【桜の間】の宿泊人。
【梓の間】に泊っていたという天童景翔さんと天童景天さんの次に私が話を聞くことにしたのは、【桜の間】に泊っていたという、神崎琉偉さん。
そして、この人は巷でもなかなか有名なシェフだということを先に説明しておこう。
ちなみに、私はこの人に対しても、今までと同じように早速本題から話を進めることにした。
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私「あなたは犯人について何か知っていますか?」
琉偉「何も知りませんよ・・・」
私「そうですか・・・」「では、犯行時刻の時は、あなたは何をしていましたか?」
琉偉「部屋で新しいメニューを考えていました・・・」
私「新しいメニューの考案でしたか!?」「でも、あなたはシェフですよね?」「シェフって作りながら試行錯誤をして新メニューを編み出すのでは?」「それとも、先に頭で考えて作るのが普通なんですかね?」
琉偉「いや、他の人はわかんないですけど、自分は大体の組み合わせとかを理解しているつもりですので、作る前に『どのような感じで作ろうか?』『どのなようなものがお客様に一番喜んでもらえるだろうか?』ということなどを考えてから製作にかかるんですよ・・・」
私「では、メニューは最初に頭の中で完成していると?」
琉偉「その通りですね・・・」「まぁ、必ずしも思った通りになるというわけではないですが、大体はイメージした通りに出来上がります・・・」
私「それはすごい想像力ですね!!」
琉偉「ありがとうございます・・・」
私「でも、その想像力を活かせば、殺人も簡単にできるのでは?」「頭の中でイメージを繰り返えして、それを実行するみたいな感じで・・・?」
琉偉「何を失礼なことを・・・」「第一、今回の事件は刺殺事件でしょう?」「料理人たるもの、刃を武器として使うのではなく料理のために捧げるのが普通なのでは?」「少なくても、私ならいつもお世話になっている刃で人を殺すことはできませんね・・・」
私「確かにその通りです・・・」「ですが、いつも使っているからこそ『それで殺したい』とは思わないものですかね?」
琉偉「何をおっしゃるのですか!!」「あなたは料理人というものをわかってはいない!」「そんな料理人がいるのでしたら、その人は料理人ではなく殺人者です!」「なぜなら、誰が人殺しの飯など食べたいと思いますか!?」「あなたは殺人を犯したものの料理を食べたいんですか!!??」
私「まぁ、その通りですね・・・」「ですが、疑うのが探偵の仕事ですからね・・・」「今までの数々の失言はお詫びしますよ・・・」「では、私からの話はこれくらいで終わりです」「色々とご協力ありがとうございました」「では、質問とかがなければ出て行っていいですよ・・・」
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さて、【桜の間】の人の話は、とりあえずこれで良いでしょう。
では次に、【萩の間】の人の話を聞くことにしましょうか―――。