086『ラシュモア山・2』
まりあ戦記・086
『ラシュモア山・2』
Four Great Presidents!
巨大な四体のゴーレム大統領の上に文字が現れた。
見た目は大統領だが、こいつらは花崗岩のゴーレムなんだ。さっさとやっつけなきゃな!
ドン ドン ドドドン ドドドドドーーーーーン!!
いつの間にか砲撃が始まって、四体の大統領たちは爆炎に包まれる。サウスダコタ州兵の砲兵隊と戦車部隊がいっせいに砲門を開いたんだ!
「あんなの効き目ねえだろに……」
ナユタが憐れむように言う。
「それでも立ち向かうのが軍隊、いえ、人間よ」
数十両の戦車は前進し、距離を詰めて、もう一斉射!
ドドドドドーーーーーン!!
砲兵部隊もそれに続いて、こんどは前に出てきたトーマス・ジェファーソンに集中射撃。戦車部隊もそれに倣う。
「全力を持って敵の分力を叩く……セオリー通りね、うん、ちゃんと統制も取れてる」
同じ軍人同士なんで、敬意をもって見守る中原少尉。
「ねえ、見てるだけなの?」
まりあが焦れるけど、どろしいと少尉は動かない。
「州兵の攻撃が止んでからね」
少尉も州兵に勝ち目は無いと思ってる。でも、敬意を払ってるんだ。
「こちら、PONZYのウズメ部隊、共動してよろしいか?」
『こちら、州軍司令、共動の申し入れ感謝する。存分にやってく……』
司令の返事は途中で切れてしまう。トーマス・ジェファーソンが蹴った岩が戦闘指揮車を直撃して横転させてしまったんだ。
『I find that the harder I work, the more luck I seem to have』
トーマス・ジェファーソンが呟くと文章が浮かび上がり、直ぐに一つ一つの単語が分離して州兵部隊に向かう。そして、目標の直前で文字に分かれ、一つ一つの大砲や戦車を襲いやがる!
ドドドドドドドドドドドドドーーーーーーーーン
一度に50ほど、文字数に見合うだけの装備や戦車が無力化される。
こいつら、言葉が武器なんだ!
「どろしー、敵の口を狙って!」
『了解!』
パシュ! ダダダダダダダダ!
コアだけのブリキマンがミサイルとパルスガンを撃ちながら突進!
ドドドドドドドドドドドド!!
ウズメ02も、他の大統領を撃ちまくって援護!
バシ!
トーマス・ジェファーソンの右手首が吹き飛び、他の大統領も自分を庇って立ち止まる。
でも、体当たりしたブリキマンもヨタヨタと回避。無事なようだけど、しばらくは動けないかもな。
It is better to offer no excuse than a bad one!
今度はワシントン、意味わかんねえけど。
ドスドスドスドスドスドスドスドス!
「うわぁ、ひびくぅ~~~(><)!」
装甲を破るような威力は無いけど、重機関銃の弾が連続して当たるみたいな衝撃がある。
『こちら、州軍司令、悪いが撤退する。あとは頼んだ!』
「了解」
短く応えて、つぎの攻撃に備える。
Associate yourself with men of good quality! if you esteem your own reputation; for ‘tis better to be alone than in bad company!
ドスドスドスドスドスドスドスドス! ドスドスドスドスドスドスドスドス!
くそ、倍返しで返ってきた!
ドドドドドドドドドドドド!! ドドドドドドドドドドドド!!
こっちも反撃した!
Where there's a will, there's a way!
ドスドスドスドスドスドスドスドス!
リンカーンが返してきやがる!
Where there's a will, there's a way!
ドスドスドスドスドスドスドスドス!
繰り返さんでも分かってる、『意志あるところに道あり』、こないだもゲティスバーグでかまされた!
Believe you can and you're halfway there!
こんどはセオドア・ルーズベルトだ。
ドスドスドスドスドスドスドスドス!!
「「「ウワァアアアアアアアア((((((≧▢≦))))))!!」」」
くそ、さっきの倍ほど響きやがる!
Do what you can, with what you have, where you are!
ドスドスドスドスドスドスドスドス!!
「「「ウワァアアアアアアアア((((((≧▢≦))))))!!」」」
「クソ!! やられっぱなしじゃ、ねえぞ!!」
ナユタが震える手で発射ボタンを押す!
パシュパシュパシュ! 小型ミサイルの連続発射!
バシ!
ルーズベルトの眼鏡が吹き飛び、髭がチリチリになった。
多少はダメージを与えられたか……?
「もう一撃……」「「おお!」」
中原少尉が呟いて、妹分の二人が応える!
そのとき、パルスジェットが二人の前を横切った。
『もう、また、勝手に飛び出して!』
前回同様、テレジアが飛び込んできた。
『作戦練り直し、帰るわよ!』
「「ええ、またあ!?」」
「…………」
ふたりはプータレ、少尉は無言で——了解——のボタンを押し、どろしいのブリキマンはアブクのように舞い上がってくる。
敵もダメージはあったようで、カスター州立公園に降りたところで足が止まっている。
まあ、戦術的には勝利……と思ったら、ルーズベルトが口を開いた。
Even after winning, tighten the strap of your helmet!
「え、なんて?」「言ってやがんの?」
ナユタとまりあは意味を知りたがったが、少尉とどろしいは無言で、PONZYに向かって東に飛んだ。
☆彡 主な登場人物
・舵 晋三 永遠の16歳 法名・釋善実
・舵 まりあ 晋三の妹 高校2年 ウズメのパイロット
・舵 晋太郎 特務旅団司令 晋三とまりあの父
・高安みなみ 特務旅団少佐
・中原光子少尉 みなみ大尉の副官
・金剛武特務中佐 ベースのコンピューターの保守を任務とする技術士官
・テレジア(元マリア)ガイノイド戦士(031から)まりあのガード(VR10201改)
・ナユタ ソメティのパイロット 第二首都高一年
・徳川曹長 みなみの世話係
・まりあの友達 釈迦堂観音(お堂さん) 矢治公男と喜田伸晃 鈴木さん 佐藤さん
・学校の先生 瀬戸内美晴(担任)
・岡田 時子 舵司令がたまに入れ替わる母の若いころの義体
・岡田 時蔵 時子の祖父(080で死亡)
・メグリ先生(?) 晋三が小一の時の担任
・米国特務旅団 どろしい ヘンリー准将 ボギー大佐
☆彡 重要語句
・インテグレーション(integration) ウズメ02を複数パイロットの能力を統合して操縦すること
・セパレートアタック 複数パイロットが個別にコントロールして攻撃すること
・ケティちゃん ケティちゃんを依り代とする小思念体
・PONSY ポーツマスネイバルシップヤード(アメリカの特務旅団)
・中華飯店 ポーツマスのレストラン、78回からは中華飯店9090




