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淡々三国志  作者: ンバ
魏書第十五、司馬朗伝
327/603

四、司馬朗の先見性?

4.

年二十二,太祖辟爲司空掾屬,除成皋令,以病去,復爲堂陽長。其治務寬惠,不行鞭杖,而民不犯禁。先時,民有徙充都内者,後縣調當作船,徙民恐其不辦,乃相率私還助之,其見愛如此。遷元城令,入爲丞相主簿。朗以爲天下土崩之勢,由秦滅五等之制,而郡國無蒐狩習戰之備故也。今雖五等未可復行,可令州郡並置兵,外備四夷,内威不軌,於策爲長。又以爲宜復井田。往者以民各有累世之業,難中奪之,是以至今。今承大亂之後,民人分散,土業無主,皆爲公田,宜及此時復之。議雖未施行,然州郡领兵,朗本意也。遷兗州刺史,政化大行,百姓稱之。雖在軍旅,常粗衣恶食,俭以率下。雅好人伦典籍,鄉人李觌等盛得名誉,朗常显贬下之;後觌等敗,時人服焉。锺繇、王粲著论云:「非圣人不能致太平。」朗以爲「伊、颜之徒雖非圣人,使得數世相承,太平可致」。


(訳)

年二十二で

太祖に辟招されて司空掾属しくうえんぞくとなり

成皋せいこうの令に除されたが、病で官職を去った。

復た堂陽どうようの長となった。


その治政は寛大で恩恵があり

鞭打ちや杖刑を執行せずとも

民は禁則を犯さなかった。


これより以前、都内を充足させんとして

移された民があり、のちに県への調発で

船を作る業務が与えられた時に

民が移された事から(人手が減って)

処理できないのではないかと

恐れた司馬朗は、そこで互いに連れ立って

私的に帰還し、これを援助した。

彼が親愛されているのはかくの如くであった。


元城げんじょうの令に遷り、丞相主簿となった。


司馬朗は、天下が土崩している勢いは

秦の五等爵の制度を滅した事と

郡国が蒐狩や練兵といった備えを

怠っていた事に由来し、

今、五等爵を再び施行する事ができずとも

州郡に揃って兵を置くように命を下すべきで

外は四夷に備え、内は不軌を威圧する事が

長久の策となると考えた。


また、井田制せいでんせいを復活させるべきだと主張した。

往時は民がそれぞれ累代の業を有しており

中途でこれを奪う事は難しく、

こうして現代まで至っていたのである。


当時は大乱の後を承けて

人民が分散しており

土地の事業を行う主が無く

すべてが公田となっていたので

宜しくこの時に及んで

(井田制を)復活させるべきである、と。


論議はいまだ施行されなかったとはいえど

州郡が兵を領有する事になったのは

司馬朗の本意であった。


兗州刺史に遷り、

政治教化が大いに行われ、百姓はこれを称えた。


軍旅に在る時でも常に粗衣悪食で、

倹約を以て目下の者を統率した。


もとより人倫・典籍を好み

同郷人の李覿(りてき)らは盛んに名望と栄誉を得ていたが

司馬朗は常に彼らを下に見て

貶す事が顕著であった。


その後、李覿らは失敗したため

当時の人々は司馬朗に帰服した。


鍾繇しょうよう王粲おうさんが著した論述に

「圣人《聖人》でなくば太平を招致する事は出来ない」

というものがあった。


司馬朗は、

伊尹いいん顔回がんかいの徒は圣人にあらずと雖も

数世代に渡って相継承させる事が出来たなら

太平を招致する事ができる」

と主張した。


(註釈)

五等爵など、貴族制が本格的に始まるのは

晋の時代になってからです。


そればかりか、晋代の

占田・課田制らしきシステムにまで

言及しており、どうも司馬朗が

パイオニアという風にしたいようです。


享年から逆算すると

22歳のときは192年……早くない?

26歳前後とするのが適切と思います。



鍾繇・王粲

「聖人じゃなきゃ天下泰平は望めない」


司馬朗

「そんなことはない」


陳寿

「だって、司馬氏が

天下統一できたんだから」


っていう皮肉じゃないのかなこれ。


陳寿は三国志を書ききったあと

297年(晋書による)に死んでいる。

ちょうど晋が本格的に崩れる直前だ。


永嘉の乱の混沌を陳寿が見ていたら

「やっぱりね」って言いそう。

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