ep.086 助けてくれたのは・・・
瑠奈は自転車を漕いで、博愛会・富田森記念病院に向かう。
自転車の籠には、さっき作った雪江へのお弁当が紙袋に入っている。
《ぁー、ぉ茶を買わなくっちゃ・・・》
瑠奈は、お茶を買いにコースを変更して、近鉄・富田森駅前にあるファミリーマートに立ち寄った。
買い物籠に、1リットルの紙パックの緑茶を入れ、ふとスウィーツ・コーナーに目をやる。
《ぁー、このプリン美味しぃんだょね・・・》
少し悩んだが、結局、二つ買う事にした。
会計を済ませ、レジ袋を持って店を出た時、いきなりガラの良くない男に手を掴まれる。
「なんや、お前、富田森やったんけ!昨日は、よくもふざけた事してくれたの~!」
瑠奈は訳が分からない。
ただ関わってはいけないと、本能は言っていた。
「きゃっ」
瑠奈は、ビクつく。。
ガラの悪い男は、酒臭い息を吐きかけながら、
「俺の顔、忘れたっちゅーんか?昨日、頬っぺた叩いて、水掛けたのに!あぁ?」
瑠奈は、顔を横に背け、
「ゴメンなさぃ。ァタシ、知らなぃです」
ガラの悪い男の後ろから声が掛かる。
「ボン、どうせなら連れて行って、姦っちまったら、どうです?こんな小娘、麻薬使って飽きたら風呂にでも沈めりゃいいんですよ」
ボンと呼ばれた男は、いやらしく笑い、
「そうやな。岸田、お前、面白い事言うやないか」
岸田もニヤニヤして、
「ボンには、かないませんわ」
瑠奈の目の前が、真っ白になる。
《この人達って、ハルナが言ってた雪江ちゃんのお兄さんと部下?》
刹那、バイクのクラクションが大音量で鳴り響いた。
「コラっ!その女の子から手ー離せや、オッサン!」
瑠奈がクラクションの方向を見ると、二台のバイクが停まっており、昨日仲良くなった礼司と礼司の友達であろう知らない男の子二人がいた。
思わず、口にする。
「礼司さん、助けて・・・」
礼司と仲間二人が、ボンと呼ばれた男と岸田に襲い掛かるった。
相手が誰かを知らないので、容赦無い。
ボンと呼ばれた男が吠える。
「オドレら、俺がヤクザやと知って、掛かってくんねんな!おぉ?」
礼司はニヤリと笑う。
「安心したわ、俺もヤクザや。仁、智巳、コイツらツブしてかまへんで、素人ちゃう!」




