ep.073 “ケルベロス”撤収!
しかしながら、ジョージが、JJに何か言いたそうな表情であった。
その様子を察知した髪をかなり短く刈り込んだ男が、
「ボス、ジョージが何か言いたそうで・・・」
「カズ、ボクの事はボスじゃなくって、代表だって・・・。デ、何が言いたいノ?ジョージ?」
「カズ、すまない、助かった。実は・・・、ボス・・・じゃなくって代表。追加メンバーなんですが、先週、代表が東京で拾ってきた若ゾーを、“ケルベロス”に上げてやってもらえませんか?」
JJはふむと考え、
「確か、法善寺満だったよネ?ヒロはどう思うサ?」
ヒロと呼ばれた若いのに白髪頭の男は、
「この前、手合わせしましたが、さすが元空挺に居てただけあって、格闘センスは抜群ですね。鍛えれば、かなり強くなると思います。“ケルベロス”に入れた上で、ネバダのサバイバル・キャンプに放り込むのは、如何ですか?」
JJはニヤリとすると、
「楽しそうだネ。了解ったヨ。ジョージ、いいヨ。法善寺満、“ケルベロス”に入れてやりナ。ジンには、ボクから言っておくよ」
「ありがとうございます、ボス」
JJがギロリと、ジョージを睨む。
「じゃなくって、代表でしたね。すいません」
「しかし、法善寺クンも、とんでもない男に見込まれたネ」
タケは目を細め、
《1番とんでもないのは、ボス、あなたです。じゃないと誰も着いてきませんよ・・・》
JJはタケの考えてる事を悟ったのか、
「何だ、タケ?意見ナラ、聞くヨ」
タケは焦って、
「い、いやっ、まだ昼食ってないんで、腹減ったなぁなんて・・・。ははっ」
JJは深くため息を吐くと、財布を取り出す。
一万円札を10枚引き抜くとタケに渡し、
「お前ラは、ホントに何時もお腹空かしてるネ。国道沿いに“玉将”があるカラ、それで皆んなで、食べてくればいいサ。桜子ちゃんのバイクには、ボクが発信機付けておくカラ、タケはそれをトレースしてくれるカナ?」
「了解しました、代表」
タケはベンツから発信機を取ってくると、JJに渡した。
JJは発信機を受け取り、
「じゃあ、後の事は頼んだヨ、“ケルベロス”撤収!」
「イエッ・サー!」
“ケルベロス”全員は、踵を揃え、敬礼すると戻って行った。
JJは“ケルベロス”が立ち去るのを確認し、桜子の愛機に発信機を着けると、桜子が寝ているオロチに向かった。
《さぁ、桜子ちゃんには、ちょっとダケ、お説教しないとネ・・・》
JJは楽しそうである。




