浮遊
冬休みに入っていた。
遥は、前より明るく見えた気がした。
昔のことを聞いたから、
気まずくなると思っていた。
変わっていないように見えただけかもしれない。
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紅茶の湯気を見ていた。
なかなか口をつけなかった。
プレゼントを用意していた。
喜んでくれると思ったから。
それで、何か変わればいいとも思っていた。
地元の、小さなシルバーアクセサリーの店。
前に、遥が足を止めて見ていた小指用の指輪。
「これ、遥に」
渡すと、驚いた顔をした。
「いいの?」
「前見てたでしょ、だからさ」
少し首を傾けて、見せてきた。
「どう?似合う?」
「めっちゃ似合ってるよ」
「ありがとう」
指輪を触りながら、小さく言った。
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店を出て、外に出る。
人が多くて、少しだけ距離が空いた。
また並んで歩いた。
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会話を切らさないように話すことを探した。
「最近バイト順調?」
「変えようか迷ってんだよね」
「どこでやるの?」
「まだ決めてないんだ」
「近場がいいんじゃない?」
「あんま遅くまでやらない方がいいよ」
何かに焦って話していた。
「ん?大丈夫?」
「頑張るね私も」
それ以上は、何も言えなかった。
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過去のことは、聞けなかった。
沈黙が苦手になっていた。
だから、自分の話をした。
これからのこととか、
なんとなく考えてる未来の話とか。
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「今度は遥のことも教えてね」
そう言うと、
遥は笑っていた。
帰る時間になっていた。
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少し甲高い声の車掌さんだった。
いつも帰る時間は乗る人が少ない。
流れてく景色を、
ぼんやり眺めていた。
あと数日で今年も終わりだなと思った。
恋人と過ごすのは、初めてだった。
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夜。
寝る前に携帯を手に取った。
少しだけ見て、
そのまま閉じた。
遥のことを考えた。




