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淡々三国志  作者: ンバ
呉書第十八、呉範伝
423/603

三、正午に吹く一陣の風

3.

權與呂蒙謀襲關羽,議之近臣,多曰不可。權以問范曰:“得之。”後羽在麥城,使使請降。權問范曰:“競當降否?”范曰:“彼有走氣,言降詐話耳。”權使潘璋邀其徑路,覘候者還,自羽已去。范曰:“雖去不免。”問其期,曰:“明日日中。”權立表下漏以待之。及中不至,權問其故,范曰:“時尚未正中也。”頃之,有風動帷,范拊手曰:“羽至矣。”須臾,外稱萬歲,傳言得羽。後權與魏為好,范曰:“以風氣言之,彼以貌來,其實有謀,宜為之備。”劉備盛兵西陵,范曰:“後當和親。”終皆如言。其占驗明審如此。權以范為騎都尉,領太史令,數從訪問,欲知其決。范秘惜其術,不以至要語權。權由是恨之。

(訳)

孫権は呂蒙りょもうとともに

関羽かんうへの襲撃を謀り、

近臣とこれを議したところ、

多くは不可能であると述べた。


孫権がこの事を問うと、呉範は言った。


「成功します」


その後、関羽はばく城に在って

降伏を要請する使者を遣わした。


孫権は呉範に問うた。


「本心から降伏しようとしているのであろうか?」


呉範は言った。


「彼には逃げようという気がございます。

降ろうと申すは詐術に過ぎませぬ」


孫権は潘璋はんしょうにその経路を邀えさせると、

覘候(偵察)の者が戻ってきて

「関羽は已に去ってしまった」と建白した。


呉範は言った。


「去ったと申せど免れられません」


(孫権は問うた)


「その期はいつ頃か」


(呉範)


「明日の日中」


孫権は日時計を立て

漏刻(水時計)を垂らしてこれを待った。


日中に及ぶも(関羽は)至らず

孫権がそのわけを問うと、

呉範は言った。


「時刻はまだ正確には

日中に至っておりませぬよ」


ややあって、帷を動かす風が起こり、

呉範は拊手(手を打つ)して言った。


「関羽が至りました」


須臾にして外に万歳がとなえられ

関羽を捕えたとの報せが伝えられた。


その後、孫権が魏と好誼を通ずると

呉範は言った。


「風気によってこれを申さば、

彼方は貌(表面上)では

接近してきておりますが

その実は謀を有しております、

備えを設けるべきでしょう」


劉備が西陵(夷陵)に

大軍を集結させると、呉範は言った。


「後に和解し、親交する事になりましょう」


終わってみると、すべて

その言葉の通りであった。


彼の占験(占い)が

仔細を明らかにする事は

かくの如くであった。


孫権は呉範を騎都尉として

太史令を拝領させた、

幾度か彼を訪問して

その秘訣を知ろうとした。


呉範はその術を惜しんで隠し、

至要については孫権に語らなかった。

孫権はこの事に由り彼を恨んだ。



註1.

吴录曰:范独心计,所以见重者术,术亡则身弃矣,故终不言。


(訳)

呉録にいう、呉範は独り内心で

術によって重んじられており、

術を失えば則ち

身が棄てられるものと考えたために

終に(人には)言わなかった。


(註釈)

改めて孫権と関羽バチバチすぎ。


襲撃の是非は置いておいて

呉範ちゃんは関羽の敗亡も予知した。


あまりに占いが当たるもんだから

孫権はその秘密について

尋ねようとしたけど、呉範は教えない。


この一芸によって身を立てている以上

教えたら用済みになって

捨てられると考えたからだ。


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