[10] 放て、ドラゴンブレス。最強の必殺スキルで敵を撃退
いつの間にか眠ってしまって――寒々しい早朝。俺は早起きして、部屋の片隅でステータスカスタムをしていた。
カスタムできる項目にも限度があった。今のところ『最大五つまで』である。やはり、スキルレベルを上げるしかないのか。
「むにゃむにゃ……」
大聖女であるフィラが、そんな寝言を言う。……むにゃむにゃって。しかし、オシリスは寝相が悪いな。うつ伏せなのはまだいい。
だが、お尻を突き出し、ヨダレを垂らして寝ている。なんだかなー。あんな美少女なのに寝る姿がこうだと……けど、あのお尻は安産型で形が良い。ヨシとしよう。
「おっと、そんな場合ではない」
今日は帝国・ヘルクレスの大通りにある露店街が大赤字覚悟の大セールを行う日。普段お目に掛かれないようなレア装備も並べられる他、高級装備がかなり安く売られるというお買い得な日だ。
この日を逃す手はない。
「おはようございましゅ~、スローンさぁん」
大きなアクビをして起き上がるフィラ。朝は弱いらしいな。
「おはよう。今日はセールへ行くぞ」
「せぇる?」
「装備とかアイテムが安いんだ。昨晩は稼いだからな、俺とお前たちの装備を強化する」
「いいんですか!?」
「いいさ、仲間が強くなることは良い事だだからな。オシリスも直に起きるだろうし、三人で行こう」
「分かりましたっ! それでは、わたしは仕度してきますね」
寝間着に手を掛け、脱ぎ始めるフィラ。おいおい、俺がいるってーの。
「脱ぐなよ!!」
「えっ、でも……シスター服に着替えられないです」
「俺を前に恥ずかしくないのか?」」
「……はっ! 一緒の部屋という事を失念していました。うっかり!」
やっぱりフィラは、ちょっと抜けてるな。まあいい、俺が部屋から出ていけばいい話。
「じゃー俺は外で待ってる」
「見てもいいんですよ?」
「これ以上、ヘンタイの烙印を押されたくないんでね。遠慮しておく」
「そうですか。見たくなったら覗いでくださいね」
それこそヘンタイじゃねぇか!
やれやれと思いながら、俺は部屋を出た。
すると、まるでシンクロするように他の部屋からも冒険者が現れた。なんだ、あの人も追い出されたのか。
「くっそ。ネクロマンサーが確保されたとはな!!」
「ん? なんか怒ってるな。ネクロマンサーって、俺が受けたヤツか」
なんて思ってると、そいつは俺に気づく。
「あっ! お前! ネクロマンサーを確保したスローンだな!!」
「そうだけど」
「金を寄越せ!!」
なんだ、タカリか。面倒だなぁ。
「寄越せって言われて、ハイソウデスカと渡す馬鹿がいるかよ」
「んだとぉ!! 俺はな、金が必要なんだよ!!」
「だからって、俺の胸倉を掴むな。立派な暴行だぞ」
「黙れ。スローン、お前はズルしたんだろ!」
「意味が分からんわ」
なんとやっとると、部屋からオシリスが現れた。
「何をやっている!! その男は私の仲間だぞ」
俺と乱暴男を引き剥がしてくれるオシリス。そう思ってくれるとか嬉しいぞ。
「な、なんだ……ドラゴン族だと? そうか、ドラゴンの力を使ったんだな。卑怯者!」
「だから、意味が分からんって。そもそも、お前は何者だよ」
「俺は『クレセントムーン』三番隊隊長(自称)・ガードナーだよ!! 死ねやああああああ、スローン!!」
なんて自己紹介だよ!!
マジで襲って来るし。
だが、オシリスが俺の前に立ち、何やらスキルを発動した。この膨大な魔力……まさか!
「お、おい、オシリス! 宿屋の中ではまずいだろ」
「大丈夫だ。外におびき出した後に痛めつける」
オシリスはガードナーの右拳を見事掴み、そのまま外へ放り投げた。遠くへ吹き飛ばされ、追っていく。……おびき出すとはいったい。
まあいいや!
庭に出ると、ガードナーは諦めず突っ込んできた。
「美しいからって容赦しねぇぞ、ドラゴン女ァ!」
「う、美しいだと!! その誉め言葉は受け取っておこう。だが、仲間に暴行した罪は消えない。……受けるがいい、ドラゴンブレスを!!」
やっぱり、ブレスが使えるんだ!! それは是非、見てみたい。戦況を見守っていると、オシリスは口を――あれ。違う! あれは絶対違う!!
なぜか目をカッと見開き――
『インペリアル・フォトンレーザー!!!』
ブレスじゃねぇ~~~~~~!!
レーザーじゃねえかああああああああああああ!!!
目から放たれる超強力なレーザー。
それはあのガードナーの胴体に直撃。
彼は遥か遠方へ吹き飛んでいった。
「あぎゃあああああああああああ!!! お、お、お、お、おがああああああああああああ……!!!」
あれで体が貫かれなかったのが奇跡だな。
「オシリス、あれ下手すりゃ死ぬぞ」
「威力を抑えたから大丈夫だ。本気なら、彼は灰も残らず消滅していた」
やばすぎッ!!




