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修羅場


87


職員室に行って、日誌を先生に渡した。

「先生…………」

「何だ?」


体育館での事を、先生に伝えるべきか迷った。でも、チクったりなんかしたら、めんどくさい事になる。


「いえ、何でもないです。」


帰り際、やっぱり気になって体育館の中を覗いてみると…………そこは修羅場だった。


ミホは小崎の前に立って声を張り上げていた。

「もうやめてよ!!」

「はぁ?お前、どっちの味方だよ?」

「もういい。もうやめてって言ったよね?」


ミホ…………。


「何でお前の指図なんか受けなきゃなんねーの?」

太田がミホに近づくと、ミホは拳を握りしめて震えた。やっぱり太田は裏表が激しい。さっき教室にミホを探しに来た人とは別人みたい。


「元々はお前がやれって言ったんだよな?小崎をやれって。」

「そうだよ?でも、これはやり過ぎだよ。暴力振るえなんて誰も言ってない!!」


体育館の扉の隙間から中を覗いていたら、後ろから声をかけられた。

「野々村?」

なんだ……加島か。

「小崎知らない?学校にはいると思うんだけど…………」

「しー!加島、声が大きい!」

私の顔を見て、加島は体育館の扉を開けた。


「お前ら何やってんだよ!」

加島、何で入って行く訳!?ヒーロー登場かのように、堂々と加島が入って行った。

「小崎と芦原さんに何した!?」

「うるせー!外野は黙ってろ!」

「キャッ!!」

加島は太田の仲間に少し押されて、女子のような声を出していた。


「もうやめてよ。太田君の言う事、聞いたよね?ちゃんと聞いたのに…………どうして?約束が違うよ!」

ミホ…………それ、どうゆう意味?


「やだな~ミホ。一度したくらいで大騒ぎするなよ。」

一度…………した……?

「あ、悠太!勘違いしないで!バスケの話!」

いや、それ無理あるって。


「そういえば、友達もすぐヤれる女だったよな。お前ら仲良しだな~!」

「お前ら!野々村はそんな女じゃない!」

そこ、加島入らなくていいから。


「うるさい!やれない女よりやれる女の方がいいもん!」

だからミホ、それは…………

「開き直りかよ~!」

「違う!バスケの話!!」


ミホは太田を真っ直ぐ見て言った。

「やれるよ。悠太のためなら、何だってできる!やらないよりはやった方がマシ!!」

「だったら、やれるんだよな?なるんだよな?一生、俺の奴隷。小崎の代わりに、お前がサンドバッグになるよな?」

「いいよ。殴れば?覚悟できて…………」

ミホがそう言った瞬間、太田は裏打ちでミホを叩き飛ばした。


ミホの倒れた音だけが…………体育館に響いた。


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