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淡々三国志  作者: ンバ
魏書第十、荀攸伝
312/603

七、元常の百慮は公達の一考に如かず

7.

攸深密有智防,自從太祖征伐,常謀謩帷幄,時人及子弟莫知其所言。太祖毎稱曰:「公達外愚内智,外怯内勇,外弱内彊,不伐善,無施勞,智可及,愚不可及,雖顏子、寗武不能過也。」文帝在東宮,太祖謂曰:「荀公達,人之師表也,汝當盡禮敬之。」攸曾病,世子問病,獨拜牀下,其見尊異如此。攸與鍾繇善,繇言:「我毎有所行,反覆思惟,自謂無以易;以咨公達,輒復過人意。」公達前後凡畫奇策十二,唯繇知之。繇撰集未就,會薨,故世不得盡聞也。攸從征孫權,道薨。太祖言則流涕。


(訳)

荀攸は深密にして、

自らを保つ智慧を有していた。


太祖の征伐に従軍してより

常に帷幄いあくの中で謀略を定め、

当代人及びその子弟のなかで

荀攸の言辞を知る者は莫かった。


太祖はいつも荀攸を称えて

このように言っていた。


「公達の外面は愚鈍だが内面は智者であり、

外面は怯懦に見えて内面は勇敢、

外面は弱く見えるが内面は屈強で、

善事を伐つ事がなく、

(功績を誇ったりせず謙虚で)

労苦を施す事もない。

(面倒事を他人に押し付けない)


たとえ公達の

「智」に及ぶことができたとしても

「愚」に及ぶことはできまい。


顔子がんし寗武ねいぶといえど、公達を超えられん」


文帝(曹操の三男・太子の曹丕そうひ)が

東宮に在りし際に、

太祖はこうも言っていた。


「荀公達は人物の

師表(師としての手本)である。

汝は礼を尽くして、彼を敬うように」


荀攸はちょうど病に罹っており、

世子(曹丕)は見舞いに訪れると、

独り寝台の下にて拝礼した。


荀攸が特別に尊崇されている様子は

かくのごとくであった。


荀攸は鍾繇しょうようと親善であり、

鍾繇はこのように言っている。


「我は、行動を起こす時には

いつも反覆して思惟し、

自ら易える事がなくなってから

(もう変更の余地がないほど熟慮して)

公達に咨るのだが、その都度に

人の意見を超えてきたものだ」


公達は前後に渡って

凡そ十二の奇策を書いたが、

ただ鍾繇のみがこれを知っていた。


鍾繇は(荀攸の奇策を)編集したが、

成就せぬうちに薨去してしまったため、

世に聞こえる事はついぞなかった。


荀攸は孫権征伐に従軍したが

その道半ばで薨去した。

太祖は荀攸の話をすると流涕した。



(註釈)


智可及,愚不可及,雖顏子、寗武不能過也。


かっけぇえええええ!!!!!!


ぱっと見バカっぽくて

弱そうで、臆病者だという荀攸。

しかしフタを開けると一番頭がキレる。


董卓を刺し殺そうとしてたり

蜀で天下を窺うつもりだったり

本性はかなり豪傑っぽいんですが、

ほとんど表面に出さない人なんでしょう。


荀攸の韜晦スタイルも含めて

高く高く評価している曹操は

明らかに論語の


【子曰、寗武子、邦有道則知、邦無道則愚、其知可及也、其愚不可及也】


という一節をもじってホメてます。


鍾繇もまた、行動を起こす際には

何回も何回も熟慮してから

荀攸に相談に行っていたそうですが

荀攸は一発で鍾繇の案を

超える意見を出してくるとかで、

化け物です。


このあと短い註釈が四つあります。

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