プロローグ
,,ピンポーン,
……?!
,,ピンポーン,ピンポーン,
え?!何だろう?
きのこは寝ぼけて頭が、ぼーとしていた。
ふと、時計を見たら、時刻は深夜一時。
音が聴こえた様な気がするけれど…まあ、多分……寝ぼけていたに違いない。
こんな時間に、人が来るわけが、ないのだから…
『紫毒さん宅配便でーす』
……皆寝静まっている時間なのに!!
「ねえ、貴志!こんな、夜中に宅配便の人が……」
きのこは、旦那の貴志を起こそうと布団をさわった。
え!…いない……
どうして……確かに寝る前に…『おやハマー』と言って、寝たはずなのに……
『紫毒さん?』
……ど、どうしょう!
急いで、電気をつけようとした、けれど…スイッチを押してもつかない…
手探りで廊下にでて子供部屋に入った。やはり、電気がつかない。
「幸、高志ー」
……子供達もいない…ど、どうして?
『紫毒さん』
何だか宅配便の人の声がイラつきに変わった。
この声……さっきから違っていて、ほしいと思う知り合いにそっくりなんだよね…パニックになると手がつけられなくなる女性だった…確か…彼女は…
,,ダン、ダンダン,今度は、たたき出したー!
仕方がない…
きのこは、渾身の勇気を振り絞り、玄関の入口を開けた。
「誰ですか?」……ピタリととまった。
「何ですか?」
そこにいたのは……
,,きのこ、きのこ,
誰かが、私の体を、ゆさゆさと、ゆすっている……ん?
「きのこ?」旦那の貴志が目の前に!恐怖で動揺しまくっていた。きのこは、思った。なんて…なんて親切なの貴志!感極まり、私は、貴志に飛び付いた。
それにしても……私は、先ほど玄関にいたはず…なのに、今は、布団の中にいる…夢?
「ママ、玄関に大きな荷物があるよ?」
娘の幸が愛らしいしぐさで首をかしげて、言ってきた。
…え!え?
おおあわてで、玄関に行ったら玄関入口に確かに荷物があった……