第三十一話
王族会議が始まり、様々な意見が飛び交う。
中でも、フリーレスの話題は大きい。
それもそうだろう、魔族に侵略されていたところを開放したのだから。
「いやー、流石はヒビキの殿ですな。」
「えぇ、あのフリーレスを救ったのですから。」
他の国の貴族たちが、俺を褒める。
何だか恥ずかしいな。
「では、フリーレスはどうしますか?」
「そうだな、ヒビキの殿よ、おぬしはどう思う?」
「そうですね、一旦置いといても大丈夫かと。」
俺の言葉に、反論する人はいなかった。
一人を除いては……。
「待てぃ!!」
「……ダーメル王、何か問題でも?」
ブレイアル王がダーメル王に、発言を促す。
ダーメル王は、うぉっほん!! と咳払いをする。
「フリーレスは我が国が貰おう!!」
その言葉に、会場が騒ぎ出す。
そりゃあ、いきなり国を貰うと言われたら、誰だって混乱する。
「ダーメル王よ、それはおかしいのではないか?」
「何がおかしい!! 誰も要らぬのなら貰って当然だろう!!」
ダーメル王の言葉に、誰もが頭を抱える。
「あのさぁ、フリーレスを開放したのは俺達なんだけど?」
「そうだ!! 我らが殿がエルバストとセルベルスと共に、フリーレスを救ったのだぞ!!」
俺と桜が反論すると、ダーメル王はふん!! と威張る。
「貴様みたいな若造が、解放なんぞ出来るか!! どうせ、エルバストとセルベルスの後ろについていただけだろう!!」
この言葉に、ブレイアル王とジャローデス王が口を開く。
「いや、ヒビキは先陣を切っていた、それに、銃という武器で魔物たちを倒していたのだから。」
「それに、黒幕をヒビキが協力して倒したのも知っているからな!!」
二人がそう言うと、ダーメル王はぐぬぬっ!! と黙ってしまう。
しかし、悪田が声を荒げる。
「そんなわけねぇだろ!! お前みたいな陰キャが、殿様になったのもおかしいだろうが!!」
「貴様ぁ!! 我が殿を侮辱するか!!」
「うるせぇんだよ!! クソ陰キャの腰巾着が!!」
やばい、桜が本当に切れてる!!
俺はどうにか止めようとしたとき、ジャローデス王が口を開いた。
「ならば、手合わせをしてみてはどうじゃ?」
「手合わせ……?」
「うむ、それならば、どちらも納得じゃろうて。」
その言葉に、悪田が喰いついた。
「いいぜ!! 俺が勝ったら、その女を貰う!!」
「はぁ!?」
悪田は、勝ったら瑠莉奈を貰うと言い出した。
「俺の方がいい男だし、こんな綺麗な人を陰キャのそばには置けねぇよ!!」
「ふざけんな、瑠莉奈は俺の嫁だ、お前なんぞには渡せねぇよ。」
俺の言葉に、瑠莉奈は、あなた……、と呟く。
こうして、俺と悪田の手合わせが始まった。
「これより、悪田対誠の手合わせを始める。」
アルテイルが指揮を執り、間に立つ。
「どちらかが、参ったというまで続きます、では、始め!!」
「先手必勝ぉぉぉぉぉ!!!!!」
開始の合図と共に、悪田が剣を振りかざしてくる。
俺は少しずれ、悪田の足を引っかける。
悪田はそのまま、顔から地面に倒れこんだ。
「て、てめぇ……!!」
「どうした? 来ないのか?」
「うるせぇぇぇぇぇぇ!!!!」
俺が挑発すると、悪田は剣を振りまわしながら突進してくる。」
その攻撃を、俺は見切りですべて回避する。
「くそ!! 何で当たんないんだよ!?」
「それは、お前との差があるからだ。」
すべて回避した後、俺は隙を突きボディーブローをぶち込む。
それを喰らった悪田は、少し浮かび、そのまま蹲る。
「ぐぇぇぇぇ……!!」
「どう? まだやる?」
俺は拳をボキボキと鳴らしながら、悪田に近づく。
それを見た悪田は、涙目になっていた。
「わ、わかった!! 降参だ!! それ以上はやめてくれ!!」
「……アルテイル、判定を。」
「はい、勝者!! 如月誠!!」
「そんな!? 勇者があんな奴に負けるだと!?」
「ふふん、流石は我が夫なのです。」
手合わせを見ていた面々は驚きと誇らしで溢れ返っていた。
「どうです? これでもヒビキの殿が弱いと思いますか?」
「ぐ、ぐぬぬぬぬ……!!」
瑠莉奈の言葉に、ダーメル王は悔しげな声と顔を出していた。
他の王たちは、拍手を送っていた。
すると、護衛の一人が望遠鏡をのぞく。
すると、国に沢山の魔物たちが攻めてきていた。
「あれは……!?」
「で、伝令!! 多くの魔物たちが、この国に攻めてきています!!」
兵士の一人が、会議室に慌てて入ってくる。
「魔物の数は!?」
「およそ500のこと!!」
その言葉に、会議室が慌てだす。
「とにかく、兵士を出そう、アルテイル行けるか?」
「えぇ、大丈夫です!!」
「よし、申し訳ないが、其方たちも協力を願いたい。」
ブレイアル王の言葉に、周りの貴族たちは頷く。
しかし、一人をぞのいては……。
「わ、わしは関係ないからな!! 帰らせてもらう!!」
「ダーメル王!! 今そんなことを言っている場合では――」
「黙れ!! 帰ると言ったら帰る!!」
ダーメル王は裏口から、悪田を連れて国に帰って行った。
それを見たブレイアル王は、頭を抱える。
「誠殿、すまないが、其方の力を借りたい。」
「大丈夫です!! 皆で国を守りましょう!!」
500の魔物との防衛線が始まった




