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タイトル未定2026/06/07 22:54

 夜空に浮かぶ月が木々の隙間から、仄かにボロボロの建物を照らす。

 歪な形で崩壊している建物だが、中には物が散乱していることから、解体途中というより住人や関係者が放棄したのだろうか?


「殺さなくて良かったの?」

「……」

「私は嫌だから、殺るならあんた一人でやってよね」


 真暗な空間から響く不可思議な声。


「結果的に二人でやる事になるのは変わりなくない?」

「はぁぁ。本当に勘弁してほしいわ」

「まぁ、協力関係にはなれなかったが、それだけで殺す必要はないだろ」

「だよね!だよね!もっと言ってやってよ!」

「チッ!でも共鳴してアレだよ?覚醒して面倒になる前に殺した方が――」

「俺が殺したいのは化物であって友達じゃない。まぁ、俺がやろうとしてる事を阻止しようとするなら、その時は容赦はしない」


 暗闇で姿は確認できないが、殺す殺さないと三つの声が聴こえてくる。

 この者達は一体何者で、何が目的だろうか?


「この数日で何か分かった事はあるか?」

「化物の拠点に行って分かった事は、あいつ等は成り損ないの事を『ゾンビ』って呼んでいることくらいかな?」

「そうか……それで?その化物共の拠点はどうした?」

「あいつ等がやる様に皆殺しにしてあげたよ?全く少し見た目や生き方が変わっただけで、ゾンビとかって呼び方変えて殺すんだから、どっちが化物だって話だよ」

「くだらんな。まぁ、だからこそ差別や戦争がなくならないんだろうが…」


 成り損ないのことを『ゾンビ』と呼ぶ化物の拠点。

 話からして化物とは人間のことで、生存者を皆殺しにしたという事だろうか?


「はいはい!次はわたしから!」

「耳元で騒ぐな!それと、お前の気色悪い造形美の話は聞き飽きた!」

「アンタだって耳元で騒いでるじゃない!」

「二人共落ち着いて。それで?話を聞かせてくれないか?」

「うん!いつもはこいつが殺した化物で造形してるんだけど、今日はなんとお店の外で沢山殺されてた子達で造形してきたの」

「化物共に殺されたんだろうな。それで?上手く出来たのか?」

「うん、上手く出来たよ。ただ、そこに死んでた成り損ないの五十は越えていたんだけど、体の損傷具合を見る限り、複数人じゃなくて個人で倒したように見えたの」

「つまり、五十の成り損ないを一人で倒した人間がいると?」

「多分ね」


 暗闇の中から声が途切れる。


「なおくんの方はどう?何か手掛かりぐらいは掴めた?」


 なお……どこかで聞き覚えがあるような気がする。


「いや、最初に覚醒させたあの子は成り損ないに襲われる事はないだろうが、諦めの悪い化物に見つかる前に、先に見つけたいところだが…姿はおろか痕跡すら掴めない」

「せんくんが一人だったって事は、ふうちゃんも一人だよね?」


 暗闇の中から聴こえたふうちゃんの名前。

 三つの声の主は、いつぞやふうちゃんが言っていたお友達だろうか?


「ああ。千と一緒じゃない事に正直驚いた。ふうちゃんも共鳴しているから襲われる心配はないだろうが、食べ物や飲み物を確保できているかが心配だな」

「お菓子に釣られて、先生……悪い奴等に捕まってないよね?」

「はは、ふうちゃんでも、そこまでは……ないよな?」

「「ふうちゃんなら、十分ありえる」」


 再び暗闇の中から声が途切れる。

 それにしても、先程から度々出てくる【共鳴】や【覚醒】とは、一体どういう意味なのだろうか?


「どうする?ボク達の方でも探す?」

「いや……ふうちゃんは千が見つけると信じて、俺達は別の事をしよう」

「と、いうと?」

「この島の北にある三つの封鎖された橋……あの封鎖壁を無くす」

「お、やるのかい?」

「ああ、感染防止だの何だか知らんが、この島にいる者達を見捨てた奴等が地獄を見る番だ」

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