乖離
三が日も終わって、学校が始まっていた。
授業は、ほとんど頭に入らなかった。
黒板の文字だけが流れていって、
何も残らなかった。
ノートは、ほとんど取っていなかった。
シャーペンを持ったまま、
何も書かずに終わることが多かった。
周りは進学の話ばかりで、
遠く感じた。
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しばらくして、遥の家に行くことになった。
朝の空気は冷たくて、
ポケットに手を入れたまま、歩いた。
駅に着くと、もう来ていた。
「はやいね」
「そっちこそ」
照れくさくて、
並んで歩いた。
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部屋に入って、映画を流した。
画面の光だけが、揺れていた。
内容は、ほとんど覚えていない。
途中で、音だけになった。
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駿からキスをした。
唇を重ねると、
自然に重なった。
ちゃんと、遥だった。
もう一度重ねたとき、
違和感が残った。
そのまま、引き寄せた。
離れる理由が、思いつかなかった。
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ベッドに入った。
シーツが冷たく感じた。
違和感はあった。
それでも、離さなかった。
ふと、顔が見えた。
暗い中で、
表情だけが浮かんでいた。
見たことのある笑い方だった。
わかっていた。
「……瑞樹?」
「そうだよ」
一瞬、怖かった。
でも、そのまま続けた。
意識が、曖昧になっていった。
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すべてが終わったあと、
急に静かになった。
布団のしわを、少し直した。
窓の外から音が聞こえてきた。
「まだ無理だよ」
「……なにが」
「耐えられないから」
「そうなんだ」
「受け入れたかったんだと思うよ」
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改めて、顔を見た。
そこにいたのは、遥じゃなかった。
「ごめん」
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親が帰ってくる時間が近かった。
玄関で靴を履くのに、時間がかかった。
外に出ると、もう暗くなっていた。
そのまま、一人で帰った。
電車の窓に、自分の顔が映った。
ガラスに触れて、すぐ離した。
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次の日、遥から電話がきた。
夜、話したいと。
「もしもし」
「映画のあとさ」
間があった。
「寝ちゃったんだね私」
「……そっか」
「ごめんね」
「いいよ」
それ以上は、何も言わなかった。
沈黙だけ、残った。
「また明日ね」
「……うん」
通話が切れても、
しばらく携帯を耳に当てたままだった。




