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ショコラティエの甘くない夕べ

アラン王子は、ガリア王国の第三王子だったが、第一王子、第二王子と誕生日は一緒だった。つまり三つ子の一人であった。


双子は不吉。品子は、、、?外面はそっくりだったから、彼らは一人として、育てられた。平等に。しかし、育ち方は平等ではなかった。第一王子は政治において頭角を現し、第二王子は武芸に秀でていた。けれども、アラン王子は、何においてもそこそこであった。そのため、彼は16歳の誕生日に国王である父親に、こう言われた。爵位でも土地でも金でも、必要なものを渡すから、お前は自由に生きていい、と。要は、出て行けってことである。しかし彼は満更でもなかった。彼には、どうしてもやりたいことがあったのだ。


小さな頃からスペアな彼だが、一つだけ好きなものがあった。お菓子作りである。貴族女性はお菓子作りを嗜みすることが多いが、彼の妹である王女も例に漏れず、お城のパティシエに習っていた。しかし、王女は筋が良くなかった。彼は妹に、代わりに作ってくれと懇願され、手先が器用な彼は、妹が作ったことにして、代わりに作っていた。最初は嫌々だったが、意外にも楽しく、はまってしまった。とりわけ入れ込んだのはショコラを使ったお菓子だった。いつしか彼はカカオの実からこだわってショコラのお菓子を作るようになった。


だから、彼は父親にこう言った。

「ショコラティエになって、街で店を開きたいです。少しの土地、開店資金をください。材料の取り引き先の斡旋もお願いします。」


父母は目を真ん丸にし、彼の夢をひそかに応援してくれていた三つ子の兄二人は、くつくつと笑い、しかし親指をぐっと突き立てた。


そんなこんなで、首都から少し離れた海辺の都市に、彼は店を開くことが出来、今では、街でなかなかの人気店になった。彼は毎日ショコラのことばかり考えていられる、平穏で幸せな毎日を過ごしていた。ある日、事件が起こるまでは。


夜8時きっかり、彼は店先で店じまいをしていた。突然、背後に殺気を感じ、とっさに身を翻すと、肩をナイフで切られてしまった。構わず相手を投げ飛ばす。大声を出すと、衛兵が駆けつけて取り押さえて連行してくれた。


彼がまずい、と思ったのはその後であった。それは毒であった。ナイフに塗られていたのは致死性の毒であったことに気づいた。遠くなる意識の中、彼は誰かが走って来る足音を聞いた。


彼はその場に崩れ落ちた。けれども、呼び戻されるように、彼の意識はだんだんと回復した。


☆☆☆☆☆☆☆アラン視点


夢うつつのまま、目を開けると、天使がいた。俺はもしかして死んだのかもしれない。黒い髪、褐色の肌、美しい薄茶色の大きな目。彼女の完璧な顔のパーツを見るに、天使に違いない。自分達と違う褐色の肌も、天界のものに違いない。


と、次の瞬間、彼女が崩れ落ちた。その時、俺の意識は浮上し、店先であることを悟った。体を起こし、彼女を揺さぶる。彼女は寝息を立てていて、俺は考える気力も無かったので、そのまま抱えて店の奥のソファーにとりあえず寝かせておいた。


店じまいをさっさと済ませ、俺は思い出したように肩を触ると、傷がない。過労故の夢かと思い、ソファーを見に行くと、美しい女はまだ寝ている。色んな疑問を抱きつつ、明日の店の下準備に取り掛かった。


下準備をしながら、あの女は何だろうとぼんやり考えた。服は白、服に変なバッチ付いてたなあ。蛇が杖に巻き付いた奴。うん?アスクレピオスの杖か?ああ、治癒師か!俺はもしかすると偶然通り掛かった治癒師に助けられ、力を使いすぎた治癒師が眠りに付いたのか。


一通り、明日の下準備を終えると、11時を回っている。美女治癒師を見に行くと、まだ寝ていた。


俺は夕飯の準備をする。自慢じゃないが、お菓子以外の料理も得意だ。

サラダ、オニオンスープ、パン、鮭のムニエル


簡単で美味しく。俺のお菓子以外の料理のモットーだ。

12時近くになってしまったが、俺はまたソファーを見に行った。相変わらず、彼女は寝ている。ちょっと揺すってみたが、起きない。俺は一人で夕食を食べた。









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