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乖離

三が日も終わって、学校が始まっていた。


授業は、ほとんど頭に入らなかった。


黒板の文字だけが流れていって、


何も残らなかった。


ノートは、ほとんど取っていなかった。


シャーペンを持ったまま、


何も書かずに終わることが多かった。


周りは進学の話ばかりで、

遠く感じた。



________________________________________


しばらくして、遥の家に行くことになった。


朝の空気は冷たくて、

ポケットに手を入れたまま、歩いた。



駅に着くと、もう来ていた。



「はやいね」


「そっちこそ」



照れくさくて、

並んで歩いた。


________________________________________



部屋に入って、映画を流した。



画面の光だけが、揺れていた。



内容は、ほとんど覚えていない。



途中で、音だけになった。


________________________________________



駿からキスをした。


唇を重ねると、

自然に重なった。



ちゃんと、遥だった。



もう一度重ねたとき、


違和感が残った。




そのまま、引き寄せた。


離れる理由が、思いつかなかった。



________________________________________



ベッドに入った。


シーツが冷たく感じた。



違和感はあった。



それでも、離さなかった。



ふと、顔が見えた。



暗い中で、



表情だけが浮かんでいた。


見たことのある笑い方だった。



わかっていた。




「……瑞樹?」




「そうだよ」


一瞬、怖かった。



でも、そのまま続けた。


意識が、曖昧になっていった。



________________________________________



すべてが終わったあと、

急に静かになった。


布団のしわを、少し直した。



窓の外から音が聞こえてきた。




「まだ無理だよ」



「……なにが」




「耐えられないから」


「そうなんだ」




「受け入れたかったんだと思うよ」



________________________________________


改めて、顔を見た。


そこにいたのは、遥じゃなかった。





「ごめん」



________________________________________


親が帰ってくる時間が近かった。



玄関で靴を履くのに、時間がかかった。



外に出ると、もう暗くなっていた。







そのまま、一人で帰った。


電車の窓に、自分の顔が映った。


ガラスに触れて、すぐ離した。



________________________________________



次の日、遥から電話がきた。


夜、話したいと。




「もしもし」


「映画のあとさ」



間があった。




「寝ちゃったんだね私」


「……そっか」





「ごめんね」


「いいよ」



それ以上は、何も言わなかった。


沈黙だけ、残った。


「また明日ね」


「……うん」



通話が切れても、

しばらく携帯を耳に当てたままだった。





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