ふぐり転生~目が覚めたらこれから去勢されるねこのふぐり(右)だった件
私は、右だった。
左ではない。
右。
目が覚めた時から、ずっと右だった。
左ω「おい」
右ω(私)「なんだ、左」
左ω「今日はやけに静かだな」
右ω「考え事をしていた」
左ω「また“世界の構造”とか言ってるのか」
右ω「我々は何のために存在する?」
左ω「知らん。あったかいからヨシ」
右ω「おまえは気楽でいいな……」
その時だった。
かいぬし「よーし、病院いこうねー」
右ω「!」
左ω「来たか……」
キャリーケースに揺られながら、私は悟った。
――終焉。
病院。
消毒液の匂い。
遠くで響く犬の声。
そして聴診器を下げた人間。
獣医さん「今日は去勢ですねー」
右ω「ッ!!」
左ω「ついにこの日が……」
右ω「まだだ!まだ終わっていない!」
左ω「なに?」
右ω「私は生き残る!」
左ω「どうやって」
右ω「気合い」
左ω「無理だろ」
右ω「ぐっ……」
その瞬間、世界が白く弾けた。
???『――目覚めよ』
右ω「ここは……?」
気づくと私は、謎の空間に立っていた。
床も天井もない。
ただ無限に広がる白。
そして目の前には、巨大な存在。
超巨大ω「ようこそ」
右ω「でっっっっっ」
超巨大ω「私は始祖ふぐり」
右ω「始祖」
超巨大ω「お前は選ばれし右玉だ」
右ω「右玉って言うな」
始祖ふぐり「これよりお前には試練を与える」
右ω「試練?」
始祖ふぐり「去勢を回避し、この世界に存在し続けられるか――」
右ω「そんなこと可能なのか!?」
始祖ふぐり「成功確率0.0001%」
右ω「ほぼ無理」
始祖ふぐり「ちなみに失敗すると」
スッ……
映し出される未来。
ねこ「にゃー♪」(術後)
ω跡地「……」
右ω「うわああああああ!!」
始祖ふぐり「では健闘を祈る」
右ω「待て!せめて攻略情報を――」
ピカーッ
現実世界。
獣医さん「麻酔入りますねー」
右ω「アアアアアアア!!」




