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ご縁と5円

 以上のコトが、徳康の書いた、ほうこく書の大ワクであり、概要といえた。

「このほうこく書は、とても興味ぶかく読ませてもらった。徳康くん、君の指摘している、こんかいの犯人である、オニのミス・敗因というものは、まさに、そのとおりだとおもう。

 こういう視点・発想・かんがえかたは、おそらく、今までずっと、超常のチカラがそんざいしていない、フツウのセカイでシゴトをして、せいかつをしてきたキミだからこそ、おもいついたといえる。

 ぎゃくにいえば、『アヤカシがそんざいしており、超常のチカラがある』というコトを、アタリマエのようにおもい、かんがえてしまっている、ワタシや大空のようなニンゲンには、おそらく、おもいつかなかったダロウね」

「ホメていただいて、アリガトウございます。たしかに、毛利さんがおっしゃるとおり、ほんの一カ月まえまで、ワタシは、こういうセカイが、すぐ近くに、ソレこそ、『すぐトナリにある』っていうコト自体、まったく知らなかったワケですし。

 そのために、どうしても、『アヤカシや超常のチカラがナイ』という状態と、ソレがある状態とを、比較せざるをえないようです。

 ですので、このほうこく書に書いたような、ヤツラのミス・敗因っていうものが、アタマにうかんだのかもしれません」

「ソレにしても、こんかいは、岩羽くんの想定が、みごとにアタッた。というワケか」

「ええ、彼女が想定したとおりに、コトがはこびました。しょうじきなトコロ、ハタから見ていて、気味がワルイくらいに、カノジョの想定や予想というか、かんがえのとおりに、モノゴトが進んだとおもいます。

 極端ないいかたになりますが、こんかいの主犯格のオニは、この異空間に入ってきた時点というか、そのだんかいで、もうすでに、詰んでいたんだとおもいます。

 入ってきた時点で、コチラの仕掛けたワナに、みごとにハマっており、このときには、もうすでに、勝敗はキマっていたのかと」

「たしかに、君のいうとおりだ。彼女がじぜんの時点・だんかいで、『こういうケースもありえる』と想定して、かつ、じぜんの対策というものを、かんがえておいた。

 そのおかげで、ヒガイ・そんがい・ギセイ者を、最小限に抑えるコトがデキたといえるか」

「ワタシは今、大空くんとおなじ歳なんですが、カノジョはホントウに、まだ18歳なんでしょうか?

 あのわかさで、アレだけアタマがまわるというか、キレるというか、ああいうタイプのニンゲンは、しょうじきなトコロ、今までに会ったコトがありませんし、見たコトだってありません。

 アタマの回転だけでも、あのわかさで異常なほどなのに、その上さらに、超常者としてのレベル・つよさも、おそらく、大空くんには敵わないとしても、ほかのニンゲンじゃあ、太刀打ちデキないんじゃないかとおもいます。

 こんかいのジケンでは、上級レベルのアヤカシであったオニが、さらに、祠のチカラを手にしていたにもかかわらず、さいしょからさいごまで、終始一貫して、彼女のペースでコトが進んでいきました。

 そして、いっぽう的に、あいてのオニは、ほとんどナニもデキず、消滅してしまいました。

 ほとんど、『カノジョのひとり勝ちだった』といっても、差しつかえはナイとおもいます。

 ホンネをいえば、あいてのオニは、カナリのつよさだったにもかかわらず、そのつよさを、ワタシは、まったく実感するコトがありませんでした。

 ソレほどまでに、カノジョが終始一貫して、あいてのオニを、圧倒していました。

 さらにいえば、若手のこうほ者たちを見ていると、カノジョにたいして、心底から心服しているというか、彼女の指示やいうコトだったら、ナンでも従いかねない。そのような印象をうけました。

 どうやらカノジョは、そういう、圧倒的な指導力というか、影響力を持ってるように見うけられます」

「ナルホド、キミはよく見ている。たしかにカノジョは、超常者のなかでは、今や、『大空くんに次ぐほどのじつりょく者』といっていいかもしれない。ソレに、ホントウにまだ18歳なんだよ。

 あのわかさで、あれだけアタマがまわるっていうのは、キミのいうとおり、フツウじゃナイ。その上さらに、若手の後輩たちを従えている。

 おそらく、カレらは岩羽くんのコトを、『慕っている』というよりは、圧倒的なスゴイつよさ、じつりょくを持っているセンパイであり、そのために、『ずのう・さいのう・のうりょく・じつりょく・つよさに、カンゼンに心服してる』という状態なんダロウね。

 圧倒的にスゴイつよさ、じつりょくを持っているニンゲンが、じぶんのすぐ身近に、そして、近い年齢にいたら、ああいうカタチで従うというのも、わからんでもないさ」

「ナルホド、おっしゃるとおりかもしれません。ワタシも、毛利さんの意見を聞いて、腑におちるというか、そのとおりだとかんじました」

「いずれにせよ、カノジョもまた、大空くんに次ぐ有用な人材だよ。コレがこんかい、あらためて証明されたといえる。ほうこく書は、たしかに読ませてもらった。アリガトウ。下がってよいよ」

「しつれいしました」

 こういうと、徳康はヘヤからでていった。

 ひとりになった毛利は、ほうこく書を見ながら、こうつぶやいた。

「キミは、岩羽くんのコトを、ずいぶんスゴイとおもってるようだが、ワタシから見れば、キミは、その彼女と同等のレベルに、わずか一カ月ていどででとうたつした。そして、そのカノジョと、共闘するコトがデキるほどの超常者となった。

 だから、そういうキミのほうこそ、もっとバケモノじみているとおもうがね。

 ほんの一カ月まえまで、アヤカシがそんざいしているコトも、超常のチカラのコトも、まったく知らなかったニンゲンとはおもえん。

 いずれにせよ、こんかい、ココまでおおきなジケンにかかわった以上、これから先、キミは、アヤカシがそんざいしているセカイから、抜けだすコトはデキないダロウ。

 じぶんは無カンケイだとは、もういえんさ。あらためていっておこう。ようこそ、アヤカシのセカイへ」


 こんかいのジケンが解決したコトで、祠はふたたび、アヤカシたちを吸いこむそんざいとなった。

 そのために、「この祠を、ふたたびあの公園に戻すベキか」というハナシになった。だがしかし、結局のところ、祠は、公園に戻されるコトはなかった。

 そのリユウは、徳重の提案であった。内容は、つぎのようなものである。

「こんかいのジケンは、そもそも、こういうアヤカシを吸いこむそんざいが、ソトのセカイにあったからこそおきた。

 というコトは、どこかの時点・だんかいで、また祠の容量やキャパシティーが一杯になり、越えてしまうコトになれば、コレを悪用しようとするアヤカシが、またでてくるかもしれない。

 1回でも前例がデキてしまえば、ソレをマネするそんざいが、でてくる可能性・キケン性というものを、カンゼンに排除するコトはデキない。

 コロンブスのタマゴといわれるように、さいしょの1回目は、むずかしいコトであっても、2回目以降にかんしては、さいしょの前例があるタメに、一回目ほど、むずかしくはナイ。

 さらにいえば、ソレをおこなうとき、ていこう感がうすくなる。そのために、よりカンタンに、おこないやすくなる。

 もっというと、さいしょの1回目が、ミス・しっぱいしたとしても、ソレを見て、そのさいしょのケースを参考にして、つぎは、より巧妙に、そして、より慎重に、おこなってくるかもしれない。

 ニンゲンに近いレベルの知性を持っているアヤカシであれば、こういうチカラ・のうりょくを持っている可能性も、カンゼンに、ひていするコトはデキない。

 そういう事態になれば、つぎも、コチラがうまく対処・たいおうし、カイケツするコトがデキるとはかぎらない。そのような保証はまったくナイ。

 こんかいのジケンでは、運よくコチラの予想があたり、じぜんの対策・じゅんび・用意というものを、チャントおこなうコトがデキた。

 だがしかし、まいかいコチラのつごうよく、コトがはこぶとはおもえない。そういう楽観は良くない。

 こんかいのジケンにたいして、うまく対処・たいおうし、カイケツするコトがデキたのは、運によるぶぶんもおおきい。つまり、幸運にすぎなかった。

 そういう幸運というものを、さいしょからアテにする。というコトは、あまりにも不確かであり、不用心であり、慎重さに欠けるといえる。

 いわば、「運を天にまかせる」という行為であり、「運次第ですべてがキマる」という、バクチ・ギャンブルに近い。

 こういう、「ミス・しっぱいをしてしまうと、おおきなキケン性・リスクがある」というコトを、バクチ・ギャンブルのように、「運を天にまかせる」というスタンスでおこなうのは、あまりにもキケンであり、不用心といわざるをえない。

 コチラの想定や予想のとおりに、あいてがうごいてくれた。だからこそ、こんかいは、スムーズにショリするコトがデキた。

 だがしかし、もっと知性・知能がたかくて、ニンゲンのように、きょうふ心・臆病さを持っているアヤカシが、もしもそんざいしており、この祠を悪用したのであれば、コチラがわが、ぎゃくにウラをかかれて、負けてしまうキケン性・リスク・可能性・確率も、十分にありえる。

 これらのコトをかんがえると、この祠は、ソトのセカイに放置するようなシロモノではナイ。

 この異空間にあるタテモノのなかで、厳重に管理して、保管するベキである」

 と、このようなコトを、徳重は、毛利と大空にたいして、ていあんしたのであった。このていあんについて、毛利も大空も、異論はなかった。

 こうして祠は、異空間にあるタテモノにあるヘヤに、厳重に保管されている。そして今、徳康は、祠のまえに立っている。

(この祠にたいして、賽銭として5円玉をいれた。だからこそ、今みたいな状態になったっていうワケか。

 アタリマエのコトだけど、こんなミライになるなんて、あのときは、まったく想像するコトがデキなかった。

 ご縁と5円、ダジャレというか、語呂合わせで、5円玉に、じぶんが持っているかもしれない悪縁を込めて、賽銭箱にいれた。ソレが、この結果をまねいたワケか。

 コレはつまり、オレのなかにあった悪縁を、5円玉に込めて捨てた分だけ、オレのなかに、空き容量というか、空きスペースがデキたのかもしれん。

 捨てて、空いた分だけ、ソコにナニカ、ソトから入ってこれる状態になった。つまり、あたらしい縁が、じぶんのなかに入ってこれる、空きスペースがデキた。

 そして、そのあたらしい縁が入れる空きスペースに、大空がはいってきた。ともいえるか。

 まずは大空と出会い、そのつぎに、バネちゃん、毛利さん、本多や立花と、つぎつぎに、あたらしい縁がデキた。つながっていった。

 あたらしいニンゲンと出会い、縁を持つようになった。っていうワケか。ひとつの縁が、芋ヅルみたいになって、さらに違うニンゲンとの縁を、呼んだともいえる。

 こうかんがえてみると、すべてはあのとき、公園にあった、この祠にたいして、何気なく悪縁を込めて、賽銭箱に5円玉をいれたコトから、すべてがははじまったワケか)

 イザこうして、あらためて祠をまえにすると、徳康としては、じぶんの縁のフシギさ、あるいは、うんめいのフシギさを、かんじざるをえなかった。

 さいしょのキッカケというものは、とてもちいさなコトだった。だがしかし、そのちいさなキッカケから、めぐりめぐって、イロイロなコトにたいして遭遇し、たいけんするコトになったのだ。

 その結果として、今となっては、かつてのじぶんが置かれていた状態とは、まったく違う状態におかれるハメになった。

 つまり、じぶんのうんめい・カンキョウ・ミライなどが、ガラリとおおきく変わったのである。

(じんせいは縁だ。といわれるけど、どうやらこのコトバは、ホントウのコトらしい。しんじつかもしれん。

 悪縁を捨てたコトで、あたらしい縁と出会い、今のようになった。その結果、すぐトナリに、こういうセカイがあると、知るコトになったワケだし)

 徳康は、ポケットからサイフをだした。そして、そのなかから、5円玉を取りだした。

(オレはどうやら、悪縁っていうモノを、無いしきのうちに、あつめてしまう体質・とくちょう・性質を持ってるらしい。

 というコトは、1カ月まえに、あの公園で、この祠にたいして悪縁を捨ててから、またいつの間にか、ソレが溜まってるかもしれん。この祠に、また捨てておくか。

 一カ月分ダケなら、まえみたいに、『祠が貯めれる分量やキャパシティーを越える』なんていうコトは、まずナイとかんがえていい。

 ソレに、この異空間のなかだったら、万が一、ナニカしら、不測の事態がおきたとしても、まえみたいな、大ごとにはならんダロウし)

 こうかんがえると、徳康は、5円玉を、祠のまえに置いた。まえとおなじように、じぶんの悪縁というものを、この5円玉に込めて。

「つぎはどういうカタチで、どんな出会いを、オレにもたらすのか」

 こうつぶやくと、徳康は、祠を保管してあるヘヤからでていった。

エピソード①完結です

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