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疑惑?

それから私とグリフォンはピンクのゴリマッチョに引きずられるようにして、広場の一画で小屋掛けに精を出すとある一団の元に連れて行かれた。


「皆さぁん!強力な助っ人連れて来たわよぉ~」


「えっ、マジ?」


「歌い手見付かったの!?」


「やったじゃない~…、て…アラ?何だか見覚えがあるヒトね…」


「そっちの子は?」


わらわらと大勢の女の人に取り囲まれるも、人員の約三割が未確認生命体。

とりあえず芸人の一座らしい事だけは分かるんだけど……何故ナニユエにオカマがこれほど群生しているのか。


「グリフォンのお弟子さんよ~、丁度良いからこの子にもお手伝いして貰っちゃいましょ!《暁の女神》一座にようこそ~、オホホホホ!逃がさないわよぅ~~~」







所々グリフォンの補足が入りながらの説明によれば、私達をぐるりと取り囲んでいるこの人達は予想通りの旅芸人で、歌ったり踊ったりしながらのお芝居が人気の歌劇団らしい。

しかも全員女性か女装オカマ……、世にも恐ろしい宝塚。


ところが、その二十数名いる団員の中でも特に重要な役割を果たす歌い手と、もしもの場合に代役を務める女優が揃って風邪で喉をやられてしまい、明後日からの営業が危ぶまれる事態になっていたとか。


そしてどういう経緯かは知らないけど、かつて一時期《暁の女神》一座と行動を共にしていたグリフォンと今回偶々出会でくわして白羽の矢を立てたと。







「―――と、いうことでぇ。突然で悪いんだけどグリフォンとそのお弟子さんのアナタには、欠員の穴埋めに助っ人に入って貰いたいのよ~。えーと…」


「ネイロです」


「ふぅん?風変わりな響きの名前ね。アタシはベロニカ。《暁の女神アウストラ》一座の座長代理やってんのよ~。うちは男子禁制なんだけど客分なら問題なしよ。ましてやグリフォンは知らない仲じゃないものねぇ、ウフフ~」

くねくねと身を捩るピンク色の密林の王者。


「……へぇー…意外だね…」


典型的な女好きだとばかり思ってたけど、来る者は拒まずの姿勢もここまでくるといっそ天晴れというか。


思いっきりうろんな視線を向けてやったら、私の思考を察したのかグリフォンが一気に青ざめてあたふたと抗弁をし始めた。


「ち…違っ、誤解だ―――――!」


「誤解ぃい~?枕を並べて眠った仲じゃない。裸の触れ合いは日常茶飯事、あーんな事やこーんな事も…ウフッ」


「おかしな妄想を垂れ流すな、ブルース!」


「…ふぅ…」


「…そこで何故呆れたような表情になるんだ、ネイロ」


―――だってねぇ…?


嫌な相手ほど慇懃いんぎんな対応をするグリフォンがこれだけ気安い態度で、しかも端から助っ人の依頼を断るつもりが無いあたり、かなり親しい間柄って事だよね。


「………いくらなんでもお友達トモダチに手を出すのはどうかと思う」


「濡れ衣だ!」


―――うん、そうかもね。だけど、


「日頃の行いを、胸に手を当てて思い返すといいよ」


「…………うっ、、、」


「まぁ…そんなにイロイロと身に覚えが有りまくりなのォ?この人」


「最近はそれほどでもないけど、好みの美人に迫られたらまず断りませんよ」


「どうせ断るのが面倒臭いからって女の好きにさせてるんでしょー。ダメダメねっ、そんなんじゃ女がつけあがるわよぅ」


「もっと言ってやって下さい、ベロニカさん」


行く先々で相方の女絡みの揉め事に巻き込まれる身としては、いくら小言を言っても言い足りないぐらいだ。


「…でも何だか女の気持ちも分かるわぁ」


「「は?」」


「―――何だか知らないけど、グリフォンてば前より男前なんだものォ。身嗜みとか見た目そのものにも洒落っ気が出て若返った感じがするしー。何より雰囲気が柔らかくなったじゃない~」


オカマに『女の視点』で語られた。


「特にその髪型とか手が込んでるわよねェ。面倒臭がりのその人が自分でやるとは思えないからアナタでしょお?随分手先が器用なのねー」


「見た目は大事です!ただでさえ客商売に向いてないワルそうな顔してるぶん、ぱっと見の第一印象がものすごーく重要なんです」


「そうねぇ…でも、そのちょっとワルそうなところもまた女心をくすぐるのよね~」


「………いい加減にしろ。それ以上おかしな話を続けるなら助っ人の依頼はお断りだ」


鳥肌でも立ったのかグリフォンは二の腕を擦りながら眉をしかめた。


「ああん、ゴメンなさ~い!じゃ、早速仕事の話に戻しましょ」




切り替え早っ。









































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