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059『旧羽田空港で改修ウズメ02のテスト』

まりあ戦記・059


『旧羽田空港で改修ウズメ02のテスト』 晋三 





 ドドドドドドドドドド ピピピピピピピピピ ドドドドドドドドドド ピピピピピピピピピ


 ドドドドドドドドドド ピピピピピピピピピ ドドドドドドドドドド ピピピピピピピピピ


 ドドドドドドドドドド ピピピピピピピピピ ドドドドドドドドドド ピピピピピピピピピ


 プスン


 ウズメ02はレールガンとレーザーを三斉射やったところでエンストみたいな音をさせて停止した。



 シュィ~~~~~ン



 いかにもクールダウンという排気音をさせて、試験場である旧羽田空港の滑走路に着地。


 着地すると体育座りになって背中のハッチが開き、ナユタ・まりあ・中原中尉の順で降りてくる。


 降りてくると言っても、ハッチから地面までは5メートル近くあるので、コクピットに設置された巻き尺を思わせる降着機を使っている。


「こんなもん使わなくても降りられるしい!」


 スタ!


 ナユタは勝手に飛び降りて「マニュアル通りにやらんか!」「やり直し!」と親父とみなみ大尉の両方から怒られる。


 ちぇ


 いつもの舌打ちをすると、傍にあった牽引車を踏み台にしてハッチに戻ってやり直す。


 セイ!


 降着機を使ったけど、ウズメ02の背中を蹴って、空中で一回転して、親父たちの正面に着地しやがる。


「ナユタ! 滑走路一周走ってこい!」


「ええ!?」


 みなみ大尉に罰を言い渡されると、めちゃくちゃ嫌な顔をする。


「ただ走ったのでは面白くないな、そこのタイヤを転がしながらやれ」


 親父が冷たく言う。そこのタイヤというのはヨミの攻撃で大破したまま放置されている輸送機のタイヤだ。


「へぇ~~い」


 横着な返事をして自分の背丈よりも高いタイヤを押して走り始めた。


「どうだ、改修ウズメ02は?」


「はい、フルパワー稼働時間は従前どおり45秒ですが、攻撃の手ごたえは5割増しという感じです」


「ああ……でも」


「なんだ?」


 少し言いよどんでからまりあは中原少尉に続いた。


「手ごたえは5割増しだけど、その手ごたえって、発射の反動が半分で、威力は半分しか上がってないような気がする……」


 そう言って、沖の標的船を指さす……遠浅の海に標的船は大破着底しているけど、船の形は残っている。ヨミ相手ではほとんど効果は無いだろう。


「やっぱり覚醒状態での攻撃は限界があるのかもしれませんねえ……」


 タブレットをスクロールさせながらため息交じりの大尉。


「インテグレーションでは暴走のリスク、セパレートでは威力が上がらん……」


 ひい祖父ちゃんのアドバイスで改修したんだが、思うようにウズメ02の性能が上がらないんだ。


「半覚醒ぐらいのところで、力と操縦性の均衡をとれんもんかなあ……」


 ボスである親父が腕組みすると、お手上げという空気になる。


「やれやれ……」


 タブレットを一段落させたみなみ大尉はため息をつく。だが、現役の軍人、任務にため息をついたんじゃない。罰にタイヤを転がしているナユタがフラフラなのだ。人並外れた運動能力を持っているんだけど、さすがにコントロールがむつかしいようだ。


「あれはKONDA輸送機のだったな」


 KONDAは不整地での離着陸を想定した国産輸送機で、タイヤの直径が2メートル近くある。身長140センチのナユタにはきびしい。


「連帯責任です、自分たちもやります」


 そう言って、中原少尉はまりあを促して、ナユタのタイヤを押しに行った。


「司令、先日の事故を検証したんですが……」


「ああ、湘南に不時着した……」


「あの時、ウズメ02がハイキックをきめた瞬間なんですが……」


 あのハイキックがきまった瞬間、タブレットの画面は真っ白になって、衝撃の凄まじさを表している。


「ベースと各所のセンサーもあたってみたんですが、このエネルギー値は物理的な解析値を超えています」


「どのくらい超えている?」


「はい、衝撃による閃光は針が振り切っているので予測値ですが、広島型原爆の倍はあります」


「バカな……そんな閃光が走ったのなら衝撃は水爆並みだぞ。それに、それだけの閃光なら、それだけでカルデラの中を焼き尽くしているはずだ!」


「はい、矛盾はしているんですが、じっさいにヨミは消滅しています」


「ムム……ベースに帰ってアマテラスに解析……いや、それは最後の手段だな」


「もういちど、ベースのコンピューターでやり直してみます」


「そうだな……」


 ウ!?


 二人の相談がまとまった時、俺は旧羽田空港の上空に光を感じた。


 小さいけど強力な光で、思わず顔を避けた。


 あれ……親父は閃光が走ったばかりの空を見ている。大尉は速足で車に向かって、少尉とナユタはフンコロガシのようにタイヤを押している。まりあは——あれ?——って感じで空を見ているが眩しい感じではない。


 どうやら感じられるのは、ホトケさんの俺だけのようだった。




 ☆彡 主な登場人物


・舵 晋三      永遠の16歳 法名・釋善実

・舵 まりあ     晋三の妹 高校2年 ウズメのパイロット

・舵 晋太郎     特務旅団司令 晋三とまりあの父

・高安みなみ     特務旅団大尉

・中原光子少尉    みなみ大尉の副官

・金剛武特務少佐   ベースのコンピューターの保守を任務とする技術士官

・テレジア(元マリア)ガイノイド戦士(031から)まりあのガード(VR10201改)

・ナユタ       ソメティのパイロット 第二首都高一年

・徳川曹長      みなみの世話係

・まりあの友達    釈迦堂観音(お堂さん) 矢治公男と喜田伸晃 鈴木さん 佐藤さん

・学校の先生     瀬戸内美晴(担任)

・岡田 時子     舵司令がたまに入れ替わる母の若いころの義体

・岡田 時蔵     時子の祖父


☆彡 重要語句


・インテグレーション(integration) ウズメ02を複数パイロットの能力を統合して操縦すること

・セパレートアタック        複数パイロットが個別にコントロールして攻撃すること


 

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