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From: ゴミから始まる異世界生活 〜拾い集めて世界最強〜  作者: 水無月いい人
第三章 覚醒 『青年編』

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第22話:貪欲なる収集者

お読みいただきありがとうございます!


本編の前に少しだけ。

更新の励みになりますので、ブクマや★★★★★をいただけると嬉しいです。


それでは、本編をお楽しみください。

「誰の許可取って集めとるんじゃ、貴様」


 鋭い声が背後から飛んできた。


 振り返ると、数人の武装した男たちが立っていた。

 中心にいるのは、体格のいい、一際目つきの鋭い男。


「許可って。俺はただ、ゴミを拾っているだけで──」


「……お前、見ねぇ顔だな。よそ者か」


「まぁ、そうなるな」


「……そうか。なら一つ、この街のルールを教えてやる」


 はぁ……またか。

 この後の展開なんて、大体予想はついていた。


「何」


「ここはなぁ、それぞれ“テリトリー”ってのがあるんじゃ。貴様はそれを破ったんじゃ」


 ──やっぱりな。


「へー、あっそ。要するに、お前の縄張りに踏み入ったから容赦しねぇってことだろ。なら最初からそう言えよ。ほら、かかってこい」


 静かに構えを取る。

 過剰な挑発も、過剰な警戒も必要ない。


「……貴様、いい度胸じゃのう。この街は力がすべて。魔獣狩りも日常茶飯事じゃ。貴様のような都会暮らし──」


「……ダラダラとうるせぇ」


 拳が、言葉を遮った。


「んが──っ」


「ア、アニキ!?」


【お〜やるねぇ!】


 ……黙ってろ。


 顔面に拳を受けた“アニキ”は、呻きながらゆっくりと立ち上がる。


「……ってぇのう。不意打ちとは……貴様、本当にタマついてんのか!」


「一応な。でも、この街では──それが“当たり前”なんだろ?」


「……ああ、そうじゃ。間違うとったのは、ワシの方じゃったわ。まさか、よそ者に説教されるとはのう」


 別に、説教したつもりはない。

 ただ、理不尽に黙って従う気はなかっただけだ。


「ここは泥臭い街じゃろ? みんな、何かに怯えて暮らしとる。アホらしいとは思わんか?」


「……知らねぇよ。俺はただ、ゴミを漁りに来ただけだ──」


 次の瞬間。


 閃く破片。

 ガラスのような鋭い破片が、頬を掠めた。


(……勿体ねぇ)


「……お前も、不意打ちじゃねぇか」


「仕返しだ。ワシはな、テリトリーを荒らす奴を許しはせん。特に、貴様のような“よそ者”にはなぁッ!」


 男が汚れたナイフを手に、勢いよく突っ込んでくる。


 錆びて刃こぼれしたそのナイフは、切れ味なんてもう残っていない。

 役目を終え、捨てられる寸前のただの道具。


「……それ、頂いてもいいか?」


「なに?」


 手を伸ばした瞬間──


「なっ!? 俺のナイ──フ……」


 赤い粒子が舞い、ナイフは俺の掌に吸い込まれた。


「悪いな」


 返す膝蹴り一発。

 男はうめき声を上げて腹を押さえ、崩れ落ちる。


「……勘違いするな。俺は、お前らの縄張りにも、ルールにも興味はねぇ。ここにある“ゴミ”を拾いに来ただけだ。終わればすぐに去る」


 そう言い残して背を向けた。

 そして、再びゴミを拾い始める。


 だが──


「……くっそ、よそモンのくせに……!」


 背後から、鉄の軋む音。

 振り返るまでもない。


「死ねやああああああああ──!」


【懲りねぇやつだな】


「ああ、全くだ」


「なっ──バカな……効いてない……だと……」


 振り下ろされた錆びた鉄パイプは、俺の肩を直撃した。

 けれど、今の俺はイデアの肉体を引き継いでいる。避ける必要すらない。


「……肩、凝ってたんだ。サンキューな。ああ、それも──貰ってくぜ」


 鉄パイプもまた、赤い粒子になって俺の中に消えていった。


「…………こいつはバケモンじゃ……」


 口元に、かすかに笑みが浮かんだ。


---


  それから、俺はこの陰鬱で湿った街をひたすら歩き回り、黙々とゴミを漁り続けた。


 そして一つ、気づいたことがある。


 『廃棄収納(トラッシュボックス)』のスキルは『廃棄知識体(ソフィア)』に統合され、俺の意思だけでは、もう“回収”ができなくなっていた。


 ……けれど。


 さっきの男との戦闘で、俺は“ソフィア”を呼ばずとも、ナイフや鉄パイプを回収できた。


 これは──おそらく。


「……俺とお前が、“同時に”ゴミと認識したから、か」


【おお、察しがいいじゃねぇか】


「つまり、俺と『廃棄知識体(ソフィア)』、両者の認識が一致して初めて……このスキルは発動する。そういうことか」


【一蓮托生ってやつだな】


「……はぁ、面倒くせぇ」


【なぁ、試しにさっきの男、回収してみようぜ?あいつ、もうゴミだろ?】


「……やめとけ。今回は、俺たちが悪い」


【なんでだよ!?アイツ、俺たちの事を殺そうとしてきたんだぜ!?向こうが百悪ぃじゃねぇか】


「勝手に人ん家入ったのは俺らだ。……俺の地元じゃ“住居侵入罪”って罪に問われる案件だった」


 まあ、ここは住居じゃないけどな。

 でも、テリトリーとやらがあるってんなら、無断で入ったのは事実だ。


「……だから今回はやめておく。次に手を出してきたら、その時は容赦しない。……にしても、なあ」


【あ?】


「お前、あの男を取り込めるのか?」


 率直な疑問だった。


【当たり前だろ。俺様を取り込んだんだぜ?それに比べりゃ軽い軽い】


 イデアの身体、ソフィアの知識、そして彼らの衣装。


 あのときのように──もし、人間を取り込んだら、俺は……さっきの男の何かを、自分の中に宿すことになるのか?


 あの男のナニカを……嫌だ。嫌すぎる。


「……なあ、『廃棄知識体(ソフィア)』。人間の回収、しばらく封印な。今はゴミを集めて、武器を作る方が先だ」


【お、おう……了解】



 

  『廃棄収納(トラッシュボックス)』──


 それは、ただ“いらないもの”を処理するための能力。

 ……そのはずだった。


 けれど。


 イデアを。

 ソフィアを。


 俺は、確かに取り込んだ。


 人を、命を、“ゴミ”として認識すれば、

 このスキルは容赦なく、それを“収納”してしまう。


 ならば──


 あの“グラズ=モール”を、

 化獣としてではなく、“不要物”と捉えていたら?


 スキルが、あれほど過剰に反応していた理由も、今なら分かる気がする。


 “取り込める”。

 “ゴミだから”。

 そう告げられていたのだとしたら──


 これはもう、

 単なるスキルとは言えないかもしれない。


 この力の底は──まだ見えていない。


 掴みかけたその輪郭が、あまりに()で。


 正直、俺自身……少しだけ、怖くなる。


 “どこまでいけるのか”ではなく、

 “どこまで墜ちるのか”。


 そう思わされるほどに、この力は──()()だ。


 ……ただ一つ、分かっているのは。


 このスキルが“最強”かどうか。

 それを決めるのは、()()()だということだ。

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『From: ゴミから始まる異世界生活 〜拾い集めて世界最強〜 』

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