[8] 三分間の最強ステータス!! ネクロマンサーを確保せよ!!
帝国・ヘルクレスを飛び出て北西にある『アインヘリヤル墓地』を目指す。
「もう夜か」
空が闇に覆われつつある。
今回受けたクエストは“墓荒らし”を捕獲か抹殺するクエスト。たぶん、そういうヤツは夜にしか出現しないだろう。
「ネクロマンサーですよね。でも、ネクロマンサーってなんです?」
さすが世間知らずの大聖女様。
「死霊使いさ。死体とかを使っていろいろやるらしい」
「いろいろとは?」
「エグイ内容だから言わない」
「そうなんです?」
「そうなの。それより、もうすぐ到着だ」
フィラと喋っていると先頭をいくオシリスが振り向く。怖い顔で。
「……スローン。この先が墓地だが、只ならぬ気配を感じるぞ」
「ああ、こんな名だけの錬金術師である俺でも感じ取れる魔力。これはネクロマンサーで相違ないだろう」
「それで、確保か? 抹殺か? 抹殺だと報酬は少ないぞ」
抹殺するとかなり報酬は減らされる。確保は、半年は楽できる金額が手に入る。だが、難易度が高い。まず、生け捕りなんてプロ冒険者じゃないと不可能だ。だが、俺はそこらの冒険者とは違うのだ。
【カスタム画面】
[Lv.]99
[Job]アルケミスト
[HP]9999
[MP]999
[ATK]99
[DEF]99
[STR]99
[AGI]99
[DEX]99
[INT]99
[VIT]99
[LUK]90
[クリティカル]99
[回避率]99
[完全回避]99
[詠唱速度]99
[固定詠唱速度]99
[経験値倍率]99
[ドロップ倍率]99
[製造系スキル成功率]99
隙を見て『ステータスカスタム』をしていた俺は、改めて確認した。……よし、三分間だけだが問題ないだろう。
「確保でいく。オシリス、フィラを守ってくれ」
「わ、分かった。だが、スローン……お前ひとりで行くのか?」
「問題ない。直ぐに終わらせてくるよ」
俺は軽く跳躍しただけで、一気に『アインヘリヤル墓地』内部に侵入。今なら、ネクロマンサーの気配を楽勝で追えていた。
「いたいた」
『…………貴様、何者だ』
「俺はお前を確保するクエストを受けた冒険者だよ」
『そうか、久しぶりにそのクエストを受けたヤツを見た。だが、大方が私の血肉となったぞ。私の秘密を知ったからには、お前を生きて返すわけにはいかない』
この謎仮面男が噂のネクロマンサーか。
とりあえず、素顔が気になるな。
「俺は錬金術師だからな。ポーション関係のスキルが主だ」
『だから何だと言うのだ!! 貴様如き低レベルに何ができる! こちらは、最高位に属するネクロマンサーだぞ!!』
敵は、右手を振っただけでゾンビを複数体も召喚した。なるほど、召喚スキルか。
「不死属性相手なら聖属性つきの『ホーリーポーション』だな」
『なんだと!?』
俺は『ホーリーポーション』の試験管を三本取り出し、ブン投げた。ステータスマックスの投擲は、瞬間でゾンビの頭上に届き――破裂。
聖属性つきの聖水が落ちる。
『グアアアアアアアア……』
ゾンビが浄化されていく。
「いっちょあがりっと」
『な、なんだと!! あんなショボイポーションで私のゾンビを……』
「ネクロマンサーさん。あんた、今まで何人喰った?」
『……ふっ。聞きたいか! 若い女の死体をいくつも貪ってきた。それもとびっきり美人のな! お嬢様系は特に美味かった。おかげで、私の魔力は増大するばかり……!』
「もう黙れよ」
聞くのも面倒になった俺は、錬金術で編んだ『エレメンタルソード』を生成。こんなもん、高レベルでなければ使えないスキルだ。
ちなみにこの『エレメンタルソード』は、火・水・風・地の四属性魔法スキルを一気にぶちかますという強烈な威力を持つ魔法剣だ。
俺は剣を振り、大魔法を放つ。
『……バ、バカな!! なんだその剣……なぜ大魔法が……うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ…………!!!』
大ダメージを与え、遠くへ吹き飛ぶ前にネクロマンサーを確保。予め準備していたロープできつく縛り上げた。
「ふぅ」
ネクロマンサーは、ぷすぷすと煙を上げ気絶。白目を剥いてらあ。
「スローンさ~ん!」
「終わったのだな、スローン」
フィラとオシリスが駆けつけてきた。
俺は二人に戦況を報告。
「わぁ、もう終わったんです!?」
「す、凄いな。たった二分半で……」
二人は顔を見合わせ、そして、俺に抱きつく。
「スローンさんスゴーイ!! 当分、遊んで暮らせますね!!」
「我々はお金持ちだぞー!! 飲もう!!」
クエスト終了。
帝国に帰り、確保したネクロマンサーをギルドに引き渡した。すると、たまたま居合わせた冒険者たちが驚愕し、テンション爆上げで叫んでいた。
その日から俺たちは有名人となってしまい、複数のギルドから勧誘を受ける事になってしまった。まさか、こんな噂が広まるのが早いだなんて……。




