056:ウズメ02反応せず!
まりあ戦記・056
『ウズメ02反応せず!』 晋三
上空に現れたヨミは完全な球体だ。
ヨミは、その時々で様々な形、大きさになる。ベースに来るときに見たのは巨大なクジラのようなやっだった。軍の攻撃を受けて海に落下してからはオデンの出汁に浮かんだ玉子のように変身していた。頭上のそれはその玉子よりも小さいけど、完全な球体。コンソールの観測データには直径8メートルと出ている。標準のヨミよりも数段小さく、偵察用ではないかと思われるけど油断はならない。
カルデラの防空兵器はみなみ大尉のオペレートで、死角で迎撃不可となっているもの以外は、全門ヨミを指向して射撃を始めた!
ドドドドドドドドドド ピピピピピピピピピ ドドドドドドドドドド ピピピピピピピピピ
レールガンとレーザー砲なので、射撃音は小さいが、ほとんど静止しているヨミにはほぼ全弾が命中。
ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカ!
しかし、ビクともしない。
命中の閃光は本体を包むように連続して、ヨミ本体の倍くらいの大きさになっている……つまり、ヨミは防護シールドを張って、砲弾もレーザービームもシールドに阻まれ炸裂するだけで本体には到達していないんだ。
その間、ヨミ本体は微動だにせずカルデラ西方5000、高度3000で静止し続けている。
45秒射撃が続いて、一瞬停止した。
射撃の効果を確認するため、レールガンの砲身を冷やすため、レーザー砲の電力をチャージするため、そしてウズメ02に命ずるため。
『ウズメ02退避! ウズメ02退避! 聞こえてないの!? 退避しなさい! 退避! まりあ! ナユタ! 少尉! 退避ィ!!』
みなみ大尉はこめかみに青筋を立てて命じる。スタッフは、それぞれのコンソールをチェックしながら操作を繰り返すが、状況に何の変化も無い。
『ヨミの中心点に変化!』
オペレーターの兵曹が叫んで、親父を除く全員がモニターのヨミに注目した!
ヨミの中心に褐色の点が現れたかと思うと、数秒で表層に出てきて……瞳のようになった!
『ウズメ02に攻撃させろ』
『司令、ウズメ02は武装していません、ウェポンとのリンクもしていません!』
『手足がある、格闘させればいい』
『司令!?』
『復唱!』
『……ウズメ02、ヨミを攻撃せよ』
……………………
『……ウズメ02、ヨミを攻撃せよ!』
……………………
『反応しません』
『ヨミの黒点にエネルギー反応、強くなってくる』
兵曹が報告すると、親父の目がしばたたかれる。俺も、生前やっていたチック症だ。
『ベース各所、シールド……』
シールド展張を命じかけた時、一瞬ウズメ02は屈伸……したかと思うと、そのままジャンプ! 空中で素早く一回転、右脚を突き出し、そのままヨミに突っ込んでいった!
ピッシャーーン!!
硬質ガラスが割れるような音がして、ヨミは幾千ものポリゴンのように飛散してしまった!
ウズメ02はそのままの姿勢で50キロ近く飛び、海に落下と思われたが、危うく湘南の海岸に25度の角度でスライディング。砂浜に半ば埋もれて停止した。
☆彡 主な登場人物
・舵 晋三 永遠の16歳 法名・釋善実
・舵 まりあ 晋三の妹 高校2年 ウズメのパイロット
・舵司令 特務旅団司令 晋三とまりあの父
・高安みなみ 特務旅団大尉
・中原光子少尉 みなみ大尉の副官
・金剛武特務少佐 ベースのコンピューターの保守を任務とする技術士官
・テレジア(元マリア)ガイノイド戦士(031から)まりあのガード(VR10201改)
・ナユタ ソメティのパイロット 第二首都高一年
・徳川曹長 みなみの世話係
・まりあの友達 釈迦堂観音(お堂さん) 矢治公男と喜田伸晃 鈴木さん 佐藤さん
・学校の先生 瀬戸内美晴(担任)
・時子 舵司令がたまに入れ替わる義体
☆彡 重要語句
・インテグレーション(integration) ウズメ02を複数パイロットの能力を統合して操縦すること




