命令で

怱卒と太傅を召されて

後事を嘱託されたとの事で

実に、実に慮るべき事態にございます。


呉・楚は剽悍なれど性急である事は

昔日に記録されている所でして、

しかも太傅は幼主から離れられ

敵方の庭に足を踏み入れております。

恐らくは、優れたはかりごとや

先を見通した計算による

すべとは申せますまい。


東家の綱紀は粛然として

上下は輯睦しゅうぼくしていると雖も

百に一度の過失でも起きたなら

聡明な者でも考慮しきれませぬ。


古を取ることは則ち、今。

今は則ち、古なのでございまして、

おん自ら太傅にありながら

郎君に忠言を進上せねば

誰がまた言葉を尽くすのですか。


軍をめぐらせて農業を広め

務めて徳義と恩徳をゆきたわらせ

数年の間に東西(蜀と呉で)

揃って挙兵しても

実際には遅くありませぬ。

どうかご明察ください」


諸葛恪は竟にこれを以て

親族もろとも殺された。

張嶷の識見の多くは

このような類いであった。


(註釈)

孫権の死の直後に

魏の侵攻を弾き返した諸葛恪しょかつかく

大軍を率いて合肥新城を攻める。

三国鼎立以降は基本攻めた方が負けるので

諸葛恪もあえなく失敗、まもなく

皇族の孫峻そんしゅんに謀殺されてしまった。


周の三監の乱は淡々史記で触れています。

武王(文王の次男)が亡くなった後、

後継の成王が幼かったために

周公旦(文王の四男)が執政すると

管叔鮮(三男)、蔡叔度(五男)が乱を起こした。


霍光かくこうは前漢の麒麟閣十一功臣の筆頭。

漢の武帝が亡くなる時、やはり

幼い昭帝の補佐を彼に託したが、

昭帝の兄の燕王である劉旦りゅうたんや、

御史大夫の桑弘羊そうこうよう、政敵の上官桀じょうかんけつらが

霍光の追い落としを計画したという。


周公旦、霍光という超Aクラスの人材でも

幼主の補佐っていうのは難しい。

ましてや驕慢な諸葛恪では。


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