註四、天文を以て正当と為す
註4.
蜀記曰:魏明帝問權:「天下鼎立,當以何地為正?」權對曰:「當以天文為正。往者熒惑守心而文皇帝崩,吳、蜀二主平安,此其徵也。」
(訳)
蜀記にいう、
魏の明帝(曹叡)が黄権に問うた。
「天下は鼎立しているが、
いずれの地を正統とすべきか?」
黄権は対して言った。
「天文を以て正統を為すべきかと。
以前、熒惑(火星)が心星に留まり
文皇帝(曹丕)が崩御されましたが、
蜀と呉の二主は平安であるのが
その徴であります」
(註釈)
魏は正統王朝じゃないって言ってて草。
孫権と劉禅は寿命長いのに
曹丕と曹叡は短命だったわね。
蜀記の著者、王隠については
淡々晋書でふれます。
以上で黄権伝はおわりです。
最後に恒例のンバ評。
・戦闘 ★★★★★ 5
将軍号を貰ってはいますが
目立った戦果をあげてないので
原点のままとします。
・戦略 ★★★★★★★★ 8
劉備を呼ぶな、漢中に拠れ、
先鋒は私がやるから下がってて、
進言は全部マトを射ています。
従わなかった主君はその後すぐ滅んでしまった。
司馬懿との問答も、
彼の意図を汲み取って
うまくかわしたという事にします。
基本、頭の回転超早い。
・内政 ★★★★★★ 6
劉璋配下の時は主簿、
劉備配下の時は治中従事、
魏に降ったあとは
形だけっぽいけど益州刺史。
河南にいる益州刺史。
・人格 ★★★★★★★ 7
劉備との信頼関係を示す逸話がすきすぎる。
曹丕はともかく、あの司馬懿に限って
変な人間を評価したりしない。
地味に、魏に降ったのに、
蜀書に立伝されてるのって
かなりすごい事なんじゃないでしょうか。
進言を外さず、ゆく先々で
重宝された黄権伝でした。
続いて、魏書十五のつづきをやっていきます。




